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198.文化祭準備
「森山さんって、同じ駅だったんだ」
「…は、はい」
“家も近所です”とは言えませんでした。
たまに両角さんと佐藤さんが2人で登下校しているのを見て、ムフムフしてました…なんて言えません。
文化祭委員で、同じ時間に帰宅しなければならなくなっても、私はあえて遠回りして帰っていました。
でも、今日は佐藤さんにがっちり腕を掴まれて、一緒に帰ることになりました。
電車に乗るまでずっと無言で、とんでもなく気まずかったのは言うまでもありません。
「ねえ、どう思った?」
「…え?ど、どう、とは?」
佐藤さんにジッと見つめられて、私の体が硬直します。
「あたし達の、関係…。歪、だよね?」
歪…?
…たしかに、通常の恋愛とは、違うかもしれません。
が…私は推しカプが両方見れて、幸せです!…とは、言えません。
「…2人にとって、あたしって、邪魔な存在なんだよね」
佐藤さんが窓の外を眺めて、その横顔が…酷く傷ついているようで、私は、こういうときにかける言葉を、持ち合わせていません。
「なんて言われても…困るよね。ごめんね。…気にしないで」
そんな…そんな…悲しい笑みを…浮かべないで。
あなたは私の、推しなのだから。
「じゃ、邪魔じゃ!ありまそん!」
顔から火が吹き出そうです。
なんで、なんで私は噛むかなー!!
佐藤さんのただでさえ大きな瞳が、大きくなります。
その後プッと笑って、「ありまそん」と小さく繰り返しました。
私は俯くことしかできませんでした。
「す、少なくとも…私は…さ、佐藤さんと両角さんと、そ、空井さんが好きです」
「好き?」
心臓がバッコンバッコン鳴り始めます。
一体、私は何を言っているのでしょうか?
…好きです。そりゃあ、大好きです。
でも、それを本人に言うって…!!
バカ!私のバカ!!どう収拾つけるの!?
「いや、あのー…えー…あー…す、好きというのは、あの、好感を持っているという意味で…け、決して、決して、変な意味では……」
「ふーん。…じゃあ、変だって思わないの?」
「…は、はい。す、少なくとも、わ、私は…という話ですが」
「そうなんだ」
それからまた会話はなく、駅につきました。
“家はどこか?”と聞かれたので、目をそらしながら、家のほうを指さします。
佐藤さんは首を傾げて「家と同じほうだ」と呟きます。
2人で歩くと、佐藤さんの私への視線がどんどん険しくなっていきます。
「家、どこ?」
もう、この声…絶対怒ってるよ…。怖い。
「あそこです」
「へえ?…随分、近所だね」
「ははは、そ、そうでしたね」
「…知ってたよね?」
ギクッとして、肩が上がったまま、また体が硬直します。
小学校、中学校を聞かれて、素直に答えると、舌打ちをされました。
怖すぎます。
もう、私、社会的に抹殺されるかも…。
「森山さん、あたしのこと、ずっと知ってたんだ」
「ごごごご、ごめんなさい!」
「べつに、いいけど。…じゃあ、また明日」
あっさりした物言いに、ビクビクしながらも、ホッとします。
「ねえ」
ホッとしたのも束の間、声をかけられて「はひ!」と声が裏返って、汗が流れ落ちます。
「あたしがイジメられてたこと、誰かに言った?」
私は顔をブンブン横に振りました。
「よかった。…これからも、よろしくね」
今度は縦にブンブン振ります。
彼女が家に入って、ドアを閉めるまで、私は動けませんでした。
「お姉ちゃん?」
聞き覚えのある声に、体がビクッと反応します。
「す、菫」
菫は1歳下の妹です。
おそらく部活帰りなのでしょう。
彼女も同じ高校に通っています。
菫は佐藤さんの家をジッと見てから、私を見ます。
「佐藤さんの家の前で何やってんの?…うぇ!?なに!?キモっ!?」
気づけば、涙と鼻水と涎が溢れ出ていました。
「す、菫~、どうしよう~、お姉ちゃん、死ぬかも~」
彼女に縋り付こうとすると、走って逃げられました。
それをゾンビのように追いかけて、なんとか家につきました。
「おかえり~!…え!?桜!?どうしたの!?」
「わけわかんない、マジで気持ち悪いんだけど…」
「お、お母さん…私…もう…死ぬかも…」
「何があったの!?お母さんに話してごらん?ね?」
そう言われて、リビングまで連れて行かれました。
ソファに転がって、お母さんが持ってきてくれたお茶を飲んで、ようやく落ち着きます。
「どうしたの?」
「どうせキモい趣味がバレたんじゃないの?」
「…キモいって…キモくない!尊いの!」
「エロ本はさすがにキモいだろ…」
妹の辛辣な意見は聞きません。
お母さんは苦笑します。
「バレた…バレたのもあるけど…」
「やっぱバレたんだ」
「佐藤さんに、バレた…」
場が凍ります。
「お姉ちゃん、ドンマイ」
「え、えーっと…ほら、佐藤さん、良い子じゃない?大丈夫だよ」
お母さんが私の背中を適当に撫でて、キッチンに逃げました。
もう終わりです。
…でもそれ以上に、最高のシチュエーションを見てしまったなんて…言えない…!!!
私は両手で顔を覆って、唸り声をあげることしかできませんでした。
「…は、はい」
“家も近所です”とは言えませんでした。
たまに両角さんと佐藤さんが2人で登下校しているのを見て、ムフムフしてました…なんて言えません。
文化祭委員で、同じ時間に帰宅しなければならなくなっても、私はあえて遠回りして帰っていました。
でも、今日は佐藤さんにがっちり腕を掴まれて、一緒に帰ることになりました。
電車に乗るまでずっと無言で、とんでもなく気まずかったのは言うまでもありません。
「ねえ、どう思った?」
「…え?ど、どう、とは?」
佐藤さんにジッと見つめられて、私の体が硬直します。
「あたし達の、関係…。歪、だよね?」
歪…?
…たしかに、通常の恋愛とは、違うかもしれません。
が…私は推しカプが両方見れて、幸せです!…とは、言えません。
「…2人にとって、あたしって、邪魔な存在なんだよね」
佐藤さんが窓の外を眺めて、その横顔が…酷く傷ついているようで、私は、こういうときにかける言葉を、持ち合わせていません。
「なんて言われても…困るよね。ごめんね。…気にしないで」
そんな…そんな…悲しい笑みを…浮かべないで。
あなたは私の、推しなのだから。
「じゃ、邪魔じゃ!ありまそん!」
顔から火が吹き出そうです。
なんで、なんで私は噛むかなー!!
佐藤さんのただでさえ大きな瞳が、大きくなります。
その後プッと笑って、「ありまそん」と小さく繰り返しました。
私は俯くことしかできませんでした。
「す、少なくとも…私は…さ、佐藤さんと両角さんと、そ、空井さんが好きです」
「好き?」
心臓がバッコンバッコン鳴り始めます。
一体、私は何を言っているのでしょうか?
…好きです。そりゃあ、大好きです。
でも、それを本人に言うって…!!
バカ!私のバカ!!どう収拾つけるの!?
「いや、あのー…えー…あー…す、好きというのは、あの、好感を持っているという意味で…け、決して、決して、変な意味では……」
「ふーん。…じゃあ、変だって思わないの?」
「…は、はい。す、少なくとも、わ、私は…という話ですが」
「そうなんだ」
それからまた会話はなく、駅につきました。
“家はどこか?”と聞かれたので、目をそらしながら、家のほうを指さします。
佐藤さんは首を傾げて「家と同じほうだ」と呟きます。
2人で歩くと、佐藤さんの私への視線がどんどん険しくなっていきます。
「家、どこ?」
もう、この声…絶対怒ってるよ…。怖い。
「あそこです」
「へえ?…随分、近所だね」
「ははは、そ、そうでしたね」
「…知ってたよね?」
ギクッとして、肩が上がったまま、また体が硬直します。
小学校、中学校を聞かれて、素直に答えると、舌打ちをされました。
怖すぎます。
もう、私、社会的に抹殺されるかも…。
「森山さん、あたしのこと、ずっと知ってたんだ」
「ごごごご、ごめんなさい!」
「べつに、いいけど。…じゃあ、また明日」
あっさりした物言いに、ビクビクしながらも、ホッとします。
「ねえ」
ホッとしたのも束の間、声をかけられて「はひ!」と声が裏返って、汗が流れ落ちます。
「あたしがイジメられてたこと、誰かに言った?」
私は顔をブンブン横に振りました。
「よかった。…これからも、よろしくね」
今度は縦にブンブン振ります。
彼女が家に入って、ドアを閉めるまで、私は動けませんでした。
「お姉ちゃん?」
聞き覚えのある声に、体がビクッと反応します。
「す、菫」
菫は1歳下の妹です。
おそらく部活帰りなのでしょう。
彼女も同じ高校に通っています。
菫は佐藤さんの家をジッと見てから、私を見ます。
「佐藤さんの家の前で何やってんの?…うぇ!?なに!?キモっ!?」
気づけば、涙と鼻水と涎が溢れ出ていました。
「す、菫~、どうしよう~、お姉ちゃん、死ぬかも~」
彼女に縋り付こうとすると、走って逃げられました。
それをゾンビのように追いかけて、なんとか家につきました。
「おかえり~!…え!?桜!?どうしたの!?」
「わけわかんない、マジで気持ち悪いんだけど…」
「お、お母さん…私…もう…死ぬかも…」
「何があったの!?お母さんに話してごらん?ね?」
そう言われて、リビングまで連れて行かれました。
ソファに転がって、お母さんが持ってきてくれたお茶を飲んで、ようやく落ち着きます。
「どうしたの?」
「どうせキモい趣味がバレたんじゃないの?」
「…キモいって…キモくない!尊いの!」
「エロ本はさすがにキモいだろ…」
妹の辛辣な意見は聞きません。
お母さんは苦笑します。
「バレた…バレたのもあるけど…」
「やっぱバレたんだ」
「佐藤さんに、バレた…」
場が凍ります。
「お姉ちゃん、ドンマイ」
「え、えーっと…ほら、佐藤さん、良い子じゃない?大丈夫だよ」
お母さんが私の背中を適当に撫でて、キッチンに逃げました。
もう終わりです。
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