304 / 595
5.時間
303.好きのその先
あれから3週間経った。
穂と永那は毎日楽しそうだった。
この前、5ヶ月記念日があって、その日は穂が生理でセックスできなかったとか…永那は酷く残念がっていたけど、穂が生理じゃない日は毎日セックスしているらしい。
…生理でも、胸を揉んだり、穂が永那のをさわったりしているみたいだけど。
穂の家でのセックスは、穂に声を出させないようにするのが大変だったとか…穂は顔を真っ赤にして「そんなこと言わなくていいよ」と慌てていた。
デートも、穂が好きな美術館に行ったり、動物園に行ったり、2人でカラオケにも行ったと言っていた。
2人でちゃんと勉強する時間も設けているらしく、あたしが家に行った日以降、穂に助けを求められることはなかった。
誉とオンラインゲームをしながら通話していたら、永那や穂の声が聞こえてきたこともある。
…もちろん、普通に会話している声。
穂と通話できなくなっていたから、寂しさを感じた。
穂に“好き”って送っても、返ってくるのは数時間後か朝。
虚しいから、送らなくなった。
あたしは暇だから、学校帰り、桜の家に遊びに行くようになった。
最初はBLの漫画を読ませてもらっていたけど、奥の方に百合の漫画があるのを発見して、そっちを読むようになった。
「桜」
「な、なに?」
敬語がうざいから、やめさせた。
「3人でって話ないの?」
「と、取り合う話はあっても…3人仲良くなんて、あんまり見たことないよ…。BLならあるけど」
「ふーん」
つまんない。
あたし達のほうが、百合漫画よりよっぽど青春してるんじゃない?
…なんて。
今は、幸せそうな漫画の主人公がなんだか恨めしい。
「ねえ、桜にメイクしてあげる」
「え!?」
彼女の眼鏡を外すと、顔を真っ赤に染めた。
鞄からポーチを出して、ジッと彼女を見た。
桜は全然目を合わせてくれない。
あたしは全然気にしないけど。
目はけっこうパッチリしてるし、肌も白くて綺麗だし、地は良いものを持っているのだから、なんだかいろいろもったいないと思う。
眉毛を整えて、メイクを施す。
「可愛いじゃん」
鏡を見せると、彼女はジッと自分の顔を見つめた。
「まあ…今日はアイロンもないし、髪はやってあげられないけど…」
「す、すごい…」
「明日の朝やってあげるから…それで学校行ってみたら?」
「え!?そ、そんな…恥ずかしすぎる…」
「可愛いのに、もったいないよ」
あたしが彼女を見つめると、彼女は指で前髪を梳いた。
…ああ、穂みたい。
胸がズキリと痛んだ。
「コンタクトはないんだろうから、眼鏡かもだけど」
「…実は、持ってます…る」
まする、って…。
「そうなの?じゃあ、コンタクトつけなよ」
彼女が頷く。
「桜」
「なに?」
「あたしって、穂と永那に放置されてるよね?」
桜の顔が引きつる。
ポリポリ頬を掻いて、目線を上に遣る。
「ま、まあ…今までお2人は制限のあるなかでお付き合いされていたから…溜まっていた鬱憤が爆発してる、みたいな状態…なのでは」
「それはわかってる。わかってるけどさ、放置されすぎて、あたしの鬱憤が溜まってるんだけど」
「そ、そうだね…」
「ハァ」とため息をついて、あたしはポーチを鞄にしまった。
桜に八つ当たりしても仕方ないよね。
翌日。
今週は2人とも穂の家だから、お迎えはない。
それも、寂しくてたまらない。
桜の家に行くと、お母さんが出迎えてくれた。
「佐藤さん、本当にいつもありがとうね」
「いえ」
ペコリと会釈して、桜の部屋に行く。
「お、おはようございます」
桜の妹の菫に挨拶されて「おはよ」と返す。
桜は既にコンタクトをつけていて、緊張気味に座っていた。
彼女にメイクを施して、一緒に登校した。
「も、森山…おはよう」
塩見が話しかけてきて、桜が「おはようございます」と小さく言った。
塩見…絶対桜に惚れてるよね。
穂と永那が登校してきて、穂が目を大きくした。
「森山さん、眼鏡外したんだね」
「は、はい…佐藤さんにメイクもしてもらいました…」
「すごく似合ってる。可愛いね」
…穂、ホント人間タラシだよね。
サラリとそういうことを言うんだから。
今まで友達がいなかったっていうのが嘘みたいに思える。
永那も大概だけど…2人揃ってタラシってやばすぎでしょ。
桜の顔が真っ赤になる。
汗をかいて、手でパタパタと顔を扇いだ。
「千陽、すごいね」
穂が笑うから、あたしは彼女を睨む。
「べつに」
ぷいと前を向いて、授業の準備をした。
「…千陽、私何かした?最近、連絡もないし」
「べつに、何も」
「何かしたなら教えて?お願い」
奥歯を強く噛んで、手を握りしめた。
…何も、してない。
何もしてくれないことが、寂しいの。
なんでわからないの。
「千陽」
穂の手が、あたしの肩に乗る。
あたしは外を睨む。
必死に、溢れそうになる涙を堪えた。
…今の2人に“寂しい”なんて言って、気を使わせたくない。
「千陽…」
明日は、穂の誕生日だし…2人で楽しむんだろうから、それの邪魔もしたくない。
2人の邪魔には、なりたくない。
…でも、やっぱり、愛されたい。
寂しい。
ポタポタと、涙が零れた。
穂と永那は毎日楽しそうだった。
この前、5ヶ月記念日があって、その日は穂が生理でセックスできなかったとか…永那は酷く残念がっていたけど、穂が生理じゃない日は毎日セックスしているらしい。
…生理でも、胸を揉んだり、穂が永那のをさわったりしているみたいだけど。
穂の家でのセックスは、穂に声を出させないようにするのが大変だったとか…穂は顔を真っ赤にして「そんなこと言わなくていいよ」と慌てていた。
デートも、穂が好きな美術館に行ったり、動物園に行ったり、2人でカラオケにも行ったと言っていた。
2人でちゃんと勉強する時間も設けているらしく、あたしが家に行った日以降、穂に助けを求められることはなかった。
誉とオンラインゲームをしながら通話していたら、永那や穂の声が聞こえてきたこともある。
…もちろん、普通に会話している声。
穂と通話できなくなっていたから、寂しさを感じた。
穂に“好き”って送っても、返ってくるのは数時間後か朝。
虚しいから、送らなくなった。
あたしは暇だから、学校帰り、桜の家に遊びに行くようになった。
最初はBLの漫画を読ませてもらっていたけど、奥の方に百合の漫画があるのを発見して、そっちを読むようになった。
「桜」
「な、なに?」
敬語がうざいから、やめさせた。
「3人でって話ないの?」
「と、取り合う話はあっても…3人仲良くなんて、あんまり見たことないよ…。BLならあるけど」
「ふーん」
つまんない。
あたし達のほうが、百合漫画よりよっぽど青春してるんじゃない?
…なんて。
今は、幸せそうな漫画の主人公がなんだか恨めしい。
「ねえ、桜にメイクしてあげる」
「え!?」
彼女の眼鏡を外すと、顔を真っ赤に染めた。
鞄からポーチを出して、ジッと彼女を見た。
桜は全然目を合わせてくれない。
あたしは全然気にしないけど。
目はけっこうパッチリしてるし、肌も白くて綺麗だし、地は良いものを持っているのだから、なんだかいろいろもったいないと思う。
眉毛を整えて、メイクを施す。
「可愛いじゃん」
鏡を見せると、彼女はジッと自分の顔を見つめた。
「まあ…今日はアイロンもないし、髪はやってあげられないけど…」
「す、すごい…」
「明日の朝やってあげるから…それで学校行ってみたら?」
「え!?そ、そんな…恥ずかしすぎる…」
「可愛いのに、もったいないよ」
あたしが彼女を見つめると、彼女は指で前髪を梳いた。
…ああ、穂みたい。
胸がズキリと痛んだ。
「コンタクトはないんだろうから、眼鏡かもだけど」
「…実は、持ってます…る」
まする、って…。
「そうなの?じゃあ、コンタクトつけなよ」
彼女が頷く。
「桜」
「なに?」
「あたしって、穂と永那に放置されてるよね?」
桜の顔が引きつる。
ポリポリ頬を掻いて、目線を上に遣る。
「ま、まあ…今までお2人は制限のあるなかでお付き合いされていたから…溜まっていた鬱憤が爆発してる、みたいな状態…なのでは」
「それはわかってる。わかってるけどさ、放置されすぎて、あたしの鬱憤が溜まってるんだけど」
「そ、そうだね…」
「ハァ」とため息をついて、あたしはポーチを鞄にしまった。
桜に八つ当たりしても仕方ないよね。
翌日。
今週は2人とも穂の家だから、お迎えはない。
それも、寂しくてたまらない。
桜の家に行くと、お母さんが出迎えてくれた。
「佐藤さん、本当にいつもありがとうね」
「いえ」
ペコリと会釈して、桜の部屋に行く。
「お、おはようございます」
桜の妹の菫に挨拶されて「おはよ」と返す。
桜は既にコンタクトをつけていて、緊張気味に座っていた。
彼女にメイクを施して、一緒に登校した。
「も、森山…おはよう」
塩見が話しかけてきて、桜が「おはようございます」と小さく言った。
塩見…絶対桜に惚れてるよね。
穂と永那が登校してきて、穂が目を大きくした。
「森山さん、眼鏡外したんだね」
「は、はい…佐藤さんにメイクもしてもらいました…」
「すごく似合ってる。可愛いね」
…穂、ホント人間タラシだよね。
サラリとそういうことを言うんだから。
今まで友達がいなかったっていうのが嘘みたいに思える。
永那も大概だけど…2人揃ってタラシってやばすぎでしょ。
桜の顔が真っ赤になる。
汗をかいて、手でパタパタと顔を扇いだ。
「千陽、すごいね」
穂が笑うから、あたしは彼女を睨む。
「べつに」
ぷいと前を向いて、授業の準備をした。
「…千陽、私何かした?最近、連絡もないし」
「べつに、何も」
「何かしたなら教えて?お願い」
奥歯を強く噛んで、手を握りしめた。
…何も、してない。
何もしてくれないことが、寂しいの。
なんでわからないの。
「千陽」
穂の手が、あたしの肩に乗る。
あたしは外を睨む。
必死に、溢れそうになる涙を堪えた。
…今の2人に“寂しい”なんて言って、気を使わせたくない。
「千陽…」
明日は、穂の誕生日だし…2人で楽しむんだろうから、それの邪魔もしたくない。
2人の邪魔には、なりたくない。
…でも、やっぱり、愛されたい。
寂しい。
ポタポタと、涙が零れた。
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。