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2.変化
120.夏休み
テーブルに置いておいたタオルで誉の体を拭いてあげる。
新しい服に着替えさせて、お粥を口に運んであげる。
何度か繰り返したら、永那ちゃんが誉の部屋に入ってきた。
「永那ちゃん、先食べてていいよ」
「ううん、待ってる」
床に座って、ベッドを肘置きにしている。
「明日から穂、生徒会の合宿なんでしょ?」
「うん」
「お母さんも仕事?」
「そうだね」
お母さんに連絡したけど、お盆前で忙しいらしく、早く帰ってくることはあまり期待できない。
「あのさ、私が誉のこと見ようか?」
「え!?…いやいや、大丈夫だよ」
「そうなの?」
本心を言えば、ありがたい。
でも、そんなの申し訳なさすぎる。
「うん」
少しの沈黙がおりて、永那ちゃんが口を開く。
「私が誉の面倒みたら、迷惑?」
「…そんなことは、ないけど」
「じゃあ、やっぱり私が来るよ」
私は誉の口にお粥を運びながら、彼女を見る。
「本当に、いいの?疲れちゃうんじゃない?…熱がうつっても困るし」
「大丈夫だよ、どうせ暇だし」
…暇って言っても、バイトから帰って寝ればいいのに…と思ってしまう。
誉がご飯を食べ終えて、薬を飲ませたら、私達2人はダイニングテーブルに移動した。
「おいしそう。ザ・和食って感じがする」
「そう?魚もあればよかったのかもしれないけど、買いに行けなくて」
「全然!これで十分だよ」
永那ちゃんは毎回おいしそうにご飯を食べる。
こんなにもおいしそうに食べてくれるなら、料理は面倒だと思っていたけど、作りたいと思えてしまう。
「あ、そうだ」
私は立ち上がって、リビングにある棚の、鍵付きの引き出しを開ける。
「これ、忘れないうちに…」
家のスペアキーをわたす。
永那ちゃんが何度も目を瞬かせ、私を見る。
「え?こんな大事な物…いいの?」
「え、だって、来てくれるんでしょ?たぶん誉、出られないだろうし」
永那ちゃんの顔が綻んで、耳を赤く染める。
私はよくわからなくて、首を傾げる。
彼女は口元を手で押さえて、俯いてしまった。
「ありがとう」
小さく呟いて、鍵を受け取る。
「私のほうこそ、本当にありがとう。…生徒会の旅行、キャンセルしようかすごく迷ってたんだ」
「そうなんだ。…じゃあ、よかった」
彼女は鞄についているカラビナ、鍵がいくつかついている物に、私の家の鍵もつけた。
「来週の月曜日まで会えなくなるのに、寝たくないよ」
永那ちゃんが寝転がりながら言う。
「だめ。昨日寝なかったんだから、ちゃんと寝て?」
彼女の唇に、自分のを重ねる。
「ね?」と言うと、彼女は頷いて、すぐに瞼が落ちていく。
また1人の時間がやってくる。
そしていつも通り、4時過ぎに彼女を起こす。
彼女を起こすのにも、もうだいぶ慣れた。
「明日は8時に駅集合なんだよね?」
「うん」
「朝、会いたかったなあ…バイトサボろうかな」
「だめ」
「穂は、会いたくないの?」
うっ…。そりゃあ、会いたいに決まってる。
会いたくないなんて、思ったこともない。
「会いたいよ。会いたいけど、サボるのは…だめ」
永那ちゃんは唇を尖らせて、でも頷いた。
彼女に頬を包まれる。
目を閉じると、唇にぬくもりを感じた。
彼女の舌が入ってきて、私のに絡む。
別れを惜しむように、長く、長く。
糸を引いて、離れる。
「好きだよ、穂」
「私も好きだよ。永那ちゃん」
ギュッと抱きしめ合って、玄関でバイバイする。
彼女がエレベーターに乗るまで見送って、ドアを閉めた。
翌日、少しだけ誉の熱は下がっていたけれど、それでもまだ辛そうだった。
お母さんに、永那ちゃんが来てくれることを言ったら、仰天していた。
「申し訳ない…」と、私と全く同じことを思って、笑ってしまう。
誉を心配しつつ、肩掛けのボストンバッグを持って、私は駅に向かう。
7時50分頃につくと、生徒会長、金井さん、日住君が既にいた。
「おはようございます」
私が声をかけると、3人とも挨拶を返してくれる。
今回は生徒会の合宿と言っても、生徒が勝手に企画した旅行という扱いで、先生から「怪我のないように」と注意はあったものの、同行はない。
今回は8人参加予定なので、あと4人だ。
私のすぐ後に3人来て、最後に8時過ぎに1年生が遅れて来た。
県をまたいで、電車で1時間半のところに向かう。
1日目は郷土資料館や神社などを見て回って、街の散策も行う。
2日目は山登り。
3日目は川辺でバーベキューをして、帰る。
1泊目は民宿、2泊目はキャンプ場で宿泊予定。
この日程は、ほとんど生徒会長が独断で決めたものだ。
私達が意見しても、彼は主張を曲げないから、みんな諦めている。
なんだかんだと楽しそうなプランで、特に不満は出ていない。
不満なら参加しなければいいだけの話だ。
ちなみに3年生は受験勉強があるからか、生徒会長しか参加していない。
新しい服に着替えさせて、お粥を口に運んであげる。
何度か繰り返したら、永那ちゃんが誉の部屋に入ってきた。
「永那ちゃん、先食べてていいよ」
「ううん、待ってる」
床に座って、ベッドを肘置きにしている。
「明日から穂、生徒会の合宿なんでしょ?」
「うん」
「お母さんも仕事?」
「そうだね」
お母さんに連絡したけど、お盆前で忙しいらしく、早く帰ってくることはあまり期待できない。
「あのさ、私が誉のこと見ようか?」
「え!?…いやいや、大丈夫だよ」
「そうなの?」
本心を言えば、ありがたい。
でも、そんなの申し訳なさすぎる。
「うん」
少しの沈黙がおりて、永那ちゃんが口を開く。
「私が誉の面倒みたら、迷惑?」
「…そんなことは、ないけど」
「じゃあ、やっぱり私が来るよ」
私は誉の口にお粥を運びながら、彼女を見る。
「本当に、いいの?疲れちゃうんじゃない?…熱がうつっても困るし」
「大丈夫だよ、どうせ暇だし」
…暇って言っても、バイトから帰って寝ればいいのに…と思ってしまう。
誉がご飯を食べ終えて、薬を飲ませたら、私達2人はダイニングテーブルに移動した。
「おいしそう。ザ・和食って感じがする」
「そう?魚もあればよかったのかもしれないけど、買いに行けなくて」
「全然!これで十分だよ」
永那ちゃんは毎回おいしそうにご飯を食べる。
こんなにもおいしそうに食べてくれるなら、料理は面倒だと思っていたけど、作りたいと思えてしまう。
「あ、そうだ」
私は立ち上がって、リビングにある棚の、鍵付きの引き出しを開ける。
「これ、忘れないうちに…」
家のスペアキーをわたす。
永那ちゃんが何度も目を瞬かせ、私を見る。
「え?こんな大事な物…いいの?」
「え、だって、来てくれるんでしょ?たぶん誉、出られないだろうし」
永那ちゃんの顔が綻んで、耳を赤く染める。
私はよくわからなくて、首を傾げる。
彼女は口元を手で押さえて、俯いてしまった。
「ありがとう」
小さく呟いて、鍵を受け取る。
「私のほうこそ、本当にありがとう。…生徒会の旅行、キャンセルしようかすごく迷ってたんだ」
「そうなんだ。…じゃあ、よかった」
彼女は鞄についているカラビナ、鍵がいくつかついている物に、私の家の鍵もつけた。
「来週の月曜日まで会えなくなるのに、寝たくないよ」
永那ちゃんが寝転がりながら言う。
「だめ。昨日寝なかったんだから、ちゃんと寝て?」
彼女の唇に、自分のを重ねる。
「ね?」と言うと、彼女は頷いて、すぐに瞼が落ちていく。
また1人の時間がやってくる。
そしていつも通り、4時過ぎに彼女を起こす。
彼女を起こすのにも、もうだいぶ慣れた。
「明日は8時に駅集合なんだよね?」
「うん」
「朝、会いたかったなあ…バイトサボろうかな」
「だめ」
「穂は、会いたくないの?」
うっ…。そりゃあ、会いたいに決まってる。
会いたくないなんて、思ったこともない。
「会いたいよ。会いたいけど、サボるのは…だめ」
永那ちゃんは唇を尖らせて、でも頷いた。
彼女に頬を包まれる。
目を閉じると、唇にぬくもりを感じた。
彼女の舌が入ってきて、私のに絡む。
別れを惜しむように、長く、長く。
糸を引いて、離れる。
「好きだよ、穂」
「私も好きだよ。永那ちゃん」
ギュッと抱きしめ合って、玄関でバイバイする。
彼女がエレベーターに乗るまで見送って、ドアを閉めた。
翌日、少しだけ誉の熱は下がっていたけれど、それでもまだ辛そうだった。
お母さんに、永那ちゃんが来てくれることを言ったら、仰天していた。
「申し訳ない…」と、私と全く同じことを思って、笑ってしまう。
誉を心配しつつ、肩掛けのボストンバッグを持って、私は駅に向かう。
7時50分頃につくと、生徒会長、金井さん、日住君が既にいた。
「おはようございます」
私が声をかけると、3人とも挨拶を返してくれる。
今回は生徒会の合宿と言っても、生徒が勝手に企画した旅行という扱いで、先生から「怪我のないように」と注意はあったものの、同行はない。
今回は8人参加予定なので、あと4人だ。
私のすぐ後に3人来て、最後に8時過ぎに1年生が遅れて来た。
県をまたいで、電車で1時間半のところに向かう。
1日目は郷土資料館や神社などを見て回って、街の散策も行う。
2日目は山登り。
3日目は川辺でバーベキューをして、帰る。
1泊目は民宿、2泊目はキャンプ場で宿泊予定。
この日程は、ほとんど生徒会長が独断で決めたものだ。
私達が意見しても、彼は主張を曲げないから、みんな諦めている。
なんだかんだと楽しそうなプランで、特に不満は出ていない。
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