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4.踏み込む
248.爆弾発言(236.先輩と同時進行)
誉がお昼を作ってくれた。
千陽はそれを食べて、帰った。
永那ちゃんにメッセージを送る。
『昨日、千陽が泊まったよ。約束、守ってるからね。…ちょっとだけ、千陽の指についたのを、舐めてしまったけれど』
月曜の朝『空井さん、ちょっと今日話そうか』と、永那ちゃんの目の下がピクピク痙攣して怒っている姿が思い浮かぶ返事がきた。
「穂?」
休み時間、校舎裏。
壁に押しやられて、逃げられないように両手で挟まれた。
私は目をそらす。
「約束、守ってるのかな?」
「マモッテルヨ」
「はい、約束の内容は?」
「キスと、胸だけ…。胸を、さわられてしまったら仕方ないけど、なるべく、だめ…」
「うん。それで、何をしたって?」
「指を…舐めました…」
「その指には、何がついていたのかな?」
生徒の話し声、草木が風に揺れる音、車が風を切る音。
私はそれらに耳を傾けて、現実逃避する。
「空井さん?生徒会長?クラス委員長さん?…ねえ、何が、ついていたのかな?何がついている指を、舐めたのかな?」
永那ちゃんの顔が近づく。
「ゴメンナサイ」
「“ごめんなさい”じゃなくて、質問に答えてください」
「ちょ、ちょっとだけ…だから…」
「質問に、答えろ」
永那ちゃん、怒ると怖いよ…。
圧がすごいんだよ。
殺気があるんだよ。
声が低くなって、もう絶対逆らえないって思えてくる。
「あの…え、液体を…」
「液体」
「な、なんて言えばいいか、わからないよ」
「愛液でしょ?一番恥ずかしいところから溢れ出てくる、体液」
そうハッキリ言われると、顔が熱くなる。
「が、学校だよ…!?」
「誰が言わせてんの?」
「ごめんなさい…」
永那ちゃんが「ハァ」と大きくため息をつく。
「え、永那ちゃん…」
「なに?」
少し苛立ったように聞かれる。
「永那ちゃんが…永那ちゃんが、さ?」
彼女の左眉が上がって、見下ろされる。
「千陽を…気持ちよくさせてあげればいいんだよ…」
永那ちゃんの顔が、耳まで真っ赤になる。
「な、なに…言ってるの?穂」
「だって、千陽が、ひとりでシてるの見てて、なんか…もっと何かしてあげたいって思うんだもん」
彼女がズルズルとしゃがみこんで、小さく丸まる。
「す、穂は…それ、良いの?」
「んー…わからない。わからないけど…千陽がいつか私達から離れるって、言うから…それが、なんか、寂しくて…」
「…なんだそれ」
彼女がまた大きくため息をついた。
「穂は真面目な優等生でしょ?…こんな…なんというか、淫らな関係は、良いの?」
「み、淫ら…?」
「だっておかしいじゃん…。私が千陽に手出したら、おかしな関係になるじゃん」
…考えたこともなかった。
ただ私はいつも目の前のことに必死で、目の前のことをどうにかすることに必死で、全然俯瞰的に自分達を見ることができていなかった。
いつもそうだ。
永那ちゃんに出会う前の私は、“みんなから嫌がられる”と頭ではわかっていながら、間違っていると思うことを正さずにはいられなかった。
その場で、つい感情的に、自分を俯瞰せず、何かを口走る。
それでいつも“またやってしまった…”と思っていた。
でもそれは心からの後悔や反省にまでは昇華せず、なんなら、“でも、私は正しいことを言っているだけだし”と正当化すらしていたかもしれない。
「穂、前に、私が“なんでここにいないんだろう?って思った”って言ってたよね?…あの、さ…そういうこと?」
そういうことの意味がわからなくて、首を傾げる。
永那ちゃんの、三度目の、大きなため息。
「3人でシたいってこと?」
ドッドッドッと鼓動が速まって、プシューッと頭から湯気が出そうになる。
「ち、ちが…」
永那ちゃんが目を細めて、眉間にシワを寄せる。
「そう、聞こえちゃうよ?」
私を救うかのように、予鈴が鳴る。
四度目のため息をついて、永那ちゃんが立ち上がった。
手を握られて、引っ張られる。
唇が触れ合って、すぐに離れた。
「ホント、穂はわからん」
彼女の眉根が下がって、困ったように笑った。
そのまま手を引かれて、教室に戻る。
休み時間中、永那ちゃんが起きているからか、千陽が永那ちゃんの机に座る。
永那ちゃんが顔を真っ赤にして、アタフタしているから、千陽が私を見た。
私は目をそらして、窓の外を見る。
私に近づく足音がする。
「空井さん、2人で何話してたの?あたしのこと?…あれ、怒られたんじゃないの?」
片手で両頬を掴まれて、強引に顔を千陽のほうに向かされる。
私の唇がぶちゅっと潰れてる。
「千陽…ちゅくえはしゅわるとこじゅぁ、ないよ」(机は座るとこじゃ、ないよ)
手が離れる。
「今、そんな話してないんだけど?…ていうか、“佐藤さん”だし」
私は頬をポリポリ掻きながら「怒られた…怒られた、けど…よくわからなくなっちゃった…」と呟く。
千陽が首を傾げる。
「永那の様子が明らかにおかしいんだけど。何話したの?」
「…ここでは、言えません」
「ふーん」
千陽はそれを食べて、帰った。
永那ちゃんにメッセージを送る。
『昨日、千陽が泊まったよ。約束、守ってるからね。…ちょっとだけ、千陽の指についたのを、舐めてしまったけれど』
月曜の朝『空井さん、ちょっと今日話そうか』と、永那ちゃんの目の下がピクピク痙攣して怒っている姿が思い浮かぶ返事がきた。
「穂?」
休み時間、校舎裏。
壁に押しやられて、逃げられないように両手で挟まれた。
私は目をそらす。
「約束、守ってるのかな?」
「マモッテルヨ」
「はい、約束の内容は?」
「キスと、胸だけ…。胸を、さわられてしまったら仕方ないけど、なるべく、だめ…」
「うん。それで、何をしたって?」
「指を…舐めました…」
「その指には、何がついていたのかな?」
生徒の話し声、草木が風に揺れる音、車が風を切る音。
私はそれらに耳を傾けて、現実逃避する。
「空井さん?生徒会長?クラス委員長さん?…ねえ、何が、ついていたのかな?何がついている指を、舐めたのかな?」
永那ちゃんの顔が近づく。
「ゴメンナサイ」
「“ごめんなさい”じゃなくて、質問に答えてください」
「ちょ、ちょっとだけ…だから…」
「質問に、答えろ」
永那ちゃん、怒ると怖いよ…。
圧がすごいんだよ。
殺気があるんだよ。
声が低くなって、もう絶対逆らえないって思えてくる。
「あの…え、液体を…」
「液体」
「な、なんて言えばいいか、わからないよ」
「愛液でしょ?一番恥ずかしいところから溢れ出てくる、体液」
そうハッキリ言われると、顔が熱くなる。
「が、学校だよ…!?」
「誰が言わせてんの?」
「ごめんなさい…」
永那ちゃんが「ハァ」と大きくため息をつく。
「え、永那ちゃん…」
「なに?」
少し苛立ったように聞かれる。
「永那ちゃんが…永那ちゃんが、さ?」
彼女の左眉が上がって、見下ろされる。
「千陽を…気持ちよくさせてあげればいいんだよ…」
永那ちゃんの顔が、耳まで真っ赤になる。
「な、なに…言ってるの?穂」
「だって、千陽が、ひとりでシてるの見てて、なんか…もっと何かしてあげたいって思うんだもん」
彼女がズルズルとしゃがみこんで、小さく丸まる。
「す、穂は…それ、良いの?」
「んー…わからない。わからないけど…千陽がいつか私達から離れるって、言うから…それが、なんか、寂しくて…」
「…なんだそれ」
彼女がまた大きくため息をついた。
「穂は真面目な優等生でしょ?…こんな…なんというか、淫らな関係は、良いの?」
「み、淫ら…?」
「だっておかしいじゃん…。私が千陽に手出したら、おかしな関係になるじゃん」
…考えたこともなかった。
ただ私はいつも目の前のことに必死で、目の前のことをどうにかすることに必死で、全然俯瞰的に自分達を見ることができていなかった。
いつもそうだ。
永那ちゃんに出会う前の私は、“みんなから嫌がられる”と頭ではわかっていながら、間違っていると思うことを正さずにはいられなかった。
その場で、つい感情的に、自分を俯瞰せず、何かを口走る。
それでいつも“またやってしまった…”と思っていた。
でもそれは心からの後悔や反省にまでは昇華せず、なんなら、“でも、私は正しいことを言っているだけだし”と正当化すらしていたかもしれない。
「穂、前に、私が“なんでここにいないんだろう?って思った”って言ってたよね?…あの、さ…そういうこと?」
そういうことの意味がわからなくて、首を傾げる。
永那ちゃんの、三度目の、大きなため息。
「3人でシたいってこと?」
ドッドッドッと鼓動が速まって、プシューッと頭から湯気が出そうになる。
「ち、ちが…」
永那ちゃんが目を細めて、眉間にシワを寄せる。
「そう、聞こえちゃうよ?」
私を救うかのように、予鈴が鳴る。
四度目のため息をついて、永那ちゃんが立ち上がった。
手を握られて、引っ張られる。
唇が触れ合って、すぐに離れた。
「ホント、穂はわからん」
彼女の眉根が下がって、困ったように笑った。
そのまま手を引かれて、教室に戻る。
休み時間中、永那ちゃんが起きているからか、千陽が永那ちゃんの机に座る。
永那ちゃんが顔を真っ赤にして、アタフタしているから、千陽が私を見た。
私は目をそらして、窓の外を見る。
私に近づく足音がする。
「空井さん、2人で何話してたの?あたしのこと?…あれ、怒られたんじゃないの?」
片手で両頬を掴まれて、強引に顔を千陽のほうに向かされる。
私の唇がぶちゅっと潰れてる。
「千陽…ちゅくえはしゅわるとこじゅぁ、ないよ」(机は座るとこじゃ、ないよ)
手が離れる。
「今、そんな話してないんだけど?…ていうか、“佐藤さん”だし」
私は頬をポリポリ掻きながら「怒られた…怒られた、けど…よくわからなくなっちゃった…」と呟く。
千陽が首を傾げる。
「永那の様子が明らかにおかしいんだけど。何話したの?」
「…ここでは、言えません」
「ふーん」
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