いたずらはため息と共に

常森 楽

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5.時間

290.好きのその先

好きのその先がなんなのか?
彼女と付き合う前、そんな疑問が浮かんだ。
好きのその先は…愛するということだった。
彼女と話すようになって、たった5ヶ月弱。
“愛”ってなんだろう?と思う。
時間で言えば、愛するには…覚悟を決めるには…早すぎる。
自分でも思う。
それでも“この人だ”と思ってしまった。
これが“高校生の若い恋”と思い出になってしまう日が来てしまうのかどうか、まだ私にはわからない。
それでも…彼女に出会えたことに、後悔はない。
彼女を愛してると思えたことに、後悔はない。

「穂、お風呂入る?」
「…無理だよ」
「疲れた?」
「うん」
「じゃー、エッチする?」
「どうしてそうなるの?」
へへへと彼女が楽しそうに笑う。
「穂、私、ちょっと出かけてくるよ」
「え!?今から?」
「夜の散歩、たまにお母さんとしてたんだよね」
「そうなんだ」
「穂は休んでて」
「うん。…気をつけてね」
「ほーい」

永那ちゃんがドアを開けて、鍵を閉める音がした。
時計を見ると、もう11時だった。
私は、こんな時間に外に出たことなんてないなあ。
いつもなら授業の復習をして、11時半には勉強を終えて、0時前には寝ている。
なんだか…不良になった気分。
勉強をしていないことに、なんだかソワソワしてくる。
…でも。
初めて、恋人の家で、お泊まり…だもんね。
永那ちゃんだって、元気に振る舞ってるけど、内心不安でいっぱいなはず。
私は、彼女が安心できるような存在でありたい。
今日くらいは、勉強しないで、ゆっくり彼女を癒やしてあげたい。

…本当にこの後またエッチするのかな?
私、もう…腰が…痛いのだけど。
永那ちゃんが、冗談で言ってるのか冗談じゃないのか、よくわからない。
でも、2回も言っていた。
2回も言うってことは、やっぱり、シたいってことだよね…?
できるかなあ。
あ、私がシてあげればいいのか!
この時間で少し休んで、私が永那ちゃんを気持ちよくしてあげる。
うん、それでいこう。

そう決めると、緊張の糸が緩むように、眠気に襲われた。
何か、夢を見た。
どんな夢だったのかは、思い出せない。
でも、とても幸せだったような…。
「穂」
呼ばれて、目を開ける。
「良かった、寝ちゃったかと思った」
「…寝てたよ」
「もっとグッスリだよ」
「今、帰ってきたの?」
「うん」
ニコッと笑って、永那ちゃんが私の顔の上に袋をブラブラさせる。
「なに?」
「プリン!食べる?」
「食べる!」

体を起こして、ブラをつけた。
服も着る。
「寝る前はブラつけないんだったら、つけなくていいんじゃない?」
永那ちゃんに言われて、私は頷く。
服を着た状態でブラを脱いだ。
「隠さなくてもいいのに」
永那ちゃんが唇を尖らせる。
「あんまり…見せて…永那ちゃんに飽きられても嫌だし…」
一気に永那ちゃんの顔がキラキラ輝く。
「飽きたりはしない気がするけど…そういうの良い!良いね!」
親指をグッと立てられた。
…単純。
2人でプリンを食べる。
「私がさっき、デザート食べたいって言ったから?」
「まあね。でも、お散歩したかったのも本当だよ?」
「そっか。ありがとう」

「穂、休まった?」
「うん」
「じゃあ、お風呂入る?…お風呂って言っても、うちの場合は狭いから基本的にシャワーなんだけど」
永那ちゃんが眉根を下げながら言う。
「うん、入る」
「よしっ、行こう」
永那ちゃんは立ち上がって、手を差し伸べてくれる。
「え、一緒に?」
「もちろん」
千陽が家に泊まったとき、優里ちゃんと一緒に入っていたことを思い出す。
永那ちゃんとは、初めてエッチした日も一緒に入ったし、修学旅行でもお風呂に一緒に入った。
修学旅行の場合は、大浴場だから、なんとも言い難いけれど…。
フゥッと息を吐いて、彼女の手に手を重ねる。
グイッと引っ張られて、立ち上がった。

永那ちゃんが先にシャワーを出す。
「お湯になるまで時間かかるんだよね」
永那ちゃんは眼鏡を外す。
「どれくらい、目、悪いの?」
「うーん、そんな悪くはないと思う。裸眼だと、教室の最前列か、2列目くらいに座んないと、黒板見えないかな」
「そっか」
「穂は視力良いんだよね?」
「うん。両方1.2あるよ」
「すげー。羨ましい」
「そう?眼鏡、ちょっと憧れちゃうけど」
「伊達眼鏡買えばいいじゃん」
「そっか!」
笑い合う。
永那ちゃんが先に服を脱ぐのを待ってから、私も脱いだ。

「穂」
抱きしめられて、心臓がぴょんと跳ねる。
肌と肌が、こんなにも密着したのは、初めてだ。
「え、永那ちゃん…」
「こうしてないと、体があったまらないでしょ?シャワー、1つしかないんだし」
永那ちゃんにそう言われて、抱きしめ合いながら、2人でシャワーを浴びた。
「洗ったげる」
「いいよ…」
「洗いたい!」
「もう…」
床に座って、髪を洗ってもらう。
初めてエッチしたときのことを思い出す。
あのときと同じように、永那ちゃんは「どこか気になるところはございませんかー?」なんて、美容院で洗ってもらうときみたいに言う。
「大丈夫です」
コンディショナーをつけるときにも、やっぱり頭皮のマッサージをしてくれて、体がほぐれるような心地よさを感じた。
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