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4.踏み込む
184.文化祭準備
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始業式が行われた後、クラスで文化祭について話し合われた。
私はクラスの委員長だから、進行役を務める。
「まず、文化祭に参加するか否か、多数決で決めたいと思います。参加希望の方、手を挙げてください」
クラスメイトの大半が手を挙げた。
みんな楽しそうに、何の催しをするか話している。
「希望者が多いので、クラスでの文化祭参加を決定します。…では次に、文化祭委員を3名決めたいのですが、立候補する方はいますか?」
ガヤガヤといろんな声が飛び交う。
みんな押し付け合って、冗談を言い合って、なかなか決まらない。
「文化祭委員は火曜日と木曜日に、放課後に集まりがあります。集まりは、来週の木曜日からです。文化祭の当日は、生徒会の仕事も手伝ってもらうので、遅くまで学校に残ると思っていてください。…なので、極力それに参加できる方をお願いします」
さらにみんなの声が大きくなる。
“俺は部活あるから無理”とか“めんどくさそう”とか。
体育祭委員を決めるときも大変だったけど、もっと大変だ。
私は時計を見る。
永那ちゃんを見ると、楽しそうに優里ちゃんと話していた。
視界の端に、手を挙げた人物が映る。
目が合って、微笑まれた。
心臓がトクンと鳴る。
「さ、佐藤さん」
私が言うと、みんなが彼女に注目する。
「あたし、やる」
「千陽!?」
永那ちゃんの声が通る。
「えー、じゃあ俺もやるー!」、「私もやろうかな」、「お前部活あるんじゃないのかよ?」…新しい反応が教室中を飛び交った。
…一言で空気をガラリと変える力…すごい。
永那ちゃんと目が合う。
すごく迷っているような、でも無理なことだと葛藤するような…頭を抱えて、縋るように私を見ていた。
でも、私にはどうすることもできなくて、苦笑する。
「えっと…とりあえず、1人、佐藤さん」
黒板に佐藤さんの名前を書く。
その後、7人の立候補があったから、じゃんけんをしてもらった。
1人女子、1人男子。
それぞれの名前を黒板に書く。
3人に教壇に立ってもらって、進行役を交代する。
「あとは、何をするのかと、希望する場所の候補を決めるだけだから…」
3人に伝える。
ジッと千陽に見つめられて、どう反応すればいいのか、わからなくなる。
曖昧に笑って、私は席についた。
文化祭委員に決まった男子、塩見君が、進行役をする。
カラオケにもプールにもいた、ノリの良い男子の1人だ。
でも彼はしつこく千陽を誘うようなタイプではなく、断れば引いてくれる、私にとっても悪い印象のない人だった。
もう1人の女子、森山さんは体育祭委員もやってくれた、大人しめの子。
千陽がやる・やらないに関わらず、今回も手を挙げてくれようとしていたのかもしれない。
「じゃー、何するー?案ある人、挙手!」
塩見君のラフな進行で、みんながより楽しそうに盛り上がる。
私の役目は終わったし、頬杖をついて外を見た。
みんながやりたいことを言っていく。
私は生徒会の仕事があるから、クラスの催し物にはほとんど参加できない。
参加できないことに対して、私は口出ししない。
飲食系とお化け屋敷が人気だ。
「でもそれじゃあ他と被るよね?」なんて声も聞こえてくる。
「俺、コスプレ喫茶がいいなー。水着とか浴衣とか…バニーガール的なの着たりとか!」
プールで私の肩を掴んだ男子が言う。
「うちのクラス可愛い子揃いだし?めっちゃ良くね?」「えー、あたしのことー?」「はー?何言ってんだよ」「ひどいー」「はいはい、お前も可愛いよ」
嫌いなタイプの集団が大声を出す。
「えーっと、じゃあ、まあ、いろいろ候補出たし、多数決にしよー!」
塩見君が彼らの会話を遮る。
黒板には、ワッフル、クレープ、たこ焼き、タピオカ、いくつかの食べ物を出せるようなカフェ、お化け屋敷、迷路、アクセサリー作り、女装・男装喫茶、コスプレ喫茶…と並んでいた。
私はなんでもかまわないけど…○○喫茶、というのは、あまり好きになれそうにない。
「やりたいものに手挙げてねー」
塩見君が候補を1つずつ言って、森山さんが人数を数えて正の字を書いていく。
千陽は興味なさげに髪の毛をいじっていた。
私はアクセサリー作りに手を挙げた。
カフェとコスプレ喫茶が同票になる。
「じゃあ、この2つでもう一回多数決取るよ」
当然、私はカフェに手を挙げる。
さっきの会話を聞いていたからか、ほとんどの女子がカフェに手を挙げた。
永那ちゃんはコスプレ喫茶で、なんとも言えない気持ちになる。
…本当に変態なんだから。
まあ、こういうところで永那ちゃんは遠慮なく手を挙げるから、私が嫌いなタイプの集団とも仲良くあれるのだろうとも思う。
それでクラスが平和なら、許容できる。
結果、カフェになってホッとする。
嫌いな集団がブーイングしてるけど、多数決では仕方ない。
文化祭の取り決めが終わると、先生が挨拶をして、解散になった。
私はクラスの委員長だから、進行役を務める。
「まず、文化祭に参加するか否か、多数決で決めたいと思います。参加希望の方、手を挙げてください」
クラスメイトの大半が手を挙げた。
みんな楽しそうに、何の催しをするか話している。
「希望者が多いので、クラスでの文化祭参加を決定します。…では次に、文化祭委員を3名決めたいのですが、立候補する方はいますか?」
ガヤガヤといろんな声が飛び交う。
みんな押し付け合って、冗談を言い合って、なかなか決まらない。
「文化祭委員は火曜日と木曜日に、放課後に集まりがあります。集まりは、来週の木曜日からです。文化祭の当日は、生徒会の仕事も手伝ってもらうので、遅くまで学校に残ると思っていてください。…なので、極力それに参加できる方をお願いします」
さらにみんなの声が大きくなる。
“俺は部活あるから無理”とか“めんどくさそう”とか。
体育祭委員を決めるときも大変だったけど、もっと大変だ。
私は時計を見る。
永那ちゃんを見ると、楽しそうに優里ちゃんと話していた。
視界の端に、手を挙げた人物が映る。
目が合って、微笑まれた。
心臓がトクンと鳴る。
「さ、佐藤さん」
私が言うと、みんなが彼女に注目する。
「あたし、やる」
「千陽!?」
永那ちゃんの声が通る。
「えー、じゃあ俺もやるー!」、「私もやろうかな」、「お前部活あるんじゃないのかよ?」…新しい反応が教室中を飛び交った。
…一言で空気をガラリと変える力…すごい。
永那ちゃんと目が合う。
すごく迷っているような、でも無理なことだと葛藤するような…頭を抱えて、縋るように私を見ていた。
でも、私にはどうすることもできなくて、苦笑する。
「えっと…とりあえず、1人、佐藤さん」
黒板に佐藤さんの名前を書く。
その後、7人の立候補があったから、じゃんけんをしてもらった。
1人女子、1人男子。
それぞれの名前を黒板に書く。
3人に教壇に立ってもらって、進行役を交代する。
「あとは、何をするのかと、希望する場所の候補を決めるだけだから…」
3人に伝える。
ジッと千陽に見つめられて、どう反応すればいいのか、わからなくなる。
曖昧に笑って、私は席についた。
文化祭委員に決まった男子、塩見君が、進行役をする。
カラオケにもプールにもいた、ノリの良い男子の1人だ。
でも彼はしつこく千陽を誘うようなタイプではなく、断れば引いてくれる、私にとっても悪い印象のない人だった。
もう1人の女子、森山さんは体育祭委員もやってくれた、大人しめの子。
千陽がやる・やらないに関わらず、今回も手を挙げてくれようとしていたのかもしれない。
「じゃー、何するー?案ある人、挙手!」
塩見君のラフな進行で、みんながより楽しそうに盛り上がる。
私の役目は終わったし、頬杖をついて外を見た。
みんながやりたいことを言っていく。
私は生徒会の仕事があるから、クラスの催し物にはほとんど参加できない。
参加できないことに対して、私は口出ししない。
飲食系とお化け屋敷が人気だ。
「でもそれじゃあ他と被るよね?」なんて声も聞こえてくる。
「俺、コスプレ喫茶がいいなー。水着とか浴衣とか…バニーガール的なの着たりとか!」
プールで私の肩を掴んだ男子が言う。
「うちのクラス可愛い子揃いだし?めっちゃ良くね?」「えー、あたしのことー?」「はー?何言ってんだよ」「ひどいー」「はいはい、お前も可愛いよ」
嫌いなタイプの集団が大声を出す。
「えーっと、じゃあ、まあ、いろいろ候補出たし、多数決にしよー!」
塩見君が彼らの会話を遮る。
黒板には、ワッフル、クレープ、たこ焼き、タピオカ、いくつかの食べ物を出せるようなカフェ、お化け屋敷、迷路、アクセサリー作り、女装・男装喫茶、コスプレ喫茶…と並んでいた。
私はなんでもかまわないけど…○○喫茶、というのは、あまり好きになれそうにない。
「やりたいものに手挙げてねー」
塩見君が候補を1つずつ言って、森山さんが人数を数えて正の字を書いていく。
千陽は興味なさげに髪の毛をいじっていた。
私はアクセサリー作りに手を挙げた。
カフェとコスプレ喫茶が同票になる。
「じゃあ、この2つでもう一回多数決取るよ」
当然、私はカフェに手を挙げる。
さっきの会話を聞いていたからか、ほとんどの女子がカフェに手を挙げた。
永那ちゃんはコスプレ喫茶で、なんとも言えない気持ちになる。
…本当に変態なんだから。
まあ、こういうところで永那ちゃんは遠慮なく手を挙げるから、私が嫌いなタイプの集団とも仲良くあれるのだろうとも思う。
それでクラスが平和なら、許容できる。
結果、カフェになってホッとする。
嫌いな集団がブーイングしてるけど、多数決では仕方ない。
文化祭の取り決めが終わると、先生が挨拶をして、解散になった。
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