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192.文化祭準備
「穂、ご飯どうする?」
「あ、そっか。…じゃあ、そろそろ帰ろうかな?」
「え~もう帰っちゃうの?」
お母さんに腕を掴まれる。
「食べていったらいいじゃない?…私が作るよ!」
「お母さん、ご飯は私に作らせて?」
「え~、いつも永那が作る~」
「私のご飯、嫌い?」
「嫌いじゃ、ないけど…」
永那ちゃんがお母さんの頭を撫でる。
「穂、食べてく?」
「いいの?」
「うん」
お母さんは私に抱きついて、「わ~い!」と嬉しそうに笑った。
「手伝おうか?」と聞いたけど、「大丈夫」と頭を撫でられた。
「ねえ、穂ちゃんは~部活とかしてるの?」
「生徒会を」
「生徒会?…難しそう」
「もうすぐ文化祭なので、今は忙しいですけど、楽しいですよ」
「文化祭!?永那から聞いてない~」
言ってはいけないことだったのかと思って焦ったけど、永那ちゃんはご飯を作り続けていた。
「永那~聞いてない~」
「どうせ私は参加しないんだから、いいでしょ」
“参加しない”という言葉に、胸がズキリと痛む。
「え~、やったらいいのに~。お母さん、文化祭好きだったな~」
「めんどくさいから、私はいいんだよ」
これは…永那ちゃんの、嘘。
永那ちゃんがいないと、パニックを起こしてしまうお母さんへの、優しさ。
「文化祭、楽しいですよね」
「うん!私ね、学校で一番かっこいい人がいて、その人に告白されたの~、あれは恥ずかしかったな~。でも、嬉しくて…良い思い出」
「それは、ドキドキしそうですね」
「ドキドキ!そう!ドキドキした~!…穂ちゃんは、彼氏いるの?」
彼氏。
…そりゃあ、そうだよね。
「お付き合いしてる人は…います」
「えー!イケメン?」
「はい、かっこいいです」
「きゃー!いいな~!私も高校生に戻りた~い!」
お母さんから学校生活について聞かれたり、永那ちゃんのことを聞かれたりして、話していたら、永那ちゃんがカレーを出してくれる。
…これが、永那ちゃんがほぼ毎日食べているというカレー。
事前に誉に連絡して、夜ご飯はいらないと伝えた。
最近誉も自分で料理をするようになって、家事の心配はグッと減った。
「いただきま~す」
お母さんが食べ始める。
それに続いて私達も食べ始める。
「おいしい」
そう言うと、永那ちゃんが鼻で笑う。
「おいし~ね~!」
お母さんも言う。
「ごめんね、駅まで送れなくて」
「大丈夫だよ」
ご飯を食べ終えて、私は家に帰る。
「気をつけてね」
「うん」
「穂ちゃ~ん!また来てね~!」
「はい、お邪魔しました」
永那ちゃんは私が見えなくなるまで、ドアを開けて手を振ってくれていた。
クラスメイトから普通に話しかけられる日常に慣れないながらも、1週間経った、3ヶ月記念日。
“3ヶ月記念を、盛大にしよう”と、永那ちゃんと約束していた。
1ヶ月記念はプレゼントが遅くなってしまったし、2ヶ月記念は会えもしなかった。
全部私が、記念日をそこまで重要視していなかったことが原因だけど。
だからこそ、今回はちゃんとやりたかった。
とは言え、平日ということもあって、どうしたらいいのか、悩ましかった。
“盛大”と言うと、なんとなく誕生日が思い浮かんで、誕生日と言えばケーキかな?と思い、手作りのケーキを用意した。
学校に持ってくるのは不安だったから、学校が終わったら家に取りに行こうと思ってる。
…でも、それだけでいいのかな?
2人で過ごすために、また永那ちゃんの家に行くことは決まっている。
だから夜ご飯も作ろうと思ってる。
あれから、永那ちゃんのお母さんは、しきりに私が次いつ家に来るのか聞いてくるらしい。
永那ちゃんは“せっかくの記念日なのに”と申し訳なさそうにしていたけど、嬉しそうに笑うから、私も嬉しくなった。
ケーキと夜ご飯とお母さんに会うこと…その3つをプレゼントとするには、なんだかまだ足りない気がした。
飾り付け…。
何か、永那ちゃんが家で癒やされるような…そんな物がプレゼントできたらいいかな?
何がいいかな?
…こんなにも楽しく、授業中にも考えてしまう自分がいるなんて、想像したこともなかった。
永那ちゃんには、後で家に行くことを伝えて、私は家に帰った。
冷蔵庫からケーキを取って、袋に入れた。
夜ご飯用の食材をスーパーで買う。
何か他にあげられるものがないか、駅前のお店を少し覗いて歩く。
「ああ、これがいいかな」
私はそれも買って、永那ちゃんの家に向かった。
インターホンを押すと、すぐに永那ちゃんが開けてくれる。
「おお、荷物いっぱいだね!…大変だったんじゃない?」
「平気。…冷蔵庫開けてもいいかな?」
「うん、好きにして」
「穂ちゃ~ん!会いたかった~!」
荷物を持った状態でお母さんに抱きしめられた。
「ちょ、お母さん…!穂、ごめん」
永那ちゃんが垂れた眉を掻きながら、お母さんを引き離す。
「あ、そっか。…じゃあ、そろそろ帰ろうかな?」
「え~もう帰っちゃうの?」
お母さんに腕を掴まれる。
「食べていったらいいじゃない?…私が作るよ!」
「お母さん、ご飯は私に作らせて?」
「え~、いつも永那が作る~」
「私のご飯、嫌い?」
「嫌いじゃ、ないけど…」
永那ちゃんがお母さんの頭を撫でる。
「穂、食べてく?」
「いいの?」
「うん」
お母さんは私に抱きついて、「わ~い!」と嬉しそうに笑った。
「手伝おうか?」と聞いたけど、「大丈夫」と頭を撫でられた。
「ねえ、穂ちゃんは~部活とかしてるの?」
「生徒会を」
「生徒会?…難しそう」
「もうすぐ文化祭なので、今は忙しいですけど、楽しいですよ」
「文化祭!?永那から聞いてない~」
言ってはいけないことだったのかと思って焦ったけど、永那ちゃんはご飯を作り続けていた。
「永那~聞いてない~」
「どうせ私は参加しないんだから、いいでしょ」
“参加しない”という言葉に、胸がズキリと痛む。
「え~、やったらいいのに~。お母さん、文化祭好きだったな~」
「めんどくさいから、私はいいんだよ」
これは…永那ちゃんの、嘘。
永那ちゃんがいないと、パニックを起こしてしまうお母さんへの、優しさ。
「文化祭、楽しいですよね」
「うん!私ね、学校で一番かっこいい人がいて、その人に告白されたの~、あれは恥ずかしかったな~。でも、嬉しくて…良い思い出」
「それは、ドキドキしそうですね」
「ドキドキ!そう!ドキドキした~!…穂ちゃんは、彼氏いるの?」
彼氏。
…そりゃあ、そうだよね。
「お付き合いしてる人は…います」
「えー!イケメン?」
「はい、かっこいいです」
「きゃー!いいな~!私も高校生に戻りた~い!」
お母さんから学校生活について聞かれたり、永那ちゃんのことを聞かれたりして、話していたら、永那ちゃんがカレーを出してくれる。
…これが、永那ちゃんがほぼ毎日食べているというカレー。
事前に誉に連絡して、夜ご飯はいらないと伝えた。
最近誉も自分で料理をするようになって、家事の心配はグッと減った。
「いただきま~す」
お母さんが食べ始める。
それに続いて私達も食べ始める。
「おいしい」
そう言うと、永那ちゃんが鼻で笑う。
「おいし~ね~!」
お母さんも言う。
「ごめんね、駅まで送れなくて」
「大丈夫だよ」
ご飯を食べ終えて、私は家に帰る。
「気をつけてね」
「うん」
「穂ちゃ~ん!また来てね~!」
「はい、お邪魔しました」
永那ちゃんは私が見えなくなるまで、ドアを開けて手を振ってくれていた。
クラスメイトから普通に話しかけられる日常に慣れないながらも、1週間経った、3ヶ月記念日。
“3ヶ月記念を、盛大にしよう”と、永那ちゃんと約束していた。
1ヶ月記念はプレゼントが遅くなってしまったし、2ヶ月記念は会えもしなかった。
全部私が、記念日をそこまで重要視していなかったことが原因だけど。
だからこそ、今回はちゃんとやりたかった。
とは言え、平日ということもあって、どうしたらいいのか、悩ましかった。
“盛大”と言うと、なんとなく誕生日が思い浮かんで、誕生日と言えばケーキかな?と思い、手作りのケーキを用意した。
学校に持ってくるのは不安だったから、学校が終わったら家に取りに行こうと思ってる。
…でも、それだけでいいのかな?
2人で過ごすために、また永那ちゃんの家に行くことは決まっている。
だから夜ご飯も作ろうと思ってる。
あれから、永那ちゃんのお母さんは、しきりに私が次いつ家に来るのか聞いてくるらしい。
永那ちゃんは“せっかくの記念日なのに”と申し訳なさそうにしていたけど、嬉しそうに笑うから、私も嬉しくなった。
ケーキと夜ご飯とお母さんに会うこと…その3つをプレゼントとするには、なんだかまだ足りない気がした。
飾り付け…。
何か、永那ちゃんが家で癒やされるような…そんな物がプレゼントできたらいいかな?
何がいいかな?
…こんなにも楽しく、授業中にも考えてしまう自分がいるなんて、想像したこともなかった。
永那ちゃんには、後で家に行くことを伝えて、私は家に帰った。
冷蔵庫からケーキを取って、袋に入れた。
夜ご飯用の食材をスーパーで買う。
何か他にあげられるものがないか、駅前のお店を少し覗いて歩く。
「ああ、これがいいかな」
私はそれも買って、永那ちゃんの家に向かった。
インターホンを押すと、すぐに永那ちゃんが開けてくれる。
「おお、荷物いっぱいだね!…大変だったんじゃない?」
「平気。…冷蔵庫開けてもいいかな?」
「うん、好きにして」
「穂ちゃ~ん!会いたかった~!」
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永那ちゃんが垂れた眉を掻きながら、お母さんを引き離す。
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