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5.時間
267.修学旅行
『そういえば、言い忘れてたけど…4ヶ月ありがとう!これからもよろしくね』
あ…私も言い忘れてた。
『こちらこそ、いつもありがとう。よろしくお願いします』
『好きだよ、穂』
『私も、永那ちゃんが好き』
スクリーンショットを保存した。
「姉ちゃん、なにニヤニヤしてんの?」
「関係ないでしょ」
「なんか良いことあった?」
誉が、椅子に座る私の顔を覗き込む。
「なになに?」
「うるさいなあ、もう」
「教えてくれてもいいじゃん」
誉は唇を尖らせて「つまんねーの」とラグに寝転んだ。
…たった4ヶ月。されど4ヶ月。
あっという間だったような、濃密過ぎて1年くらい経ったようにも感じられる。
千陽とキスするようになって、もうすぐ2ヶ月。
こう考えると、私って…とても…なんというか…はしたないのでは?
急に顔が熱くなって、パタパタと手で扇ぐ。
永那ちゃんに“恋人っぽいこと、たくさんしたい”と言われて、“私も!”と手を挙げたい気持ちだった。
…あのときは、当然、無理だったけど。
“3人でシたい”なんて、私言っていないのに、いつの間にか私達の間で共通の問題みたいになっているのが、少し不服。
永那ちゃんが“そう聞こえる”って言っただけ…たぶん。
月曜日、授業が終わって、永那ちゃんを起こす。
来週から修学旅行だから、クラスのみんながウキウキしているような、楽しい雰囲気に包まれていた。
永那ちゃんは起きて早々、私を抱きしめる。
誰にも注目されていないと、頭では理解していても、やっぱりまだ恥ずかしい。
千陽と3人で帰る。
学校から離れると、当たり前のように千陽に腕を組まれる。
「千陽も来る?」
電車の中で、永那ちゃんが言う。
千陽が目を見開いて、眉間にシワを寄せる。
「いい、の?」
「うん」
横に立つ千陽が嬉しそうに口元を綻ばせた。
修学旅行のときに“夜、2人きりの時間、作ってあげようか?”と千陽は聞いてくれた。
千陽が、すごく気遣ってくれているのが伝わってくる。
今回も“一緒に行きたい”とは一言も言わなかった。
“もういいって言ったら、いい”
永那ちゃんの言葉を信じて、私は私の思うやり方で、彼女達を大事にしようと、改めて決意する。
永那ちゃんの家の前について、いつも通り、ブロック塀に寄りかかって待つ。
「昨日は、どうだった?」
「楽しかったよ!」
「良かったね」
千陽が優しく微笑む。
「そういえば、千陽とは2人きりでどこかに行ったこと、ないね」
「永那より先は、おかしいでしょ?」
…本当、千陽はどうしてこんなに優しいんだろう。
私のほうが永那ちゃんのこと、ちゃんと考えてあげられていないんじゃないかと、一気に不安になる。
「デートしてないこと、知ってたの?」
「うん」
「そっか。いつの間に…」
「2人のことは、なんでも知りたいから」
「千陽…金井さんと仲良くなれるんじゃないかな?」
「なんで?」
「金井さんと、少し似てるなあって思って」
「ふーん。…でも、何話せばいいかなんて、あたしわかんない」
「まあ、無理に話す必要は、ないとは思うけど…」
「穂ちゃーん!」
お母さんが勢い良くドアを開けて、転げるように階段を下りてくる。
「お、お母さん…危ない…」
ふらふらしながらも、私に抱きついてくれる。
「へへへ、ずーっと、楽しみにしてたの」
「私もです」
「あ!千陽ちゃん!」
千陽がペコリと頭を下げる。
ドアに鍵を閉めて、永那ちゃんが下りてくる。
「行こっか」
4人でバスに乗る。
お母さんはバスに乗る直前まで元気だったけれど、乗ると途端に俯いて、永那ちゃんの腕をギュッと掴んだ。
私がお母さんの腕を掴むと、一瞬目を大きくして私をジッと見てから、照れくさそうにお母さんが笑った。
「は~!やっとついた~!」
20分ほどバスに揺られて、ホームセンターについた。
「わ~!お花!たくさん!」
「ホントだ。たくさんあるね」
永那ちゃんが興味深そうに、置かれている花を見る。
「毎年咲くから、多年草のほうがいいと思うけど…どうかな?」
「多年草?」
花に説明が書かれたプレートがついていたから、指差す。
それから花を選んで、必要な物を買って、家に帰った。
本当はすぐに鉢に植え替えてあげたほうがいいんだけど…お母さんがバスに乗って疲れてしまったので、今日はお開きにした。
千陽を家まで送って、私も帰った。
翌日、花を鉢に植え替えて、ベランダに置いた。
お母さんはいつまでも花を眺めていた。
「この子は、ハナコちゃん…この子は、ハナヨちゃん…この子は、ハナミちゃん…この子は」
ぶつぶつと、1つ1つの花に名前をつけていた。
私は修学旅行の日程表を出す。
「お母さん」
「な~に~?」
「これ、永那ちゃんから聞いてるかもしれないんですけど…修学旅行の日程表です」
「あ~!見たよ~!楽しそうだね~、いいな~」
「お母さんは修学旅行、どこに行ったんですか?」
「私はね~…」
あ…私も言い忘れてた。
『こちらこそ、いつもありがとう。よろしくお願いします』
『好きだよ、穂』
『私も、永那ちゃんが好き』
スクリーンショットを保存した。
「姉ちゃん、なにニヤニヤしてんの?」
「関係ないでしょ」
「なんか良いことあった?」
誉が、椅子に座る私の顔を覗き込む。
「なになに?」
「うるさいなあ、もう」
「教えてくれてもいいじゃん」
誉は唇を尖らせて「つまんねーの」とラグに寝転んだ。
…たった4ヶ月。されど4ヶ月。
あっという間だったような、濃密過ぎて1年くらい経ったようにも感じられる。
千陽とキスするようになって、もうすぐ2ヶ月。
こう考えると、私って…とても…なんというか…はしたないのでは?
急に顔が熱くなって、パタパタと手で扇ぐ。
永那ちゃんに“恋人っぽいこと、たくさんしたい”と言われて、“私も!”と手を挙げたい気持ちだった。
…あのときは、当然、無理だったけど。
“3人でシたい”なんて、私言っていないのに、いつの間にか私達の間で共通の問題みたいになっているのが、少し不服。
永那ちゃんが“そう聞こえる”って言っただけ…たぶん。
月曜日、授業が終わって、永那ちゃんを起こす。
来週から修学旅行だから、クラスのみんながウキウキしているような、楽しい雰囲気に包まれていた。
永那ちゃんは起きて早々、私を抱きしめる。
誰にも注目されていないと、頭では理解していても、やっぱりまだ恥ずかしい。
千陽と3人で帰る。
学校から離れると、当たり前のように千陽に腕を組まれる。
「千陽も来る?」
電車の中で、永那ちゃんが言う。
千陽が目を見開いて、眉間にシワを寄せる。
「いい、の?」
「うん」
横に立つ千陽が嬉しそうに口元を綻ばせた。
修学旅行のときに“夜、2人きりの時間、作ってあげようか?”と千陽は聞いてくれた。
千陽が、すごく気遣ってくれているのが伝わってくる。
今回も“一緒に行きたい”とは一言も言わなかった。
“もういいって言ったら、いい”
永那ちゃんの言葉を信じて、私は私の思うやり方で、彼女達を大事にしようと、改めて決意する。
永那ちゃんの家の前について、いつも通り、ブロック塀に寄りかかって待つ。
「昨日は、どうだった?」
「楽しかったよ!」
「良かったね」
千陽が優しく微笑む。
「そういえば、千陽とは2人きりでどこかに行ったこと、ないね」
「永那より先は、おかしいでしょ?」
…本当、千陽はどうしてこんなに優しいんだろう。
私のほうが永那ちゃんのこと、ちゃんと考えてあげられていないんじゃないかと、一気に不安になる。
「デートしてないこと、知ってたの?」
「うん」
「そっか。いつの間に…」
「2人のことは、なんでも知りたいから」
「千陽…金井さんと仲良くなれるんじゃないかな?」
「なんで?」
「金井さんと、少し似てるなあって思って」
「ふーん。…でも、何話せばいいかなんて、あたしわかんない」
「まあ、無理に話す必要は、ないとは思うけど…」
「穂ちゃーん!」
お母さんが勢い良くドアを開けて、転げるように階段を下りてくる。
「お、お母さん…危ない…」
ふらふらしながらも、私に抱きついてくれる。
「へへへ、ずーっと、楽しみにしてたの」
「私もです」
「あ!千陽ちゃん!」
千陽がペコリと頭を下げる。
ドアに鍵を閉めて、永那ちゃんが下りてくる。
「行こっか」
4人でバスに乗る。
お母さんはバスに乗る直前まで元気だったけれど、乗ると途端に俯いて、永那ちゃんの腕をギュッと掴んだ。
私がお母さんの腕を掴むと、一瞬目を大きくして私をジッと見てから、照れくさそうにお母さんが笑った。
「は~!やっとついた~!」
20分ほどバスに揺られて、ホームセンターについた。
「わ~!お花!たくさん!」
「ホントだ。たくさんあるね」
永那ちゃんが興味深そうに、置かれている花を見る。
「毎年咲くから、多年草のほうがいいと思うけど…どうかな?」
「多年草?」
花に説明が書かれたプレートがついていたから、指差す。
それから花を選んで、必要な物を買って、家に帰った。
本当はすぐに鉢に植え替えてあげたほうがいいんだけど…お母さんがバスに乗って疲れてしまったので、今日はお開きにした。
千陽を家まで送って、私も帰った。
翌日、花を鉢に植え替えて、ベランダに置いた。
お母さんはいつまでも花を眺めていた。
「この子は、ハナコちゃん…この子は、ハナヨちゃん…この子は、ハナミちゃん…この子は」
ぶつぶつと、1つ1つの花に名前をつけていた。
私は修学旅行の日程表を出す。
「お母さん」
「な~に~?」
「これ、永那ちゃんから聞いてるかもしれないんですけど…修学旅行の日程表です」
「あ~!見たよ~!楽しそうだね~、いいな~」
「お母さんは修学旅行、どこに行ったんですか?」
「私はね~…」
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