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3.成長
132.噂
翌日、まだ咳が酷いからと、永那ちゃんは家には来なかった。
生徒会の旅行で使ったボストンバッグに、自分の荷物を入れていく。
なんだか、もう1週間以上、ろくに永那ちゃんと触れ合えていない。
誉の熱をうつしてしまったわけだし、仕方ないことだけれど、ずっと、旅行のときからモヤモヤみたいなのが心にあって、居心地が悪い。
来週まで会えないとすると、2週間も触れ合えないことになる。
永那ちゃんと2人きりで話したい。
念のため誉の鞄の中を確認して、準備終了。
…今年の夏はバタバタだなあ。
5時頃お母さんが帰ってきて、1時間で準備して、家を出た。
最悪足りないものがあっても買えるだろう、というのがお母さんの考え方で、準備も適当だ。
お母さんの荒い運転で車に揺られながら、私は目を閉じる。
…いろんなことがありすぎた。
感情の起伏が激しくて、そこまで疲れている感じはしないのに、体がダルい。
普段は眠れないのに、あまりに体がダルくて、眠ってしまった。
一度サービスエリアで休憩して、夜ご飯を食べる。
少し渋滞していたけど、概ね通常通りにおばあちゃんの家についた。
夏に来るのは3年ぶりかな?
おばあちゃんの家は広くて、和室が多いからか不思議と“帰ってきた”っていう感覚になる。
おじいちゃんは私が小さい頃に亡くなった。
だから今は、この広い家におばあちゃん1人が住んでいる。
「あんた、もうちょっと早く言うとかできないの?ザッとしか掃除できないじゃないの」
「もー、仕事が忙しいの。来れるかどうかもわからないんだから」
お母さんはつくなりビールをあけて寝転がった。
「あー、疲れた」
私は誉を連れて、寝室に向かう。
もう既に3人分の布団が敷かれていて、今すぐにでも寝転びたくなる。
…と、思っていたら、誉が寝転んだ。
「誉、お風呂入ってからにしてよ」
「いいじゃん、どうせずっと車の中だったんだし」
「ハァ」とため息をつく。
次の日以降、特にやることもないから、散歩した。
誉が付き合ってくれたり、1人だったり。
誉はゲームを持ってきていたから、部屋で転がって遊んだりしていた。
お母さんは寝てるかビールを飲んでいるかのどっちか。
おばあちゃんがご飯の準備も、布団の出し入れも、何もかもしてくれるから、基本的に私は暇だった。
丘にあるベンチに座って、田畑を眺める。
セミの鳴き声がうるさいくらいに大きい。
永那ちゃんは今頃、何をしているんだろう?
メッセージを送ろうか迷ったけど、やめた。
ショルダーバッグに入れておいた本を出して、読む。
暑くて汗が垂れるけど、不思議と家に帰ろうとは思わなかった。
4日過ごして、私達は家に帰ることになった。
「あー、まだ帰りたくないー」と駄々をこねるのはお母さん。
それでも最後にはいつも通り、ドタバタと帰る支度をする。
『今日、帰るよ』
永那ちゃんに連絡する。
明日、会えるかなあ?
それとも、明後日かな?
返事がくるのは明日の朝だと思っていたけれど、すぐにきた。
『明日会えるの?』
同じことを考えていて、フフッと笑みが溢れる。
『会いたい』
『穂の家?』
「お母さん」
運転しているお母さんに声をかける。
「なに?」
「明日って、お母さん家にいるの?」
「うん、一応ね。なんで?」
「いや、なんでもない。出かけようと思って」
「そうなんだ。わかった」
『お母さんいるから、どこかに出かけない?お散歩でもいいよ』
『了解、じゃあ駅で待ち合わせよう』
『わかった』
のんびり過ごせたからか、心のモヤモヤは、ほんの少し晴れていた。
純粋に、永那ちゃんに会えるのが楽しみに思える。
家についたのは4時だった。
おばあちゃんがタッパーに入れてくれたご飯の数々を、冷蔵庫に入れる。
これで今日と明日はご飯を作らなくても大丈夫そうだ。
朝9時に駅待ち合わせ。
8時40分についても、やっぱり永那ちゃんはもういる。
「穂、早いね」
「早く会いたかったから」
永那ちゃんが笑みを浮かべる。…けど、どことなく悲しげだ。
「今日も、バイトだったの?」
「うん、お盆は会社が休みだからか、朝は暇だよ」
「そうなんだ、おつかれさま」
「ありがと」
私が彼女の手に触れると、それに気づいて、繋いでくれる。
「永那ちゃん、風邪は?」
大きな公園に向かう。
「もう、大丈夫。ありがとう」
「よかった…」
無言のまま、2人で歩く。
しばらくの沈黙がおりた後「穂」と名前を呼ばれた。
彼女を見ると、何か言いたげで…でも躊躇うような表情を浮かべていた。
「どうしたの?」
不安になって、手を強く握る。
「…穂、何か忘れてない?」
そう言われて、必死に考える。
「…あ!お土産!」
永那ちゃんを見ると、彼女は何度か瞬きして、プッと吹き出す。
「ご、ごめんね?また忘れちゃった…」
永那ちゃんは伏し目がちに、少し呆れたように笑った。
「それも、そうかもしれないけど…別のこと」
「え!?」
眉頭に力が入るけど、何も浮かばない。
なんだろう?
何か約束とかしてたっけ?
永那ちゃんが小さくため息をつく。
「穂にとっては、あんまり大事なことじゃないんだね」
今にも泣いてしまいそうな表情に、どうすればいいかわからず、ただ何度も空気を飲み込む。
「ごめん…ごめんね?」
「いいよ」
笑みを浮かべるけど、必死に口角を上げているのがわかる。
生徒会の旅行で使ったボストンバッグに、自分の荷物を入れていく。
なんだか、もう1週間以上、ろくに永那ちゃんと触れ合えていない。
誉の熱をうつしてしまったわけだし、仕方ないことだけれど、ずっと、旅行のときからモヤモヤみたいなのが心にあって、居心地が悪い。
来週まで会えないとすると、2週間も触れ合えないことになる。
永那ちゃんと2人きりで話したい。
念のため誉の鞄の中を確認して、準備終了。
…今年の夏はバタバタだなあ。
5時頃お母さんが帰ってきて、1時間で準備して、家を出た。
最悪足りないものがあっても買えるだろう、というのがお母さんの考え方で、準備も適当だ。
お母さんの荒い運転で車に揺られながら、私は目を閉じる。
…いろんなことがありすぎた。
感情の起伏が激しくて、そこまで疲れている感じはしないのに、体がダルい。
普段は眠れないのに、あまりに体がダルくて、眠ってしまった。
一度サービスエリアで休憩して、夜ご飯を食べる。
少し渋滞していたけど、概ね通常通りにおばあちゃんの家についた。
夏に来るのは3年ぶりかな?
おばあちゃんの家は広くて、和室が多いからか不思議と“帰ってきた”っていう感覚になる。
おじいちゃんは私が小さい頃に亡くなった。
だから今は、この広い家におばあちゃん1人が住んでいる。
「あんた、もうちょっと早く言うとかできないの?ザッとしか掃除できないじゃないの」
「もー、仕事が忙しいの。来れるかどうかもわからないんだから」
お母さんはつくなりビールをあけて寝転がった。
「あー、疲れた」
私は誉を連れて、寝室に向かう。
もう既に3人分の布団が敷かれていて、今すぐにでも寝転びたくなる。
…と、思っていたら、誉が寝転んだ。
「誉、お風呂入ってからにしてよ」
「いいじゃん、どうせずっと車の中だったんだし」
「ハァ」とため息をつく。
次の日以降、特にやることもないから、散歩した。
誉が付き合ってくれたり、1人だったり。
誉はゲームを持ってきていたから、部屋で転がって遊んだりしていた。
お母さんは寝てるかビールを飲んでいるかのどっちか。
おばあちゃんがご飯の準備も、布団の出し入れも、何もかもしてくれるから、基本的に私は暇だった。
丘にあるベンチに座って、田畑を眺める。
セミの鳴き声がうるさいくらいに大きい。
永那ちゃんは今頃、何をしているんだろう?
メッセージを送ろうか迷ったけど、やめた。
ショルダーバッグに入れておいた本を出して、読む。
暑くて汗が垂れるけど、不思議と家に帰ろうとは思わなかった。
4日過ごして、私達は家に帰ることになった。
「あー、まだ帰りたくないー」と駄々をこねるのはお母さん。
それでも最後にはいつも通り、ドタバタと帰る支度をする。
『今日、帰るよ』
永那ちゃんに連絡する。
明日、会えるかなあ?
それとも、明後日かな?
返事がくるのは明日の朝だと思っていたけれど、すぐにきた。
『明日会えるの?』
同じことを考えていて、フフッと笑みが溢れる。
『会いたい』
『穂の家?』
「お母さん」
運転しているお母さんに声をかける。
「なに?」
「明日って、お母さん家にいるの?」
「うん、一応ね。なんで?」
「いや、なんでもない。出かけようと思って」
「そうなんだ。わかった」
『お母さんいるから、どこかに出かけない?お散歩でもいいよ』
『了解、じゃあ駅で待ち合わせよう』
『わかった』
のんびり過ごせたからか、心のモヤモヤは、ほんの少し晴れていた。
純粋に、永那ちゃんに会えるのが楽しみに思える。
家についたのは4時だった。
おばあちゃんがタッパーに入れてくれたご飯の数々を、冷蔵庫に入れる。
これで今日と明日はご飯を作らなくても大丈夫そうだ。
朝9時に駅待ち合わせ。
8時40分についても、やっぱり永那ちゃんはもういる。
「穂、早いね」
「早く会いたかったから」
永那ちゃんが笑みを浮かべる。…けど、どことなく悲しげだ。
「今日も、バイトだったの?」
「うん、お盆は会社が休みだからか、朝は暇だよ」
「そうなんだ、おつかれさま」
「ありがと」
私が彼女の手に触れると、それに気づいて、繋いでくれる。
「永那ちゃん、風邪は?」
大きな公園に向かう。
「もう、大丈夫。ありがとう」
「よかった…」
無言のまま、2人で歩く。
しばらくの沈黙がおりた後「穂」と名前を呼ばれた。
彼女を見ると、何か言いたげで…でも躊躇うような表情を浮かべていた。
「どうしたの?」
不安になって、手を強く握る。
「…穂、何か忘れてない?」
そう言われて、必死に考える。
「…あ!お土産!」
永那ちゃんを見ると、彼女は何度か瞬きして、プッと吹き出す。
「ご、ごめんね?また忘れちゃった…」
永那ちゃんは伏し目がちに、少し呆れたように笑った。
「それも、そうかもしれないけど…別のこと」
「え!?」
眉頭に力が入るけど、何も浮かばない。
なんだろう?
何か約束とかしてたっけ?
永那ちゃんが小さくため息をつく。
「穂にとっては、あんまり大事なことじゃないんだね」
今にも泣いてしまいそうな表情に、どうすればいいかわからず、ただ何度も空気を飲み込む。
「ごめん…ごめんね?」
「いいよ」
笑みを浮かべるけど、必死に口角を上げているのがわかる。
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