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155.海とか祭りとか
お祭り会場の入り口付近に立つ。
入り口はいくつかあるけど、1番駅に近いところを選んだ。
たくさんの提灯が飾られていて、夜なのに眩しいくらい。
人は溢れ返っているけど、これなら少しはわかりやすいはず。
さっき買ったかき氷を食べ終えてしまって、弟は退屈そうに水風船で遊んでいる。
「永那、遅い」
弟が言う。
「まあ、この時間だと電車も混んでるだろうし…仕方ないよ」
空井さんが苦笑する。
「あれ?先輩、また会いましたね」
さっきの後輩が声をかけてきた。
「日住君、金井さん…2人とも、中にいたんじゃないの?」
「いやあ…俺初めて下駄履いたんですけど、けっこう痛いんですね…コンビニ行って絆創膏買ってました」
彼はあたし達のそばに来てから、柵に寄りかかる。
「ほら、金井も」
絆創膏をわたして、2人とも親指に貼る。
空井さんが2人と話していて暇だから、あたしはスマホを出す。
『駅側の、会場の入り口らへんにいるから』
永那にメッセージを送る。
すぐに既読がついて『もうすぐ駅つく』と返事がきた。
ボーッと画面を眺めていたら、着信があって、すぐに出る。
「ついた、今行く。駅出たらまっすぐでいいの?」
「そう。人の流れについていけばつくんじゃない?」
「わかった」
またすぐに切れてしまう。
「千陽、永那から?」
「うん、もうつくって」
「そっか」
弟が頷いて、あたしの指についている、水風船のゴムを取る。
「ちょっと貸して」
彼は中指と人差し指に水風船をつけて、ポンポン音を立ててバウンドさせる。
それをしばらく眺めていたら、視界の端に永那が映った。
永那と目が合ったけど、彼女はすぐにあたしの隣に視線を移す。
永那の眉間にシワが寄っていて、(あーあ、完全に怒ってるじゃん。どんなタイミング?)と思ってしまう。
永那は走ってきて、それに気づいていない空井さんの腕を掴んで振り向かせる。
「あ、永那ちゃ」
“ん”を言う前に、唇を塞がれる。
空井さんの顔が赤いのは、提灯の光のせいか、それとも恥ずかしいからか。
「なんで出ないの?」
「え?」
もう一度永那は唇を重ねて…それは今まで見た中で一番長いキスで、あたしは見ていられなくなる。
空井さんの横に立つ日住はあたしと同じように目をそらし、金井は興味深げに見ていた。
弟は頭をポリポリ掻いて、あたしと目が合うと照れくさそうに、どこか申し訳なさそうに、笑った。
なんとなく、あたしは弟の頭を撫でる。
弟は今度こそ照れたようで、口元を綻ばせていた。
「なんで、電話に出ないの?」
「ご、ごめん。気づかなかった」
「ハァ」と永那がため息をつく。
「永那ちゃん、大丈夫なの?来て」
「大丈夫じゃない。…でも、もっと大丈夫じゃなかったから」
空井さんが首を傾げる。
「優里のSNS、見た」
永那は彼女を強く抱きしめて、首筋に顔をうずめた。
あたしは優里のアカウントを見る。
写真を見て、気づく。
後ろに日住が写っていた。
しかも、明らかに空井さんを見ている。
「永那、射的とかあったけど、やる?」
弟が2人のそばに行って聞く。
「やらない」
永那が無表情に弟を見て、答える。
「先輩、私達、行きますね」
金井が空井さんに言う。
空井さんは永那に抱きしめられたままで身動きが取れないらしく「う、うん。またね」と答えていた。
永那が全く空井さんを離す気がないから、弟と顔を見合わさる。
「え、永那ちゃん…」
「まだ、もう少し」
「ねえ、あたし達、先行ってていい?」
「うん」
永那が言う。
あたしと弟は歩き出す。
振り向くと、まだ2人は抱きしめ合っていた。
「あ、姉ちゃんだ。…もしもし?そーなんだ。今、神社の近くにいるよ。…うん、待ってるねー」
弟が電話を切って、あたしを見る。
「永那、帰ったって」
胸がチクリと痛む。
ろくに話せなかったじゃん。
弟とフラフラ屋台を見て回って、もう2人ともお腹いっぱいだったから特に何も買わずにいた。
あと30分ほどで花火の時間になったから、神社に来た。
人混みで、とてもじゃないけど座れない。
少しして、もう一度弟に電話がかかってきて、空井さんと合流する。
花火が打ち上がると歓声が起きる。
打ち上げ花火なんて、いつぶりだろう?
小学生のとき、ママとパパと3人で見たかな。
花火が終わると、雪崩れるように人が動く。
「帰ろっか」
空井さんが言う。
あたし達は空井さんの家に帰った。
入り口はいくつかあるけど、1番駅に近いところを選んだ。
たくさんの提灯が飾られていて、夜なのに眩しいくらい。
人は溢れ返っているけど、これなら少しはわかりやすいはず。
さっき買ったかき氷を食べ終えてしまって、弟は退屈そうに水風船で遊んでいる。
「永那、遅い」
弟が言う。
「まあ、この時間だと電車も混んでるだろうし…仕方ないよ」
空井さんが苦笑する。
「あれ?先輩、また会いましたね」
さっきの後輩が声をかけてきた。
「日住君、金井さん…2人とも、中にいたんじゃないの?」
「いやあ…俺初めて下駄履いたんですけど、けっこう痛いんですね…コンビニ行って絆創膏買ってました」
彼はあたし達のそばに来てから、柵に寄りかかる。
「ほら、金井も」
絆創膏をわたして、2人とも親指に貼る。
空井さんが2人と話していて暇だから、あたしはスマホを出す。
『駅側の、会場の入り口らへんにいるから』
永那にメッセージを送る。
すぐに既読がついて『もうすぐ駅つく』と返事がきた。
ボーッと画面を眺めていたら、着信があって、すぐに出る。
「ついた、今行く。駅出たらまっすぐでいいの?」
「そう。人の流れについていけばつくんじゃない?」
「わかった」
またすぐに切れてしまう。
「千陽、永那から?」
「うん、もうつくって」
「そっか」
弟が頷いて、あたしの指についている、水風船のゴムを取る。
「ちょっと貸して」
彼は中指と人差し指に水風船をつけて、ポンポン音を立ててバウンドさせる。
それをしばらく眺めていたら、視界の端に永那が映った。
永那と目が合ったけど、彼女はすぐにあたしの隣に視線を移す。
永那の眉間にシワが寄っていて、(あーあ、完全に怒ってるじゃん。どんなタイミング?)と思ってしまう。
永那は走ってきて、それに気づいていない空井さんの腕を掴んで振り向かせる。
「あ、永那ちゃ」
“ん”を言う前に、唇を塞がれる。
空井さんの顔が赤いのは、提灯の光のせいか、それとも恥ずかしいからか。
「なんで出ないの?」
「え?」
もう一度永那は唇を重ねて…それは今まで見た中で一番長いキスで、あたしは見ていられなくなる。
空井さんの横に立つ日住はあたしと同じように目をそらし、金井は興味深げに見ていた。
弟は頭をポリポリ掻いて、あたしと目が合うと照れくさそうに、どこか申し訳なさそうに、笑った。
なんとなく、あたしは弟の頭を撫でる。
弟は今度こそ照れたようで、口元を綻ばせていた。
「なんで、電話に出ないの?」
「ご、ごめん。気づかなかった」
「ハァ」と永那がため息をつく。
「永那ちゃん、大丈夫なの?来て」
「大丈夫じゃない。…でも、もっと大丈夫じゃなかったから」
空井さんが首を傾げる。
「優里のSNS、見た」
永那は彼女を強く抱きしめて、首筋に顔をうずめた。
あたしは優里のアカウントを見る。
写真を見て、気づく。
後ろに日住が写っていた。
しかも、明らかに空井さんを見ている。
「永那、射的とかあったけど、やる?」
弟が2人のそばに行って聞く。
「やらない」
永那が無表情に弟を見て、答える。
「先輩、私達、行きますね」
金井が空井さんに言う。
空井さんは永那に抱きしめられたままで身動きが取れないらしく「う、うん。またね」と答えていた。
永那が全く空井さんを離す気がないから、弟と顔を見合わさる。
「え、永那ちゃん…」
「まだ、もう少し」
「ねえ、あたし達、先行ってていい?」
「うん」
永那が言う。
あたしと弟は歩き出す。
振り向くと、まだ2人は抱きしめ合っていた。
「あ、姉ちゃんだ。…もしもし?そーなんだ。今、神社の近くにいるよ。…うん、待ってるねー」
弟が電話を切って、あたしを見る。
「永那、帰ったって」
胸がチクリと痛む。
ろくに話せなかったじゃん。
弟とフラフラ屋台を見て回って、もう2人ともお腹いっぱいだったから特に何も買わずにいた。
あと30分ほどで花火の時間になったから、神社に来た。
人混みで、とてもじゃないけど座れない。
少しして、もう一度弟に電話がかかってきて、空井さんと合流する。
花火が打ち上がると歓声が起きる。
打ち上げ花火なんて、いつぶりだろう?
小学生のとき、ママとパパと3人で見たかな。
花火が終わると、雪崩れるように人が動く。
「帰ろっか」
空井さんが言う。
あたし達は空井さんの家に帰った。
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