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2.変化
85.友達
「穂、勉強しないの?」
「永那ちゃん…返して」
「ん?なにを?」
「ジプロックに入れたであろう物を…」
「んー…やだ」
私は依然として布団に包まったままだ。
優里ちゃんが「永那ー!なにやったの!ホントに!」とポカポカ叩いてくれる音が聞こえたけど、私の気持ちは晴れないし、1度感じてしまった違和感は、もう元の状態に戻るまで拭えない。
「じゃあ私、もうここから出られない」
「そーなの?じゃあ、私も一緒に入ろっかなー」
私は顔だけ出して、永那ちゃんを睨んだ。
「新しいの出せばいいじゃん」
永那ちゃんが楽しそうに笑う。
…そうじゃない!
わかるけど!そうじゃない!
「ほら、プレゼントだよ。ね?私へのプレゼント」
「…じゃあ、もうそれだけでいい?」
「…や、やだ」
永那ちゃんが、勝手に私のクローゼットを開ける。
「どこかな~」
鼻歌をうたいながら、勝手に漁る。
「あった!」
ベッドの頭の端、枕の横に座って、布団の中にショーツをねじ込む。
「ほら。ね?」
私は永那ちゃんを睨み続ける。
「これじゃない」
永那ちゃんがフッと笑う。
「機嫌なおしてよ」
額にキスが落とされて、心臓が飛び跳ねる。
…もう!ドア開いてるのに!
そう思いつつも、嬉しくてたまらないのも事実で。
意地を張る理性を、感情が侵蝕していく。
「どうしたら出て来てくれる?」
「…返してくれたら」
「それは、やだ」
永那ちゃんがフゥッと息を吐いて立ち上がる。
「え…!なに?…なに?」
永那ちゃんが布団を捲って、私の手に握られていたショーツを取り上げる。
足元に移動して、横向きになっていた私の体を強引に仰向けにする。
あっという間に新しいショーツを穿かされて、最後には、わざとショーツのゴムを遠くで離して、ペチンと音を立てさせた。
カーッと顔が熱くなっていく。
永那ちゃんがベッドの上に座り、私の脚を開いている。
私の脚がM字になって、永那ちゃんを間に挟んでいた。
スカートが捲れて、これからするみたいな光景。
永那ちゃんの右の口角が上がって、私を見下ろす。
心臓がドクドクと音を立て始め、下腹部は期待するかのように疼く。
「穂ちゃん?大丈夫?」
その声で私は一気に現実に引き戻されて、でも抵抗する術も持っていなくて、ただ脚を閉じて、両手で顔を覆うことしかできなかった。
「ひゃ~っ!」
頭上からそんな叫び声が聞こえて「2人ともなにやってんの!」とパタパタと去っていく音がした。
「なにしてたの?」
佐藤さんの声がする。
「せ、説明できないよ…!」
優里ちゃんがいつもよりトーンの高い声で叫ぶ。
ふわりと私の胸の上に何かが乗って、閉じたはずの脚が簡単に開かれる。
指の隙間から見てみると、永那ちゃんの頭がすぐそばにあった。
胸を両手で包みながら、「スー、ハー」と大きく息を吸って、吐く。
「ホント、なにやってんの?」
佐藤さんの冷たい声が頭上から降ってくる。
胸に感じていたあたたかさが消える。
「見ての通り、穗を食べようとしてる」
「ハァ」と呆れたようなため息が溢れる。
「あんた恥ずかしくないの?」
「全然」
「空井さんは違いそうだけど?」
全身が、恥ずかしさで火達磨になりそうだ。
「もう殺してください」
「それって食べていいってこと?」
「…違う!」
私は意を決して上半身を起こす。
少し上に体をずらして、永那ちゃんを避けた後、起き上がる。
胸元のボタンを留めて、髪を指で梳いて、スカートのシワを手で叩いて伸ばす。
微笑ましそうに永那ちゃんに見られていた。
私は永那ちゃんを睨んで、立ち上がる。
「ご、ごめんね」
私は必死に笑顔を作って佐藤さんに謝り、部屋から出て行った。
優里ちゃんを見れなくて、そのまま洗面台に向かう。
顔をビシャビシャと洗う。
洗面台に手をついて、肩で息をする。
永那ちゃんと付き合ってからずっと、2人で話せないのがもどかしかった。
それは仕方ないことだと、半分諦めてもいた。
クラスメイトの誰も知らない、2人の秘密の関係だったから。
いつかはバレることだったとしても、こんな形で良かったのか?
…でも、じゃあ、どんな形なら良かったのかも、私にはわからない。
確実にわかるのは、想像していたよりもずっと早かったということ。
永那ちゃんは、私をどんどん先へ先へと引っ張っていく。
その速さは、私の見ていた世界を目まぐるしく変えて、私は酔ってしまいそうだ。
永那ちゃんに告白されて、初めての恋に興奮した。
“興奮する”なんて、いつ以来だったろう?
今まで世間話程度しかしたことのなかった日住君と恋話をして、日住君の新たな一面を知った。
私の知らないことが、知らない感情が、この世界にはまだまだたくさんあるのだと、思い知った。
生徒会でしか話したことのない、それも業務連絡でしか話したことのなかった金井さんと、休日にも普通に話せるようになった。
本来だったら、例え休日にたまたま会ったとしても挨拶程度しか交わさなかっただろう。
佐藤さんが、大好きな人に手を振り払われて悲しかったこと…前だったら「その程度でなぜ泣くのだろう?」と思っていたはず。
その“なぜ”は、私が“知りたい”と思うまでに昇華しない。
私には未知の世界のこととして処理され、自分から踏み入れようとは決してしなかった。
全く共感できず、全く人に寄り添えず…私は、前の私のまま大人になっていたら、物凄く孤独な人間になっていたのだろうなと、怖くなる。
優里ちゃんが「名前で呼んでいい?」と聞いてくれて、学校でも当たり前のように話しかけてくれる。
そんな“友達”らしいこと、本当に、私はいつからしていなかったんだろう?
いつもクラスメイトからは“さん付け”、“敬語”。
誰かが家に遊びに来るなんてことも、初めてだった。
何もかもが、初めてだった。
「永那ちゃん…返して」
「ん?なにを?」
「ジプロックに入れたであろう物を…」
「んー…やだ」
私は依然として布団に包まったままだ。
優里ちゃんが「永那ー!なにやったの!ホントに!」とポカポカ叩いてくれる音が聞こえたけど、私の気持ちは晴れないし、1度感じてしまった違和感は、もう元の状態に戻るまで拭えない。
「じゃあ私、もうここから出られない」
「そーなの?じゃあ、私も一緒に入ろっかなー」
私は顔だけ出して、永那ちゃんを睨んだ。
「新しいの出せばいいじゃん」
永那ちゃんが楽しそうに笑う。
…そうじゃない!
わかるけど!そうじゃない!
「ほら、プレゼントだよ。ね?私へのプレゼント」
「…じゃあ、もうそれだけでいい?」
「…や、やだ」
永那ちゃんが、勝手に私のクローゼットを開ける。
「どこかな~」
鼻歌をうたいながら、勝手に漁る。
「あった!」
ベッドの頭の端、枕の横に座って、布団の中にショーツをねじ込む。
「ほら。ね?」
私は永那ちゃんを睨み続ける。
「これじゃない」
永那ちゃんがフッと笑う。
「機嫌なおしてよ」
額にキスが落とされて、心臓が飛び跳ねる。
…もう!ドア開いてるのに!
そう思いつつも、嬉しくてたまらないのも事実で。
意地を張る理性を、感情が侵蝕していく。
「どうしたら出て来てくれる?」
「…返してくれたら」
「それは、やだ」
永那ちゃんがフゥッと息を吐いて立ち上がる。
「え…!なに?…なに?」
永那ちゃんが布団を捲って、私の手に握られていたショーツを取り上げる。
足元に移動して、横向きになっていた私の体を強引に仰向けにする。
あっという間に新しいショーツを穿かされて、最後には、わざとショーツのゴムを遠くで離して、ペチンと音を立てさせた。
カーッと顔が熱くなっていく。
永那ちゃんがベッドの上に座り、私の脚を開いている。
私の脚がM字になって、永那ちゃんを間に挟んでいた。
スカートが捲れて、これからするみたいな光景。
永那ちゃんの右の口角が上がって、私を見下ろす。
心臓がドクドクと音を立て始め、下腹部は期待するかのように疼く。
「穂ちゃん?大丈夫?」
その声で私は一気に現実に引き戻されて、でも抵抗する術も持っていなくて、ただ脚を閉じて、両手で顔を覆うことしかできなかった。
「ひゃ~っ!」
頭上からそんな叫び声が聞こえて「2人ともなにやってんの!」とパタパタと去っていく音がした。
「なにしてたの?」
佐藤さんの声がする。
「せ、説明できないよ…!」
優里ちゃんがいつもよりトーンの高い声で叫ぶ。
ふわりと私の胸の上に何かが乗って、閉じたはずの脚が簡単に開かれる。
指の隙間から見てみると、永那ちゃんの頭がすぐそばにあった。
胸を両手で包みながら、「スー、ハー」と大きく息を吸って、吐く。
「ホント、なにやってんの?」
佐藤さんの冷たい声が頭上から降ってくる。
胸に感じていたあたたかさが消える。
「見ての通り、穗を食べようとしてる」
「ハァ」と呆れたようなため息が溢れる。
「あんた恥ずかしくないの?」
「全然」
「空井さんは違いそうだけど?」
全身が、恥ずかしさで火達磨になりそうだ。
「もう殺してください」
「それって食べていいってこと?」
「…違う!」
私は意を決して上半身を起こす。
少し上に体をずらして、永那ちゃんを避けた後、起き上がる。
胸元のボタンを留めて、髪を指で梳いて、スカートのシワを手で叩いて伸ばす。
微笑ましそうに永那ちゃんに見られていた。
私は永那ちゃんを睨んで、立ち上がる。
「ご、ごめんね」
私は必死に笑顔を作って佐藤さんに謝り、部屋から出て行った。
優里ちゃんを見れなくて、そのまま洗面台に向かう。
顔をビシャビシャと洗う。
洗面台に手をついて、肩で息をする。
永那ちゃんと付き合ってからずっと、2人で話せないのがもどかしかった。
それは仕方ないことだと、半分諦めてもいた。
クラスメイトの誰も知らない、2人の秘密の関係だったから。
いつかはバレることだったとしても、こんな形で良かったのか?
…でも、じゃあ、どんな形なら良かったのかも、私にはわからない。
確実にわかるのは、想像していたよりもずっと早かったということ。
永那ちゃんは、私をどんどん先へ先へと引っ張っていく。
その速さは、私の見ていた世界を目まぐるしく変えて、私は酔ってしまいそうだ。
永那ちゃんに告白されて、初めての恋に興奮した。
“興奮する”なんて、いつ以来だったろう?
今まで世間話程度しかしたことのなかった日住君と恋話をして、日住君の新たな一面を知った。
私の知らないことが、知らない感情が、この世界にはまだまだたくさんあるのだと、思い知った。
生徒会でしか話したことのない、それも業務連絡でしか話したことのなかった金井さんと、休日にも普通に話せるようになった。
本来だったら、例え休日にたまたま会ったとしても挨拶程度しか交わさなかっただろう。
佐藤さんが、大好きな人に手を振り払われて悲しかったこと…前だったら「その程度でなぜ泣くのだろう?」と思っていたはず。
その“なぜ”は、私が“知りたい”と思うまでに昇華しない。
私には未知の世界のこととして処理され、自分から踏み入れようとは決してしなかった。
全く共感できず、全く人に寄り添えず…私は、前の私のまま大人になっていたら、物凄く孤独な人間になっていたのだろうなと、怖くなる。
優里ちゃんが「名前で呼んでいい?」と聞いてくれて、学校でも当たり前のように話しかけてくれる。
そんな“友達”らしいこと、本当に、私はいつからしていなかったんだろう?
いつもクラスメイトからは“さん付け”、“敬語”。
誰かが家に遊びに来るなんてことも、初めてだった。
何もかもが、初めてだった。
感想 56
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