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3.成長
141.海とか祭りとか
「ち、千陽!?…新しく買った水着は!?どうした!?」
永那が慌てふためく。
弟は、空井さんと全く同じ反応。
「あたしが何着ようが自由でしょ?」
もっと、かまって。
「ハァ」と永那がため息をつく。
「なんか上に着ろよ」
「やだ」
「まあ、とりあえず、海行く?」
優里が言う。
みんなが頷いて、波打ち際に行く。
「わー!気持ちいい!」
優里がどんどん奥に行く。
弟も走って奥に行って優里と水をかけあって遊ぶ。
空井さんは足元の水を蹴っていた。
永那がその様子を微笑ましそうに見ている。
すぐに目をそらして、あたしは優里のほうに歩き出す。
「千陽!」
弟が呼ぶ。
水の抵抗を受けながら、こちらに走ってくる。
水しぶきが飛んでくるから、顔をそらした。
「もっと奥行く?」
「行かない」
「そーなの?じゃあ、この辺でいっか!」
あたしと同じくらいの身長。
波が引いては寄せてくる。
「わ!でかそう!」
あたしは顔にかかるのが嫌だから、少し浜のほうに下がっていく。
「あれ?千陽?」
「誉ー!来るよー!」
「うん!!!」
優里と弟が波を受け止めようと、手を大きく広げる。
優里と弟は頭から波をかぶって、あたしは臍の辺りで波が揺れた。
少し水しぶきがあがったけど、この程度なら気持ちいい。
「千陽ー!気持ちいいよ!」
弟が声をかけてくる。
鬱陶しくなって、あたしはシートに戻るために背を向ける。
そしたら永那と空井さんが手を繋いで、ちょうど入れ替わるみたいに海に入ってきた。
「千陽、もう戻るの?」
「うん」
「マジか」
永那は空井さんとあたしを交互に見て、迷っているようだった。
…そんなことしてるから、空井さんの笑顔がぎこちないんでしょ?
「千陽!」
弟が隣に来る。
「どうしたの?具合悪い?」
思わず眉間にシワが寄る。
「おー、誉。千陽のそばにいてやって?」
弟が頷く。
あたしは息を吐いて、歩き出す。
「ねえ、千陽?大丈夫?」
「あたし、海そんなに好きじゃないから」
「そーだったんだ!…俺は、あんまり来たことないから、好きだなあ」
…本当にどうでもいい。
パラソルの下に座って、サングラスを外す。
鞄から日焼け止めを出す。
「千陽、なんか食べる?」
「いらない」
「俺さ、今日楽しみで、めっちゃいろいろ調べたんだ」
首からかけている防水ケースからスマホを取り出す。
「ほら、今日の海の家のご飯」
マップが表示されていて、その下に各店舗のメニュー一覧が続く。
「串焼きがおいしそうだなって思って」
「買ってくれるの?」
冗談で言ったのに、弟は目を輝かせた。
「うん!今日は俺が奢るよ!…お母さんから軍資金貰ったんだあ」
そんなの、払わせるわけにいかないでしょ。
イライラする。
「ねえ、お姉さん」
ああ、もっとイライラするものが来た。
「俺達と一緒に遊ばない?」
「あ、日焼け止め?塗ってあげようか?」
「遊ばないから!」
弟があたしの前に立つ。
「は?…ああ、弟君?」
気持ち悪い笑い声が降ってくる。
「まあまあ、お姉さんは俺達に任せて。ね?良い子で待っててよ」
「弟じゃない、友達だし」
「よしよし」
日に焼けた男が弟の頭を撫でようとして、彼はそれを振り払う。
パッと見、20cmくらいは身長差がありそう。
「もう、どっか行けよ」
「どっか行かせてみろよ」
またバカにするような笑い声が響く。
弟は手を握りしめて、少し震えている。
「じゃあ、俺達がどっか行くわ」
そう言って、弟があたしの手を取る。
「行こ」
全員分の荷物を持って、海の家のほうに歩き出す。
チラリと後ろを見ると、男達はこっちを睨みながらどこかに行った。
「もう、大丈夫みたい」
そう言うと、弟が後ろを向く。
「本当だ。…ハァ~、良かった~」
しゃがみこんで、荷物を砂に落とす。
あたしは荷物を拾って「戻ろう」と声をかけた。
弟は頷いて、一緒に荷物を拾う。
シートに座って、もう一度日焼け止めを出す。
膝を抱えて座る弟を横目で見る。
「ねえ」
「なに?」
「塗ってくれない?」
「え!?…え?俺が?」
あたしは後ろに手をついて、足を伸ばす。
永那を盗った空井さんの、弟。
どうせあんたも、あたしを顔でしか見てないくせに。
「お、俺?本当に?」
「早くしてよ」
弟の喉が何度も上下する。
日焼け止めを取って、しばらく容器を眺める。
「普通に塗ればいいの?」
あたしは何も答えない。
視線を遠くにやって、永那を探す。
少しひんやりして、すぐに体温であたたかくなる。
弟を見ると、ただ一心にあたしの足に日焼け止めを塗っていた。
「俺ね」
あたしの足を見ながら、彼が言う。
「最近、姉ちゃんと料理してるんだ。卵焼きなら、1人で作れるようになったよ」
興味ない。
「あと、永那とも一緒に作ったよ」
“永那”に反応して、あたしは弟に視線を戻す。
「永那って、けっこう料理できるんだね?めっちゃ意外だった」
…できないことはないと思ってたけど、あたしも永那が作ったご飯食べたい。
弟がチラリとあたしを見て、目が合う。
永那が慌てふためく。
弟は、空井さんと全く同じ反応。
「あたしが何着ようが自由でしょ?」
もっと、かまって。
「ハァ」と永那がため息をつく。
「なんか上に着ろよ」
「やだ」
「まあ、とりあえず、海行く?」
優里が言う。
みんなが頷いて、波打ち際に行く。
「わー!気持ちいい!」
優里がどんどん奥に行く。
弟も走って奥に行って優里と水をかけあって遊ぶ。
空井さんは足元の水を蹴っていた。
永那がその様子を微笑ましそうに見ている。
すぐに目をそらして、あたしは優里のほうに歩き出す。
「千陽!」
弟が呼ぶ。
水の抵抗を受けながら、こちらに走ってくる。
水しぶきが飛んでくるから、顔をそらした。
「もっと奥行く?」
「行かない」
「そーなの?じゃあ、この辺でいっか!」
あたしと同じくらいの身長。
波が引いては寄せてくる。
「わ!でかそう!」
あたしは顔にかかるのが嫌だから、少し浜のほうに下がっていく。
「あれ?千陽?」
「誉ー!来るよー!」
「うん!!!」
優里と弟が波を受け止めようと、手を大きく広げる。
優里と弟は頭から波をかぶって、あたしは臍の辺りで波が揺れた。
少し水しぶきがあがったけど、この程度なら気持ちいい。
「千陽ー!気持ちいいよ!」
弟が声をかけてくる。
鬱陶しくなって、あたしはシートに戻るために背を向ける。
そしたら永那と空井さんが手を繋いで、ちょうど入れ替わるみたいに海に入ってきた。
「千陽、もう戻るの?」
「うん」
「マジか」
永那は空井さんとあたしを交互に見て、迷っているようだった。
…そんなことしてるから、空井さんの笑顔がぎこちないんでしょ?
「千陽!」
弟が隣に来る。
「どうしたの?具合悪い?」
思わず眉間にシワが寄る。
「おー、誉。千陽のそばにいてやって?」
弟が頷く。
あたしは息を吐いて、歩き出す。
「ねえ、千陽?大丈夫?」
「あたし、海そんなに好きじゃないから」
「そーだったんだ!…俺は、あんまり来たことないから、好きだなあ」
…本当にどうでもいい。
パラソルの下に座って、サングラスを外す。
鞄から日焼け止めを出す。
「千陽、なんか食べる?」
「いらない」
「俺さ、今日楽しみで、めっちゃいろいろ調べたんだ」
首からかけている防水ケースからスマホを取り出す。
「ほら、今日の海の家のご飯」
マップが表示されていて、その下に各店舗のメニュー一覧が続く。
「串焼きがおいしそうだなって思って」
「買ってくれるの?」
冗談で言ったのに、弟は目を輝かせた。
「うん!今日は俺が奢るよ!…お母さんから軍資金貰ったんだあ」
そんなの、払わせるわけにいかないでしょ。
イライラする。
「ねえ、お姉さん」
ああ、もっとイライラするものが来た。
「俺達と一緒に遊ばない?」
「あ、日焼け止め?塗ってあげようか?」
「遊ばないから!」
弟があたしの前に立つ。
「は?…ああ、弟君?」
気持ち悪い笑い声が降ってくる。
「まあまあ、お姉さんは俺達に任せて。ね?良い子で待っててよ」
「弟じゃない、友達だし」
「よしよし」
日に焼けた男が弟の頭を撫でようとして、彼はそれを振り払う。
パッと見、20cmくらいは身長差がありそう。
「もう、どっか行けよ」
「どっか行かせてみろよ」
またバカにするような笑い声が響く。
弟は手を握りしめて、少し震えている。
「じゃあ、俺達がどっか行くわ」
そう言って、弟があたしの手を取る。
「行こ」
全員分の荷物を持って、海の家のほうに歩き出す。
チラリと後ろを見ると、男達はこっちを睨みながらどこかに行った。
「もう、大丈夫みたい」
そう言うと、弟が後ろを向く。
「本当だ。…ハァ~、良かった~」
しゃがみこんで、荷物を砂に落とす。
あたしは荷物を拾って「戻ろう」と声をかけた。
弟は頷いて、一緒に荷物を拾う。
シートに座って、もう一度日焼け止めを出す。
膝を抱えて座る弟を横目で見る。
「ねえ」
「なに?」
「塗ってくれない?」
「え!?…え?俺が?」
あたしは後ろに手をついて、足を伸ばす。
永那を盗った空井さんの、弟。
どうせあんたも、あたしを顔でしか見てないくせに。
「お、俺?本当に?」
「早くしてよ」
弟の喉が何度も上下する。
日焼け止めを取って、しばらく容器を眺める。
「普通に塗ればいいの?」
あたしは何も答えない。
視線を遠くにやって、永那を探す。
少しひんやりして、すぐに体温であたたかくなる。
弟を見ると、ただ一心にあたしの足に日焼け止めを塗っていた。
「俺ね」
あたしの足を見ながら、彼が言う。
「最近、姉ちゃんと料理してるんだ。卵焼きなら、1人で作れるようになったよ」
興味ない。
「あと、永那とも一緒に作ったよ」
“永那”に反応して、あたしは弟に視線を戻す。
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