いたずらはため息と共に

常森 楽

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4.踏み込む

220.疲労

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「千陽…そろそろ、着替えるから…その…」
穂が言う。
伏し目がちな彼女の唇を上向かせて、重ねる。
もう少し足を上げて、彼女の恥部に、太ももを押し付けた。
「んっ…」
永那が起き上がって、伸びをする。
あたし達がキスすること、もう全然気にしていないみたい。
舌を絡めて、クチュクチュと音を立てる。
太ももに、トロッと、何かが垂れる。
私のショーツにも、蜜が溢れる。
彼女があたしから離れて、唇に糸が引く。
…もうおしまいか。
そっと布団から出る。
「お昼、ピザでもいい?」
「お!いいねえ」
永那が言う。
あたしは部屋を出て、1階におりた。

ソファに座る。
太ももに布がつかないように、ワンピースの裾を浮かせて来た。
裾を捲ると、太ももの一部が濡れているのがわかる。
“永那ちゃん、私の蜜が好きらしくて、たくさん舐められるの”
いつか、穂が教えてくれた。
穂の、味…。
どんなかな。
昨日の夜、穂があたしのを興味深げに眺めていた。
本人は“匂いを嗅いでいた”と言っていたけど、舐めそうなくらい顔が近くて、ドキドキした。
太ももを指で拭う。
それを、舐めてみる。
…ちょっと、しょっぱい。
汗かいてたからかな?
自分の指のしょっぱさもあるのかもしれない。

あたしはテーブルに置いていたスマホを取って、ピザを注文する。
フゥッと息を吐いて、背もたれに寄りかかる。
しばらく目を閉じていたら、2人がおりてきた。
「千陽」
目を開けると、隣に制服姿の穂が座った。
「今日は…泊まってあげられないけど、夜ご飯は、一緒に食べよう?」
穂の優しさが、嬉しい。
あたしが頷くと、優しく微笑んでくれる。
「よいしょーっ」
永那がソファに寝転んで、穂の膝を枕にする。
…ずるい。
「あたしも寝たい」
「だめー」
永那は目を閉じて、ニヤニヤしながら言う。
穂は、苦笑してる。
仕方ないから、彼女の肩に頭を乗せる。

なんとなく…ただ、なんとなく…スマホのカメラを起動する。
SNSでレズビアンの人達と交流するために、試しに何度か自撮りしてみた。
結局載せなかったけど、我ながら可愛く撮れた自負はある。
あたしがスマホを構えて、穂があたしを見る。
ニコッと笑ってくれて、心臓がギュッと掴まれた。
画面の下に、永那も写っている。
永那は目を閉じているから、あたしがカメラを起動していることに気づいていない。
あたしは穂の頬にキスして、その瞬間、シャッターボタンを押した。
カシャッと音が鳴って、永那が目を開ける。
「ん?写真?」
撮れた写真を見ると、綺麗に撮れていて、満足。
「え、千陽が撮ったの?」
「悪い?」
「い、いや…珍しい…ってか、初じゃないの?」
「千陽…」
穂が小さく唇を尖らせていて可愛い。
「見して」
永那が手を伸ばす。
永那にはスマホを持たせないように、画面を見せる。
下手したら消されかねない…。
そんなことはしないと思うけど。

「あ!なにこれ!ずるい!私もする!」
「い、いいよー、やらなくて」
穂が困った顔をするから、やっぱり1枚目でやってよかった。
綺麗に撮れたし。
その後、永那が何度も挑戦しようとしたけど、穂は嫌そうな顔をしていた。
永那が不機嫌になったあたりで、インターホンが鳴る。
あたしが立ち上がって玄関に向かう途中、振り向くと、2人はキスしていた。
「ハァ」とため息をついて、ドアを開ける。
ピザを受け取って、3人で食べた。

穂が、永那を寝かせたいと言うから、ソファに寝かせた。
ベッドは、絶対あのままがいいから。
永那がまた穂の膝枕で寝るから、あたしも彼女の肩に頭を乗せる。
「穂、好き」
フフッと彼女が笑う。
「私も、好きだよ」
「穂が?」
「…なんでよ。千陽がだよ?」
嬉しくて、心がふわふわする。
穂は永那の髪を指で梳いている。
…この時間がずっと続けばいいのに。

永那がスゥスゥ寝息を立て始めた。
「ちょっと…トイレ借りるね」
穂は永那の頭をゆっくり膝からおろして、立ち上がる。
永那は起きる気配もない。
彼女の髪を撫でる。
久しぶりな気がした。
…永那とは、キスしちゃだめなのかな。
欲張りすぎ?
穂を傷つけたくないし、やらないほうがいいよね。
永那の寝顔を眺めていたら、穂が戻ってくる。
元いた場所(永那とあたしの間)には座らず、あたしの横に座った。
あたしが彼女をジッと眺めていると“なに?”という顔で、首を傾げる。
「…あたしも、膝枕…してほしい」
フフッと笑って「いいよ」と言ってくれるから、横になる。
7,8人が座れる広いソファなんて、寂しいだけだと思っていたけど、初めてありがたみを感じた。
「…幸せ」
「よかった」
穂がそう言って、心の声が出ていたことに気づく。
顔が一気に熱くなる。
意識して言うのと、気づいたら言っていたのとでは…感覚が全然違う。

「そういえば、玩具は…大丈夫だったんだよね?永那」
チラリと穂を見ると、穂の顔も赤くなった。
2人で赤くなるなら、まあ…いっか。
「う、うん。たぶん…。私が動かすのは、やっぱりだめだったけど、千陽がするのは、良いみたい」
…永那、“エッチはだめ”って言うけど、これも立派なエッチじゃない?と、あたしは思う。
とにかく、あたしが自分で勝手にするのはOKっていうのが基準なんだろうけど…変な基準。
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