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4.踏み込む
218.疲労
■■■
「それで傷ついてたら本末転倒じゃん」
「…でも、どうすればいいかわからない」
永那がフゥッと息を吐く。
「私にもわからん」
…中学のときとは、違う返答。
幸せだった。
だから、少しでも長く一緒にいたいと思ってしまった。
大丈夫だと思ってしまった。
彼女達の1ヶ月記念にも、あたしが意地になって、穂の喘ぎ声を聞いて、心臓がズキズキと痛んだ。
抉られるんじゃないかと思うほどに、痛かった。
それでも、あのときは怒りもあったし、永那に対して冷めた感覚も明確にあったように思えた。
だから、なんとか耐えられた。
どうして自分がこんなにも、2人に固執しているのか、わからない。
でも、ただ…ただ…愛されたいと願ってしまう。
優里でも誉でも、森山さんでもない。
SNSやレズビアンのイベントで出会った誰かでもない。
他の誰でもない、2人に愛されたい。
あたしに手を差し伸べてくれたのは、2人だけだったから。
あたしをちゃんと見てくれようとしたのは、2人だけだったから。
2人があたしを愛してくれるときだけ、あたしはあたしを好きになれた気がした。
永那が肩を抱いてくれる。
…ほら、またそうやってあたしを甘やかす。
こんなことしてくれるのは、2人だけなんだよ。
穂なんて…キスまでしてくれる。
あたしが自分で自分を気持ち良くする姿を見ても、引きもしない。
なんなら、穂にできる精一杯のことをやってくれる。
あたしのこと、本気で心配してくれてる。
…そりゃあ、優里だって誉だって…もしかしたら森山さんだって、あたしのことを本気で心配してくれてたのかもしれない。
でも、2人ほどじゃない。
当たり前だ。
ただの友達を、自分を犠牲にしてまで助けようとは、誰も思わない。
2人が…おかしいんだ。
2人はちゃんとお互いに愛し合っているのに、あたしなんかがいるから…歪になる。
あたしなんかが…。
「千陽」
永那の、優しい声。
「いつかさ…いつか、お前が寂しくなくなるときまで、私はずっとそばにいるから」
穂と、同じことを言う。
「べつに、寂しくなくなっても、友達でいるけどさ」
それも、穂と一緒。
「泣くなよ」
これは…言われてない。
「お前にはもう、私以外にも、いるでしょ?」
涙が、溢れて、止まらない。
「最近、森山さんとも仲良くしてるみたいだし」
「…森山さんは、どうでもいい」
「おいおい、それは失礼だぞ?」
笑いたくないのに、プッと笑ってしまう。
森山さんのせいだ。
頭を撫でられて、思わず顔を上げる。
シシシと笑う永那は…やっぱりあたしの王子様だ。
「穂は私の、お前は穂の、結果的に2人とも私の…なんでしょ?」
左眉を上げて、彼女ははにかんだ。
「今日まで、意味わかんなかったけど…まあ、悪くないかなって…思ったよ」
「そうなの?」
「…うん。…あ、でも、エッチはダメだからね!絶対ダメ!キスとおっぱいだけ!わかった?」
あたしはそっぽを向く。
「あ!おい!ダメだよ!?絶対ダメ!」
…しないよ。
もう、十分、これだけで幸せなんだから。
「ねえ!ダメだからね!?」
「うるさい」
永那が視界の端で項垂れる。
「…穂にもう一回言っておかないと」
永那の、バーカ。
今更になって、ジワッとショーツが湿る。
最初は本当に、2人に言った通り1階にいた。
ソファに転がりながらスマホをボーッと見ていた。
優里や誉、クラスメイトのSNSを眺めていた。
文化祭の写真がたくさん投稿されていた。
誉は…なんかよくわかんないこと言ってた。
でもそのうち、穂の喘ぎ声が聞こえ始めた。
あたし1人では、できないこと。
あたし1人では、聞けない声。
穂はあたしのを聞くけど、あたしは、聞いちゃだめなの。
だから、好奇心が擽られた。
ドアを開ける気は当然なかったけど、2人のやり取りを聞きたかった。
こっそり2階に行って、ドアのそばに座った。
穂の気持ち良さそうな声を聞いて、自然と恥部に手が伸びた。
頭のなかで2人を想像して、穂と一緒に、たくさんイった。
それだって、幸せだった。
でも、ふと、我にかえって。
ママも今、彼氏とセックスしてんのかな、とか。
パパも出張と言いつつ誰かとセックスしてんのかな、とか。
そんなことを考えたら、あたしだけひとりぼっちに思えた。
あたし、1人でなにやってるんだろう?って、泣けてきた。
自分が、誰にも必要とされていないみたいで。
自分が、邪魔者みたいに思えて。
あたしさえいなければ、ママは彼氏と結婚できたのかな、とか。
あたしさえいなければ、パパも自由にセックスできたのかな、とか。
あたしさえいなければ、永那と穂は誰にも邪魔されず、まっすぐに愛を育めたのに、とか。
永那が部屋から出てきても、その思いは消えなかった。
“どうせあたしが邪魔なんでしょ”って。
でも永那にお姫様だっこされて…頭が真っ白になった。
そんなこと、人生で初めてされたから。
…そもそも、永那の腕枕だって、初めてだったのに。
永那に、こんなにも優しくされたのは、出会ったとき以来だったかもしれない。
…いや、出会ったときよりも、ずっと、ずっと、優しいかもしれない。
それは、穂のおかげかな。
…あたし、いてもいいのかな。
2人と一緒に、いてもいいのかな。
「それで傷ついてたら本末転倒じゃん」
「…でも、どうすればいいかわからない」
永那がフゥッと息を吐く。
「私にもわからん」
…中学のときとは、違う返答。
幸せだった。
だから、少しでも長く一緒にいたいと思ってしまった。
大丈夫だと思ってしまった。
彼女達の1ヶ月記念にも、あたしが意地になって、穂の喘ぎ声を聞いて、心臓がズキズキと痛んだ。
抉られるんじゃないかと思うほどに、痛かった。
それでも、あのときは怒りもあったし、永那に対して冷めた感覚も明確にあったように思えた。
だから、なんとか耐えられた。
どうして自分がこんなにも、2人に固執しているのか、わからない。
でも、ただ…ただ…愛されたいと願ってしまう。
優里でも誉でも、森山さんでもない。
SNSやレズビアンのイベントで出会った誰かでもない。
他の誰でもない、2人に愛されたい。
あたしに手を差し伸べてくれたのは、2人だけだったから。
あたしをちゃんと見てくれようとしたのは、2人だけだったから。
2人があたしを愛してくれるときだけ、あたしはあたしを好きになれた気がした。
永那が肩を抱いてくれる。
…ほら、またそうやってあたしを甘やかす。
こんなことしてくれるのは、2人だけなんだよ。
穂なんて…キスまでしてくれる。
あたしが自分で自分を気持ち良くする姿を見ても、引きもしない。
なんなら、穂にできる精一杯のことをやってくれる。
あたしのこと、本気で心配してくれてる。
…そりゃあ、優里だって誉だって…もしかしたら森山さんだって、あたしのことを本気で心配してくれてたのかもしれない。
でも、2人ほどじゃない。
当たり前だ。
ただの友達を、自分を犠牲にしてまで助けようとは、誰も思わない。
2人が…おかしいんだ。
2人はちゃんとお互いに愛し合っているのに、あたしなんかがいるから…歪になる。
あたしなんかが…。
「千陽」
永那の、優しい声。
「いつかさ…いつか、お前が寂しくなくなるときまで、私はずっとそばにいるから」
穂と、同じことを言う。
「べつに、寂しくなくなっても、友達でいるけどさ」
それも、穂と一緒。
「泣くなよ」
これは…言われてない。
「お前にはもう、私以外にも、いるでしょ?」
涙が、溢れて、止まらない。
「最近、森山さんとも仲良くしてるみたいだし」
「…森山さんは、どうでもいい」
「おいおい、それは失礼だぞ?」
笑いたくないのに、プッと笑ってしまう。
森山さんのせいだ。
頭を撫でられて、思わず顔を上げる。
シシシと笑う永那は…やっぱりあたしの王子様だ。
「穂は私の、お前は穂の、結果的に2人とも私の…なんでしょ?」
左眉を上げて、彼女ははにかんだ。
「今日まで、意味わかんなかったけど…まあ、悪くないかなって…思ったよ」
「そうなの?」
「…うん。…あ、でも、エッチはダメだからね!絶対ダメ!キスとおっぱいだけ!わかった?」
あたしはそっぽを向く。
「あ!おい!ダメだよ!?絶対ダメ!」
…しないよ。
もう、十分、これだけで幸せなんだから。
「ねえ!ダメだからね!?」
「うるさい」
永那が視界の端で項垂れる。
「…穂にもう一回言っておかないと」
永那の、バーカ。
今更になって、ジワッとショーツが湿る。
最初は本当に、2人に言った通り1階にいた。
ソファに転がりながらスマホをボーッと見ていた。
優里や誉、クラスメイトのSNSを眺めていた。
文化祭の写真がたくさん投稿されていた。
誉は…なんかよくわかんないこと言ってた。
でもそのうち、穂の喘ぎ声が聞こえ始めた。
あたし1人では、できないこと。
あたし1人では、聞けない声。
穂はあたしのを聞くけど、あたしは、聞いちゃだめなの。
だから、好奇心が擽られた。
ドアを開ける気は当然なかったけど、2人のやり取りを聞きたかった。
こっそり2階に行って、ドアのそばに座った。
穂の気持ち良さそうな声を聞いて、自然と恥部に手が伸びた。
頭のなかで2人を想像して、穂と一緒に、たくさんイった。
それだって、幸せだった。
でも、ふと、我にかえって。
ママも今、彼氏とセックスしてんのかな、とか。
パパも出張と言いつつ誰かとセックスしてんのかな、とか。
そんなことを考えたら、あたしだけひとりぼっちに思えた。
あたし、1人でなにやってるんだろう?って、泣けてきた。
自分が、誰にも必要とされていないみたいで。
自分が、邪魔者みたいに思えて。
あたしさえいなければ、ママは彼氏と結婚できたのかな、とか。
あたしさえいなければ、パパも自由にセックスできたのかな、とか。
あたしさえいなければ、永那と穂は誰にも邪魔されず、まっすぐに愛を育めたのに、とか。
永那が部屋から出てきても、その思いは消えなかった。
“どうせあたしが邪魔なんでしょ”って。
でも永那にお姫様だっこされて…頭が真っ白になった。
そんなこと、人生で初めてされたから。
…そもそも、永那の腕枕だって、初めてだったのに。
永那に、こんなにも優しくされたのは、出会ったとき以来だったかもしれない。
…いや、出会ったときよりも、ずっと、ずっと、優しいかもしれない。
それは、穂のおかげかな。
…あたし、いてもいいのかな。
2人と一緒に、いてもいいのかな。
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