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3.成長
122.噂
観光マップを生徒会長が広げる。
スマホで見るよりも、街にどんな物があるのかパッとわかるから、やっぱり紙はあるにこしたことはないと思う。
「まずは郷土資料館に行って、この街の歴史を学んでから散策しよう。そのほうが楽しいだろう」
数人は少し興味なさげだけれど、みんな従う。
郷土資料館では、発掘された昔の道具とかの展示と、街に生息している動植物が書かれていた。
興味のない人達はサッと展示を見た後、出入り口にあるベンチに座っていた。
私、生徒会長、日住君、金井さんともう1人はじっくり見ていた。
日住君はわかるけど、金井さんは意外だった。
でも彼女をチラリと見ると、ずっと日住君を見ていたから、金井さんは展示を見ているわけではないのだとすぐにわかる。
生徒会長の言う通り、歴史を知ってから街を散策すると、歩くだけで楽しい。
お土産屋さんもあって、みんな各々買い物をして楽しんでいた。
それを見た生徒会長が、観光案内所に4時集合とみんなに告げた。
それぞれ仲良しの人と組んで、バラバラになる。
生徒会長は1人で楽しそうに、独り言を呟きながら歩き始めた。
「空井先輩、一緒に行きましょう?」
日住君が言う。
横には金井さんが立っていた。
「私はいいや、お誘いありがとう」
できるだけ2人の時間を邪魔したくない。
私も生徒会長を真似て、1人で歩く。
…ああ、永那ちゃんと来られたら、楽しいだろうなあ。
でも、永那ちゃんは街の歴史とかには興味がないかな?
眠そうにサーッと読んで、じっくり見る私を待っているイメージができる。
でも意外と、成績も良いし、じっくり読んでくれたりするのかな?
どっちなんだろう?
「この橋かな?」
郷土資料館で見た、昔からあるという橋を眺める。
…そうだ。今まで、お土産を誰かに買うという思考がなかったけど、永那ちゃんに買ってあげたいな。
そんなふうに、1人で永那ちゃんのことばかり考えながら歩いていると、あっという間に4時になった。
みんなで、会長が予約してくれた民宿に向かう。
ちょうど男女4人ずつで、部屋は4人4人で分かれている。
…さっき(電車の中)のことがあるから、同級生2人と同じ部屋というのは、少し気が重い。
金井さんも、金井さんなりの正義感で行動してくれるのは嬉しいけれど、それが良いほうに転じるといった感じもしなくて、余計に気が重い。
4時半過ぎに宿について、それぞれ部屋に向かう。
6時から夕飯の予定だ。
「わあ、けっこう眺めいいね」
「そうですね」
そんなに値段の高い宿ではなかったけれど、宿のそばに川が流れていて、心地いい。
同級生の2人は部屋の隅で何やら楽しそうに話している。
…まあ、勝手に2人で楽しんでいる分には、何も問題はないか。
「ねえ、日住君と、何か進展あった?」
私は小声で言う。
「2人で遊ぶことは増えました」
「よかったね!」
金井さんが伏し目がちに、嬉しそうに微笑んだ。
「さっき、ありがとうございました」
「ん?」
「2人になれるように、断ってくれたんですよね?」
「ああ…まあね…。でも、私も1人でいろいろ考えたかったし、ちょうど良かったよ」
「何を考えてたんですか?…ああ、言いたくなければ、べつに」
金井さんの気遣いにフフッと笑う。
「くだらないことだよ。永那ちゃんと来たらどんなふうなんだろう?とか、どんなお土産が喜ぶかなあ?とか」
金井さんも笑う。
「本当に先輩は、両角先輩が好きなんですね」
そう言われて、顔がポッと熱くなる。
「…うん」
「ノロケてもいいですよ?」
金井さんを見ると、優しく微笑まれていた。
「え…そんな…」
「どうぞ?…夏休み、どんなふうに過ごしたんですか?」
私は鼓動が速まるのを感じつつ、思い出す。
「永那ちゃんが、ほとんど毎日家に来てくれて」
「へえ」
「今日もね、弟が熱出しちゃって」
「え、大丈夫なんですか?」
「うん、いつものことだから。…でも、永那ちゃんが看病してくれるって、家に来てくれたの。もう、この時間だと、帰ってるだろうけど」
「へえ、弟さんとも仲良しなんですね。家族ぐるみの関係、憧れます」
金井さんが私の耳元に近づくから、私も肩を寄せる。
「ちなみに、毎日家にってことは…体の関係も…?」
カーッと顔が熱くなる。
私は両手で顔を覆って「ま、まあ…それは…」と言う。
何も反応が返ってこないから、指のすき間から金井さんを見た。
彼女の顔もほんのりピンク色になっていて「そうですか」と一言。
「どうでした?」
「え、それ聞く?」
「知りたいです」
「それは…恥ずかしすぎて、無理」
「そうですか。…いいですね、ラブラブで」
「金井さんは、日住君に告白したりしないの?」
「しようとは、思ってます」
「いつ頃とか、考えてるの?」
「夏祭りの日がいいかなと」
「そーなんだ!頑張ってね」
「…はい。その前に、ちょっと解決しなければならない問題はありますが」
「そうなの?どんな問題?」
「日住君の好きな人についてです」
「あー…そっか。日住君の好きな人」
すっかり忘れていたけど、彼には好きな人がいるんだった。
詳しく聞こうと思って、忘れていた。
相談に乗ってもらったのに、私は何もしてあげられていなかった。
ちょっと永那ちゃんとのことで浮かれすぎていたかもしれない。
いつか、私も相談に乗ってあげないと。
金井さんを見ると、目を細くして、私をジッと見ていてびっくりした。
「なに?」
「いえ、先輩は…」
「ん?」
「先輩は、けっこう鈍感なんですね」
「え?」
なんとなく、金井さんに睨まれている気がした。
スマホで見るよりも、街にどんな物があるのかパッとわかるから、やっぱり紙はあるにこしたことはないと思う。
「まずは郷土資料館に行って、この街の歴史を学んでから散策しよう。そのほうが楽しいだろう」
数人は少し興味なさげだけれど、みんな従う。
郷土資料館では、発掘された昔の道具とかの展示と、街に生息している動植物が書かれていた。
興味のない人達はサッと展示を見た後、出入り口にあるベンチに座っていた。
私、生徒会長、日住君、金井さんともう1人はじっくり見ていた。
日住君はわかるけど、金井さんは意外だった。
でも彼女をチラリと見ると、ずっと日住君を見ていたから、金井さんは展示を見ているわけではないのだとすぐにわかる。
生徒会長の言う通り、歴史を知ってから街を散策すると、歩くだけで楽しい。
お土産屋さんもあって、みんな各々買い物をして楽しんでいた。
それを見た生徒会長が、観光案内所に4時集合とみんなに告げた。
それぞれ仲良しの人と組んで、バラバラになる。
生徒会長は1人で楽しそうに、独り言を呟きながら歩き始めた。
「空井先輩、一緒に行きましょう?」
日住君が言う。
横には金井さんが立っていた。
「私はいいや、お誘いありがとう」
できるだけ2人の時間を邪魔したくない。
私も生徒会長を真似て、1人で歩く。
…ああ、永那ちゃんと来られたら、楽しいだろうなあ。
でも、永那ちゃんは街の歴史とかには興味がないかな?
眠そうにサーッと読んで、じっくり見る私を待っているイメージができる。
でも意外と、成績も良いし、じっくり読んでくれたりするのかな?
どっちなんだろう?
「この橋かな?」
郷土資料館で見た、昔からあるという橋を眺める。
…そうだ。今まで、お土産を誰かに買うという思考がなかったけど、永那ちゃんに買ってあげたいな。
そんなふうに、1人で永那ちゃんのことばかり考えながら歩いていると、あっという間に4時になった。
みんなで、会長が予約してくれた民宿に向かう。
ちょうど男女4人ずつで、部屋は4人4人で分かれている。
…さっき(電車の中)のことがあるから、同級生2人と同じ部屋というのは、少し気が重い。
金井さんも、金井さんなりの正義感で行動してくれるのは嬉しいけれど、それが良いほうに転じるといった感じもしなくて、余計に気が重い。
4時半過ぎに宿について、それぞれ部屋に向かう。
6時から夕飯の予定だ。
「わあ、けっこう眺めいいね」
「そうですね」
そんなに値段の高い宿ではなかったけれど、宿のそばに川が流れていて、心地いい。
同級生の2人は部屋の隅で何やら楽しそうに話している。
…まあ、勝手に2人で楽しんでいる分には、何も問題はないか。
「ねえ、日住君と、何か進展あった?」
私は小声で言う。
「2人で遊ぶことは増えました」
「よかったね!」
金井さんが伏し目がちに、嬉しそうに微笑んだ。
「さっき、ありがとうございました」
「ん?」
「2人になれるように、断ってくれたんですよね?」
「ああ…まあね…。でも、私も1人でいろいろ考えたかったし、ちょうど良かったよ」
「何を考えてたんですか?…ああ、言いたくなければ、べつに」
金井さんの気遣いにフフッと笑う。
「くだらないことだよ。永那ちゃんと来たらどんなふうなんだろう?とか、どんなお土産が喜ぶかなあ?とか」
金井さんも笑う。
「本当に先輩は、両角先輩が好きなんですね」
そう言われて、顔がポッと熱くなる。
「…うん」
「ノロケてもいいですよ?」
金井さんを見ると、優しく微笑まれていた。
「え…そんな…」
「どうぞ?…夏休み、どんなふうに過ごしたんですか?」
私は鼓動が速まるのを感じつつ、思い出す。
「永那ちゃんが、ほとんど毎日家に来てくれて」
「へえ」
「今日もね、弟が熱出しちゃって」
「え、大丈夫なんですか?」
「うん、いつものことだから。…でも、永那ちゃんが看病してくれるって、家に来てくれたの。もう、この時間だと、帰ってるだろうけど」
「へえ、弟さんとも仲良しなんですね。家族ぐるみの関係、憧れます」
金井さんが私の耳元に近づくから、私も肩を寄せる。
「ちなみに、毎日家にってことは…体の関係も…?」
カーッと顔が熱くなる。
私は両手で顔を覆って「ま、まあ…それは…」と言う。
何も反応が返ってこないから、指のすき間から金井さんを見た。
彼女の顔もほんのりピンク色になっていて「そうですか」と一言。
「どうでした?」
「え、それ聞く?」
「知りたいです」
「それは…恥ずかしすぎて、無理」
「そうですか。…いいですね、ラブラブで」
「金井さんは、日住君に告白したりしないの?」
「しようとは、思ってます」
「いつ頃とか、考えてるの?」
「夏祭りの日がいいかなと」
「そーなんだ!頑張ってね」
「…はい。その前に、ちょっと解決しなければならない問題はありますが」
「そうなの?どんな問題?」
「日住君の好きな人についてです」
「あー…そっか。日住君の好きな人」
すっかり忘れていたけど、彼には好きな人がいるんだった。
詳しく聞こうと思って、忘れていた。
相談に乗ってもらったのに、私は何もしてあげられていなかった。
ちょっと永那ちゃんとのことで浮かれすぎていたかもしれない。
いつか、私も相談に乗ってあげないと。
金井さんを見ると、目を細くして、私をジッと見ていてびっくりした。
「なに?」
「いえ、先輩は…」
「ん?」
「先輩は、けっこう鈍感なんですね」
「え?」
なんとなく、金井さんに睨まれている気がした。
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