178 / 595
3.成長
177.まだまだ終わらなかった夏
1人になって、大きくため息をつく。
お母さんのこと…本当に何かできないのかな?
いつまでも永那ちゃんがいないとダメ、なんて…それじゃあ、永那ちゃんの人生はどうなるの?
依存関係。
スマホで調べると、色々出てくる。
…それを永那ちゃんに伝えたところで、どうすることもできないだろうし、ありがた迷惑だろうから、何も言わない。
でも、絶対に、このままでいいわけがない。
どうにかできないのか…。
考えても答えは出ず、家につく。
3人が人生ゲームで遊んでいた。
「あ、穂ちゃん!おかえりー!」
「ただいま」
「永那大丈夫だった?」
優里ちゃんは眉をハの字にさせて聞く。
「うーん…どうかな」
「なんか、申し訳ないことしちゃったな…」
「べつに、いつものことでしょ?」
佐藤さんがルーレットを回している。
「そう、だけど…」
「次、優里だよ」
誉が俯く優里ちゃんに声をかけた。
テーブルに何もないから、私は4人分のお茶を用意する。
ボーッとボードを眺める。
なんだかんだ優里ちゃんも、申し訳ない気持ちを横に置いて、楽しそうにしていた。
勝敗は、1位が佐藤さん、2位 誉、3位 優里ちゃんの順だった。
優里ちゃんが「もう一回!」と言って、今度は私も参加することになった。
この回は、1位 私、2位 誉、3位 佐藤さん、4位 優里ちゃんだった。
優里ちゃんが「もう一回!!」と言ったけど、私は遠慮した。
1人で買い物に行こうとしたら、佐藤さんも行きたがった。
優里ちゃんも来ようとしたけど、誉がゴネて、2人は家に残ることになった。
今日は、3人で屋内型のアトラクション施設に行ってきたらしく、誉は“もう歩けない”と寝転んだ。
エレベーターに乗ると、佐藤さんに壁に押しやられた。
「キス、したい」
ズキズキと胸が痛みながら、彼女の唇に唇を重ねる。
エレベーターが1階について唇が離れると、彼女は満足げだった。
佐藤さんのも、依存なのかな。
…永那ちゃんのお母さんに、似てるのかな。
だから永那ちゃんは、佐藤さんを放っておけない?
手を繋いで、スーパーに行く。
「今日、ご飯なに?」
「んー…何も考えてないんだよね。何か食べたい物ある?」
「特には…」
野菜を見つめても、何も浮かんでこない。
「佐藤さんは」
「千陽」
「ああ…千陽は、トマト以外に嫌いなものある?」
「野菜は、全般的に苦手だけど…食べられないわけじゃない」
「そっか。じゃあ…まあ、お肉系かな」
適当な、使えそうな定番の野菜をカゴに入れてから、お肉コーナーに移動する。
「穂」
「なに?」
「そんなに永那が心配?」
私の腕に抱きつく佐藤さんと、見つめ合う。
彼女は無表情だ。
「うん、心配だよ」
唐揚げ用の鶏肉を手に取る。
「永那…帰る理由は、門限じゃないの?他に、理由があるの?」
私は口角を上げて、内容量の多い鶏肉に変える。
「私は、何も言えないよ。永那ちゃんに、聞いて?」
「…聞いても、あたしには言ってくれない」
佐藤さんを見ると、その横顔がすごく寂しげで…彼女が1歩永那ちゃんに踏み込めない理由が、わかった気がした。
私にはキスしたり、胸をさわらせたりできるのに、永那ちゃんにはできない、理由。
永那ちゃんが、佐藤さんに心を開いていないのか。
…開いていないというより、永那ちゃんは佐藤さんを守る立場だから、自分の悩みなんて言えないのかもしれない。
本当に、問題が山積みだ。
「千陽は、どうしてそんなに寂しいの?…昔、いじめられてたから?」
おやつを買うために、お菓子コーナーに行く。
なんとなく優里ちゃんは、夜にお菓子パーティーをやりたいとか言い出しそうだったから。
「それも、あると思う」
私が彼女に目を遣ると、クッキーを見ていたから、それもカゴに入れた。
彼女が、少し嬉しそうな顔をする。
「あたし、昔、ストーカーされてたの」
驚きのあまり、立ち止まる。
彼女の瞳が、酷く冷たい。
「母親にね、小さい頃、写真を勝手にSNSにあげられてて…それを見た男に、襲われそうになった」
彼女はもう1つ別のクッキーの箱を取って、カゴに入れた。
「母親には、言えなかった。もちろん、父親にも。2人には、あたしよりも大事な人が、他にいるから」
私が首を傾げると、彼女に手を引かれて、飲み物コーナーに連れて行かれる。
「誰かに守ってもらいたくて、適当に彼氏を作ったの」
彼女は、炭酸飲料をカゴに入れていく。
「その彼氏には、元々女がいたらしくてね…あたし知らなくて、奪っちゃったの」
ジッと私を見つめる。
「そしたら、その女に、顔を便器に突っ込まれた。…笑えるよね」
彼女は、全く笑っていない。
…私は、イジメを受けたことがない。
距離を置かれることはあっても、無視をされたことすらほとんどない。
「結局、その男には捨てられたし。…あたし、男にさわられるの、無理だから…それで、嫌われて」
彼女の受けてきた傷を、私は、到底わかってあげられない。
鼓動が、速くなる。
お母さんのこと…本当に何かできないのかな?
いつまでも永那ちゃんがいないとダメ、なんて…それじゃあ、永那ちゃんの人生はどうなるの?
依存関係。
スマホで調べると、色々出てくる。
…それを永那ちゃんに伝えたところで、どうすることもできないだろうし、ありがた迷惑だろうから、何も言わない。
でも、絶対に、このままでいいわけがない。
どうにかできないのか…。
考えても答えは出ず、家につく。
3人が人生ゲームで遊んでいた。
「あ、穂ちゃん!おかえりー!」
「ただいま」
「永那大丈夫だった?」
優里ちゃんは眉をハの字にさせて聞く。
「うーん…どうかな」
「なんか、申し訳ないことしちゃったな…」
「べつに、いつものことでしょ?」
佐藤さんがルーレットを回している。
「そう、だけど…」
「次、優里だよ」
誉が俯く優里ちゃんに声をかけた。
テーブルに何もないから、私は4人分のお茶を用意する。
ボーッとボードを眺める。
なんだかんだ優里ちゃんも、申し訳ない気持ちを横に置いて、楽しそうにしていた。
勝敗は、1位が佐藤さん、2位 誉、3位 優里ちゃんの順だった。
優里ちゃんが「もう一回!」と言って、今度は私も参加することになった。
この回は、1位 私、2位 誉、3位 佐藤さん、4位 優里ちゃんだった。
優里ちゃんが「もう一回!!」と言ったけど、私は遠慮した。
1人で買い物に行こうとしたら、佐藤さんも行きたがった。
優里ちゃんも来ようとしたけど、誉がゴネて、2人は家に残ることになった。
今日は、3人で屋内型のアトラクション施設に行ってきたらしく、誉は“もう歩けない”と寝転んだ。
エレベーターに乗ると、佐藤さんに壁に押しやられた。
「キス、したい」
ズキズキと胸が痛みながら、彼女の唇に唇を重ねる。
エレベーターが1階について唇が離れると、彼女は満足げだった。
佐藤さんのも、依存なのかな。
…永那ちゃんのお母さんに、似てるのかな。
だから永那ちゃんは、佐藤さんを放っておけない?
手を繋いで、スーパーに行く。
「今日、ご飯なに?」
「んー…何も考えてないんだよね。何か食べたい物ある?」
「特には…」
野菜を見つめても、何も浮かんでこない。
「佐藤さんは」
「千陽」
「ああ…千陽は、トマト以外に嫌いなものある?」
「野菜は、全般的に苦手だけど…食べられないわけじゃない」
「そっか。じゃあ…まあ、お肉系かな」
適当な、使えそうな定番の野菜をカゴに入れてから、お肉コーナーに移動する。
「穂」
「なに?」
「そんなに永那が心配?」
私の腕に抱きつく佐藤さんと、見つめ合う。
彼女は無表情だ。
「うん、心配だよ」
唐揚げ用の鶏肉を手に取る。
「永那…帰る理由は、門限じゃないの?他に、理由があるの?」
私は口角を上げて、内容量の多い鶏肉に変える。
「私は、何も言えないよ。永那ちゃんに、聞いて?」
「…聞いても、あたしには言ってくれない」
佐藤さんを見ると、その横顔がすごく寂しげで…彼女が1歩永那ちゃんに踏み込めない理由が、わかった気がした。
私にはキスしたり、胸をさわらせたりできるのに、永那ちゃんにはできない、理由。
永那ちゃんが、佐藤さんに心を開いていないのか。
…開いていないというより、永那ちゃんは佐藤さんを守る立場だから、自分の悩みなんて言えないのかもしれない。
本当に、問題が山積みだ。
「千陽は、どうしてそんなに寂しいの?…昔、いじめられてたから?」
おやつを買うために、お菓子コーナーに行く。
なんとなく優里ちゃんは、夜にお菓子パーティーをやりたいとか言い出しそうだったから。
「それも、あると思う」
私が彼女に目を遣ると、クッキーを見ていたから、それもカゴに入れた。
彼女が、少し嬉しそうな顔をする。
「あたし、昔、ストーカーされてたの」
驚きのあまり、立ち止まる。
彼女の瞳が、酷く冷たい。
「母親にね、小さい頃、写真を勝手にSNSにあげられてて…それを見た男に、襲われそうになった」
彼女はもう1つ別のクッキーの箱を取って、カゴに入れた。
「母親には、言えなかった。もちろん、父親にも。2人には、あたしよりも大事な人が、他にいるから」
私が首を傾げると、彼女に手を引かれて、飲み物コーナーに連れて行かれる。
「誰かに守ってもらいたくて、適当に彼氏を作ったの」
彼女は、炭酸飲料をカゴに入れていく。
「その彼氏には、元々女がいたらしくてね…あたし知らなくて、奪っちゃったの」
ジッと私を見つめる。
「そしたら、その女に、顔を便器に突っ込まれた。…笑えるよね」
彼女は、全く笑っていない。
…私は、イジメを受けたことがない。
距離を置かれることはあっても、無視をされたことすらほとんどない。
「結局、その男には捨てられたし。…あたし、男にさわられるの、無理だから…それで、嫌われて」
彼女の受けてきた傷を、私は、到底わかってあげられない。
鼓動が、速くなる。
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。