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306.酸いも甘いも
「私は、楽しいよ」
永那が、本当に楽しそうに笑う。
穂が顔を上げて、眉をハの字にさせながら永那を見た。
「恋愛してるって感じがするし。…そう思えるのも、今が幸せだからかもしんないけど。でも、穂がいつもまっすぐなのはわかるから。穂が振り回してくれなかったら、今、こんな幸せになれてないと思う」
電車が来て、あたし達はそれに乗る。
穂と2人で椅子に座って、目の前に永那が立った。
「きっと千陽のことも…今ほど、心の底から大事にしたいって、思えてなかった」
永那に視線を向けられて、ドキッとする。
“心の底から大事にしたい”って、思ってくれてるんだ。
嬉しさが、胸の内から溢れ出て、止まらない。
「そう、なの?」
穂は、まだ理解できていないみたいな顔をする。
振り回したことの罪悪感のほうが勝ってるのかな。
「あたしだって」
穂があたしを見る。
まだ眉根が垂れていて、笑ってしまう。
「前は、永那しかいなくて…必死に縋りついてた。必死に、永那に好きになってもらおうとしてた。でも…まさか穂があたしを受け止めてくれるなんて思ってもいなくて。…穂が、あたしを受け止めてくれて…やっと、今、永那とまともな関係になれたと思ってる」
永那が頷く。
穂があたしのことをジッと見つめるから、笑みが溢れる。
「言ったでしょ?普通じゃない穂が好きって」
彼女の顔が赤くなって、伏し目がちになる。
「穂がいなきゃ、優里ともこんなに仲良くなれてなかったと思うし、桜となんて話しもしなかった」
「だなー」
永那が両手でつり革を持って、ゆらゆら揺れる。
「そうなの?優里ちゃんとは、ずっと仲良かったんじゃないの?」
「仲は、良かったよ…他の人よりね。でも…なんていうか…自分のこととか、深い話をするような関係じゃなかった。穂がいたから、そういう話もできたんだよ」
あたしが笑うと、穂は目を潤ませる。
「穂は、そのままでいいんだよ」
永那が流し目で言う。
穂の瞳からポタポタと涙が落ちて、永那もあたしも笑った。
…穂って意外と泣き虫なんだな。
あたしも…人のこと言えないけど。
永那が穂の頭を撫でるから、あたしは彼女の涙を拭いた。
電車を降りて、あたし達は3人で手を繋ぐ。
今度は、穂を真ん中にして。
永那は道路側を歩く。
さり気なくて、穂、気づいてないんだろうな。
「で、いつすんの?」
「え?」
穂があたしを見る。
あたしが目を細めて口角を上げると、永那が口を開いた。
「お前、ホントにできんのかよ?…途中で“やっぱ無理”ってなんじゃないの?」
「なんないし」
「そうかな~、怪しいわ」
穂はあたしと永那を交互に見て、何度も瞬きをした。
「穂が妬いちゃうからな~、どうすっかな」
永那が言うと、穂は耳まで真っ赤にさせて俯いた。
「ふ、2人とも…なに言ってるの…!」
「3人でするって話でしょ」
永那は声を小さくしながらも、あたし達2人に聞こえるように言う。
穂が眉をひそめて、瞳を揺らす。
「わ、私…まだ…心の準備が…!」
「穂が言い始めたのに」
「あたし達はもう、準備出来てるし」
「私、言ってないもん…!永那ちゃんが言い始めたんだよ!」
穂が永那をポカポカ叩くから、永那が楽しそうに笑って走って逃げた。
それを穂が追いかけるから、あたしも走る。
…なんで走るの。
なんて思いながら、あたしも笑う。
スーパーに寄る。
「あたし、ちょっとお菓子買ってくる」
そう言って、2人から離れた。
お菓子をいくつか買って、レジ袋を貰う。
スーパーのなかにあるケーキ屋さんで、ケーキを買って、さっき貰ったレジ袋の底に隠した。
合流して、カードを出す。
「千陽が買ってくれるなら、先にお菓子買ってこなくても良かったんじゃない?」
穂が言うけど、あたしは無視した。
家について、あたし達はソファに座る。
ケーキは穂が手を洗いに行ってる間に冷蔵庫の奥に入れた。
ローテーブルにお菓子を並べて、適当につまむ。
「穂、勉強しなくていいの?」
あたしが聞くと、穂は唇を尖らせる。
「今日は、久しぶりに千陽と一緒にいられるんだし、しないよ」
「ふーん」
あたしは3週間あったことを穂に話す。
穂は相槌を打ちながら、たまに笑いながら、聞いてくれた。
永那は穂に膝枕をしてもらいながら、目を閉じていた。
たまに笑うから、起きて聞いてくれていることはわかった。
「穂、好き」
「私も、千陽好きだよ」
久しぶりの“好き”が、体に染み渡っていく。
「千陽、私はー?」
永那が片目を開ける。
「まあまあ好きだよ」
フッと笑って、永那が起き上がる。
ソファの背もたれに手をついて、彼女の胸が穂の頭に押し付けられる。
あたしの後頭部に手が伸びて、彼女の顔がグッと近くなった。
そっと唇が重なって、苦しいくらいに心臓が動く。
離れて、ニヤリと彼女が笑った。
「“まあまあ”なの?」
目をそらす。
「おい」
顎を掴まれる。
「ちゃんと言えよ」
「…好きだよ」
「ふーん」
永那は満足げに笑ってから、穂に口付けする。
穂は前髪を指で梳いた。
「穂、妬いた?」
「…ちょっと、だけ…ね?」
その返事にも永那は満足げだった。
永那が、本当に楽しそうに笑う。
穂が顔を上げて、眉をハの字にさせながら永那を見た。
「恋愛してるって感じがするし。…そう思えるのも、今が幸せだからかもしんないけど。でも、穂がいつもまっすぐなのはわかるから。穂が振り回してくれなかったら、今、こんな幸せになれてないと思う」
電車が来て、あたし達はそれに乗る。
穂と2人で椅子に座って、目の前に永那が立った。
「きっと千陽のことも…今ほど、心の底から大事にしたいって、思えてなかった」
永那に視線を向けられて、ドキッとする。
“心の底から大事にしたい”って、思ってくれてるんだ。
嬉しさが、胸の内から溢れ出て、止まらない。
「そう、なの?」
穂は、まだ理解できていないみたいな顔をする。
振り回したことの罪悪感のほうが勝ってるのかな。
「あたしだって」
穂があたしを見る。
まだ眉根が垂れていて、笑ってしまう。
「前は、永那しかいなくて…必死に縋りついてた。必死に、永那に好きになってもらおうとしてた。でも…まさか穂があたしを受け止めてくれるなんて思ってもいなくて。…穂が、あたしを受け止めてくれて…やっと、今、永那とまともな関係になれたと思ってる」
永那が頷く。
穂があたしのことをジッと見つめるから、笑みが溢れる。
「言ったでしょ?普通じゃない穂が好きって」
彼女の顔が赤くなって、伏し目がちになる。
「穂がいなきゃ、優里ともこんなに仲良くなれてなかったと思うし、桜となんて話しもしなかった」
「だなー」
永那が両手でつり革を持って、ゆらゆら揺れる。
「そうなの?優里ちゃんとは、ずっと仲良かったんじゃないの?」
「仲は、良かったよ…他の人よりね。でも…なんていうか…自分のこととか、深い話をするような関係じゃなかった。穂がいたから、そういう話もできたんだよ」
あたしが笑うと、穂は目を潤ませる。
「穂は、そのままでいいんだよ」
永那が流し目で言う。
穂の瞳からポタポタと涙が落ちて、永那もあたしも笑った。
…穂って意外と泣き虫なんだな。
あたしも…人のこと言えないけど。
永那が穂の頭を撫でるから、あたしは彼女の涙を拭いた。
電車を降りて、あたし達は3人で手を繋ぐ。
今度は、穂を真ん中にして。
永那は道路側を歩く。
さり気なくて、穂、気づいてないんだろうな。
「で、いつすんの?」
「え?」
穂があたしを見る。
あたしが目を細めて口角を上げると、永那が口を開いた。
「お前、ホントにできんのかよ?…途中で“やっぱ無理”ってなんじゃないの?」
「なんないし」
「そうかな~、怪しいわ」
穂はあたしと永那を交互に見て、何度も瞬きをした。
「穂が妬いちゃうからな~、どうすっかな」
永那が言うと、穂は耳まで真っ赤にさせて俯いた。
「ふ、2人とも…なに言ってるの…!」
「3人でするって話でしょ」
永那は声を小さくしながらも、あたし達2人に聞こえるように言う。
穂が眉をひそめて、瞳を揺らす。
「わ、私…まだ…心の準備が…!」
「穂が言い始めたのに」
「あたし達はもう、準備出来てるし」
「私、言ってないもん…!永那ちゃんが言い始めたんだよ!」
穂が永那をポカポカ叩くから、永那が楽しそうに笑って走って逃げた。
それを穂が追いかけるから、あたしも走る。
…なんで走るの。
なんて思いながら、あたしも笑う。
スーパーに寄る。
「あたし、ちょっとお菓子買ってくる」
そう言って、2人から離れた。
お菓子をいくつか買って、レジ袋を貰う。
スーパーのなかにあるケーキ屋さんで、ケーキを買って、さっき貰ったレジ袋の底に隠した。
合流して、カードを出す。
「千陽が買ってくれるなら、先にお菓子買ってこなくても良かったんじゃない?」
穂が言うけど、あたしは無視した。
家について、あたし達はソファに座る。
ケーキは穂が手を洗いに行ってる間に冷蔵庫の奥に入れた。
ローテーブルにお菓子を並べて、適当につまむ。
「穂、勉強しなくていいの?」
あたしが聞くと、穂は唇を尖らせる。
「今日は、久しぶりに千陽と一緒にいられるんだし、しないよ」
「ふーん」
あたしは3週間あったことを穂に話す。
穂は相槌を打ちながら、たまに笑いながら、聞いてくれた。
永那は穂に膝枕をしてもらいながら、目を閉じていた。
たまに笑うから、起きて聞いてくれていることはわかった。
「穂、好き」
「私も、千陽好きだよ」
久しぶりの“好き”が、体に染み渡っていく。
「千陽、私はー?」
永那が片目を開ける。
「まあまあ好きだよ」
フッと笑って、永那が起き上がる。
ソファの背もたれに手をついて、彼女の胸が穂の頭に押し付けられる。
あたしの後頭部に手が伸びて、彼女の顔がグッと近くなった。
そっと唇が重なって、苦しいくらいに心臓が動く。
離れて、ニヤリと彼女が笑った。
「“まあまあ”なの?」
目をそらす。
「おい」
顎を掴まれる。
「ちゃんと言えよ」
「…好きだよ」
「ふーん」
永那は満足げに笑ってから、穂に口付けする。
穂は前髪を指で梳いた。
「穂、妬いた?」
「…ちょっと、だけ…ね?」
その返事にも永那は満足げだった。
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