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3.成長
139.海とか祭りとか
もう、玄関にお土産を置いておいた。
そんな大したものじゃないけど…ずっと人への贈り物を持ったままというのも落ち着かない。
永那ちゃんが家に来て、すぐわたす。
「わあ!お饅頭?…と、キーホルダー?」
「お揃いなの。永那ちゃん、鍵たくさんつけてたから…。あのね、最初に資料館で地域に生息している動物とかを知ってから街を散策したの。そしたらタヌキがね、いたの!見たんだよー!」
だから、タヌキのキーホルダー。
「そうなんだ」
永那ちゃんの顔が蕩けるように綻んで、頭を撫でてくれた。
「ありがとう。つけるね」
そう言って、カラビナにキーホルダーをつけてくれる。
「あ、鍵返してなかった」
「…いいよ!」
「え?」
「永那ちゃん、持ってて」
「え、でも」
「嫌?」
「全然!全然、嫌じゃない…嬉しい、けど、本当にいいの?」
「うん!」
前に永那ちゃんに鍵を預けたとき、喜んでいたから。
これで喜んでくれるなら、いくらでもあげたい。
「永那ー!」
誉が走ってくる。
「誉、おはよ」
「おはよ!…あのさ、明日の作戦会議しよーぜ!」
作戦会議?
「おー、いいともー」
私は永那ちゃんのお茶を用意して、ローテーブルの前に座る。
「俺、海の家調べたんだよ?」
「ほぅ?」
「千陽は、何食べたいかなあ?」
…その話か。
「とりあえず、トマトは絶対NG」
「うん、バーガー系のものとかありそうだったけど、それもだめかな?」
「そうだなー、あいつ、基本ポテトとか、絶対トマト入ってないやつを頼むから…避けたほうがいいかも」
「俺はさ?串焼きがおいしそうだなって思ったんだよね」
「わ!なにこれ、めっちゃおいしそう」
「だろー?」
私が誉のスマホを覗きこむと、ステーキが串に刺さっていた。
「あとは…焼きとうもろこし」
「あー、それは千陽だめだな」
「なんで?」
「歯に挟まるから。あいつ、青のりとかも嫌がる」
「へえ…なんで?」
「え、歯に挟まるからだって」
「なんで歯に挟まるとだめなの?」
永那ちゃんがポリポリ頭を掻く。
「歯に挟まって、それがずっとついたままだと見た目も悪いし、なんか気持ち悪くない?」
「うん」
「それを取る姿を、見せたくないんだって」
「ふーん」
誉はあんまり理解していなさそうな顔で、とりあえず頷いていた。
「イカ焼きもあるんだよ?それは?」
「いいんじゃない?」
誉が嬉しそうに笑う。
「あと、誉」
「ん?」
「大事なのは、ずっと千陽のそばにいることだからね?」
「うん!わかってる!」
「あいつは、いろんな人から話しかけられる。誉は、それを守る。わかった?」
「うん!」
…ん?永那ちゃん、佐藤さんを守る役目を、誉にやらせようとしてない?
まだ誉、小学生なんだけどな。無理だと思うんだけどな。
その後も、1時間くらい2人は何やら作戦を立てていて、私は暇になってテレビを見た。
「永那ちゃん、明日寝られないんだから、そろそろ寝て?」
そう言うと、2人は解散した。
私はベッドまで彼女を送って、いつものようにキスをして、寝るのを見届けた。
誉はルンルンしながら、何度も明日の持ち物をチェックしていた。
お母さんから特別にお小遣いが支給されたらしく、目を輝かせている。
「姉ちゃん、俺さ」
「ん?」
「鍛えたほうがいいかな?」
誉がTシャツを脱いで、自分の腕やお腹を見ている。
思わず吹き出して笑ってしまう。
「な、なんだよー!」
「そんなに佐藤さんが好きなの?」
「え!?…そ、そういうわけじゃないけど」
私はお煎餅を口に運びながら誉を眺める。
「だって、いざってときに姉ちゃんのこともお母さんのことも守れるでしょ?」
…少し、嬉しい。
「誉の好きにしたら?」
そう言って、私は綻びそうになる口元を隠すように俯いた。
冷蔵庫を開けて、何もないことに気づく。
急いで買い物に行って、今日のお昼はお惣菜にすることにした。
お昼を食べた後、永那ちゃんはやっぱり寝るのを渋ったけど、強引に寝かせる。
ベッドに寝転がらせてしまえば、彼女の瞼は勝手に落ちていく。
彼女に口付けする。
何度か繰り返せば、彼女は起きる。
いつも幸せそうに笑って「おはよう」と言ってくれる。
誉と一緒に玄関まで見送る。
ギュッと抱きしめられて、思わず誉を見る。
誉は恥ずかしげに頭をポリポリ掻いて、目をそらす。
フッとそばで笑う声がして顔を戻すと、キスされた。
全身が一気に熱くなる。
すぐに離れて、永那ちゃんが笑う。
「え、永那ちゃん…!」
彼女の胸をポカポカ叩く。
恥ずかしくて誉を見れない。
「アメリカ人じゃないんだから!!!」
「え?アメリカ人?」
「わ、私は、そんな、まだ、人前でできる、心の準備なんて、できてないの!…しかも、誉の、前で!!」
「ヒューヒュー」
誉が目をそらしながらからかう。
永那ちゃんが私の頭をポンポンと撫でる。
「んじゃ2人とも、また明日ね」
私は何度も前髪を指で梳いて、彼女がエレベーターに乗るまで見送った。
そんな大したものじゃないけど…ずっと人への贈り物を持ったままというのも落ち着かない。
永那ちゃんが家に来て、すぐわたす。
「わあ!お饅頭?…と、キーホルダー?」
「お揃いなの。永那ちゃん、鍵たくさんつけてたから…。あのね、最初に資料館で地域に生息している動物とかを知ってから街を散策したの。そしたらタヌキがね、いたの!見たんだよー!」
だから、タヌキのキーホルダー。
「そうなんだ」
永那ちゃんの顔が蕩けるように綻んで、頭を撫でてくれた。
「ありがとう。つけるね」
そう言って、カラビナにキーホルダーをつけてくれる。
「あ、鍵返してなかった」
「…いいよ!」
「え?」
「永那ちゃん、持ってて」
「え、でも」
「嫌?」
「全然!全然、嫌じゃない…嬉しい、けど、本当にいいの?」
「うん!」
前に永那ちゃんに鍵を預けたとき、喜んでいたから。
これで喜んでくれるなら、いくらでもあげたい。
「永那ー!」
誉が走ってくる。
「誉、おはよ」
「おはよ!…あのさ、明日の作戦会議しよーぜ!」
作戦会議?
「おー、いいともー」
私は永那ちゃんのお茶を用意して、ローテーブルの前に座る。
「俺、海の家調べたんだよ?」
「ほぅ?」
「千陽は、何食べたいかなあ?」
…その話か。
「とりあえず、トマトは絶対NG」
「うん、バーガー系のものとかありそうだったけど、それもだめかな?」
「そうだなー、あいつ、基本ポテトとか、絶対トマト入ってないやつを頼むから…避けたほうがいいかも」
「俺はさ?串焼きがおいしそうだなって思ったんだよね」
「わ!なにこれ、めっちゃおいしそう」
「だろー?」
私が誉のスマホを覗きこむと、ステーキが串に刺さっていた。
「あとは…焼きとうもろこし」
「あー、それは千陽だめだな」
「なんで?」
「歯に挟まるから。あいつ、青のりとかも嫌がる」
「へえ…なんで?」
「え、歯に挟まるからだって」
「なんで歯に挟まるとだめなの?」
永那ちゃんがポリポリ頭を掻く。
「歯に挟まって、それがずっとついたままだと見た目も悪いし、なんか気持ち悪くない?」
「うん」
「それを取る姿を、見せたくないんだって」
「ふーん」
誉はあんまり理解していなさそうな顔で、とりあえず頷いていた。
「イカ焼きもあるんだよ?それは?」
「いいんじゃない?」
誉が嬉しそうに笑う。
「あと、誉」
「ん?」
「大事なのは、ずっと千陽のそばにいることだからね?」
「うん!わかってる!」
「あいつは、いろんな人から話しかけられる。誉は、それを守る。わかった?」
「うん!」
…ん?永那ちゃん、佐藤さんを守る役目を、誉にやらせようとしてない?
まだ誉、小学生なんだけどな。無理だと思うんだけどな。
その後も、1時間くらい2人は何やら作戦を立てていて、私は暇になってテレビを見た。
「永那ちゃん、明日寝られないんだから、そろそろ寝て?」
そう言うと、2人は解散した。
私はベッドまで彼女を送って、いつものようにキスをして、寝るのを見届けた。
誉はルンルンしながら、何度も明日の持ち物をチェックしていた。
お母さんから特別にお小遣いが支給されたらしく、目を輝かせている。
「姉ちゃん、俺さ」
「ん?」
「鍛えたほうがいいかな?」
誉がTシャツを脱いで、自分の腕やお腹を見ている。
思わず吹き出して笑ってしまう。
「な、なんだよー!」
「そんなに佐藤さんが好きなの?」
「え!?…そ、そういうわけじゃないけど」
私はお煎餅を口に運びながら誉を眺める。
「だって、いざってときに姉ちゃんのこともお母さんのことも守れるでしょ?」
…少し、嬉しい。
「誉の好きにしたら?」
そう言って、私は綻びそうになる口元を隠すように俯いた。
冷蔵庫を開けて、何もないことに気づく。
急いで買い物に行って、今日のお昼はお惣菜にすることにした。
お昼を食べた後、永那ちゃんはやっぱり寝るのを渋ったけど、強引に寝かせる。
ベッドに寝転がらせてしまえば、彼女の瞼は勝手に落ちていく。
彼女に口付けする。
何度か繰り返せば、彼女は起きる。
いつも幸せそうに笑って「おはよう」と言ってくれる。
誉と一緒に玄関まで見送る。
ギュッと抱きしめられて、思わず誉を見る。
誉は恥ずかしげに頭をポリポリ掻いて、目をそらす。
フッとそばで笑う声がして顔を戻すと、キスされた。
全身が一気に熱くなる。
すぐに離れて、永那ちゃんが笑う。
「え、永那ちゃん…!」
彼女の胸をポカポカ叩く。
恥ずかしくて誉を見れない。
「アメリカ人じゃないんだから!!!」
「え?アメリカ人?」
「わ、私は、そんな、まだ、人前でできる、心の準備なんて、できてないの!…しかも、誉の、前で!!」
「ヒューヒュー」
誉が目をそらしながらからかう。
永那ちゃんが私の頭をポンポンと撫でる。
「んじゃ2人とも、また明日ね」
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