いたずらはため息と共に

常森 楽

文字の大きさ
309 / 595
5.時間

308.酸いも甘いも

しおりを挟む
「もうすぐで穂の誕生日だ。17歳だね」
永那が呟く。
「うん」
「一緒にいられて、幸せ」
「私も、永那ちゃんの17歳、一緒にいたかった」
「私は4月生まれだからねー」
「来年は、絶対一緒にいようね?」
「うん」
「千陽は、1月だよね」
穂に聞かれて、あたしは頷く。
「一緒に過ごそうね」
もう一度、頷く。

お風呂から上がって、服を着る。
「うおー!やわらかい、なんだこれ」
永那が自分の服を撫でていた。
永那を想像して、永那のために買った服。
見られる日が来るなんて、思いもしなかった。
…似合ってる。かっこいい。
穂は、前に泊まったときのネグリジェを。
やっぱり、可愛い。
「1回、リビング、戻ってもいい?」
あたしが聞くと、2人が頷く。

ソファに座って待ってもらう。
時計を確認すると、0時1分前だった。
「穂、めっちゃ可愛い~」
永那が穂に擦り寄っていた。
不思議と妬かなくて、自分の胸に触れた。
ギュッと目を閉じてから、ケーキのロウソクに火をつける。
電気を消すと、2人が驚いてあたしを見る。
「うわ!待って待って!」
永那が慌ててスマホを出す。
永那と2人でハッピーバースデーを歌う。

穂がまた泣いていた。
「こ、こんなの初めて…」
「ほら、早く火消してよ」
あたしが言うと、指で涙を拭いながら息を吹きかけた。
電気をつけて、スマホを持った永那が「穂、感想!」とカメラを穂に向けた。
「え~…う、嬉しい…」
ハハハッと永那が笑う。
空井そらいさん、嬉しすぎて泣いています」
そう言って、永那が動画を撮ったまま穂にキスした。
あたしは永那のスマホを奪って、2人を撮した。
永那が穂を押し倒すように、優しくキスの雨を降らせた。
胸が、痛くない。
苦しくない。
むしろ、ポカポカあたたまるようで。
幸せな気持ちになる。

「ほら、もう終わり!」
あたしは笑って、動画を止める。
ソファに飛び乗って、無理やり穂を起こす。
「食べよ?」
あたしが言うと、永那も穂も頷いた。
穂が切ってくれる。
「いつの間に買ったの?」
「お菓子買ったとき」
目も口も弧を描いていて、彼女の横顔をジッと見つめた。
「ありがとう」
あたしのことを見るから、彼女の唇に唇を重ねた。
「ち、千陽…」
「おいー、もう私の前で普通にするじゃん」
「いいでしょ。永那はさっきしたんだし」
穂が前髪を指で梳いて、永那は笑う。
永那…よく笑うようになった。
あたしも、かな。

「穂、私の苺あげる」
「え?いいの?」
穂が永那を見ると、永那は頷いて、唇に苺を挟んだ。
穂の耳が赤くなって、あたしをチラチラ見た。
見つつも、永那の苺を受け取る。
2人の舌が絡み合う。
赤い苺が、2人の唇の間で崩れていく。
赤が、混じっていく。
あたしはそれを見ながら、ケーキを口に運ぶ。
夜中にこんなの食べたら太るから、今までのあたしなら絶対しなかったけど、穂の特別な日だから、目一杯楽しむ。

永那が生クリームを指で掬う。
「永那ちゃん、行儀悪い」
「んー?」
その指を穂の唇につけて、舐めた。
…エロ。
「穂の甘いのも、舐めたいな」
「な、なに言ってるの…!?」
穂が永那に押し倒されて、あたしの膝に穂の頭が乗る。
「ち、千陽…助けて…」
あたしは微笑んでみせて、ケーキを口に運ぶ。
「千陽…」
彼女のネグリジェが捲られていく。
ショーツが見えて、穂が足をバタバタさせる。
「だめ…!」
永那は穂の足を押さえて、彼女の恥部に顔をうずめた。
「んぁっ…千、陽…」
「なに?」
彼女の瞳が潤む。
「あたし、見たいな」
パチパチと瞬きをして、穂があたしを見つめる。
「2人のエッチ、見たい」
穂の顔が真っ赤に染まって、熱いのが伝わってくる。

永那が膝立ちになって、穂の胸を揉む。
その手つきで、永那にさわられた記憶が蘇る。
「穂が、絶対シたくないなら…やめる。17歳の初めての記憶が嫌なものになってほしくないし」
永那が言う。
「穂…シたくない?やめてほしい?」
永那が優しく、ゆっくりした動きで彼女の胸を揉みながら、彼女を見下ろした。
穂は眉間にシワを寄せて、永那をジッと見る。
あたしに視線を移動させて、またジッと見た。
彼女はギュッと目を閉じて、ゴクリと唾を飲んだ。
「やめ…なくて、いい…」
永那がニヤリと笑う。
穂はまたあたしを見た。
…ホント、穂も永那もあたしに甘いんだから。
“大事にする”って言ったからって…あたしが“見たい”って言ったからって、従う必要なんかないのに。

「穂、腰上げて」
そう言われて、穂が少し腰を浮かす。
永那がネグリジェを鎖骨の辺りまで捲り上げた。
穂は、隠すように腕で顔を覆った。
…顔も見たかったな。
あたしはソファの背もたれに寄りかかって、穂の髪を撫でた。
永那が彼女の肌にキスをしていく。
こうやって彼女の体がキスマークだらけになったんだ。
たまに永那が視線をあたしに遣った。
目が合うたびにニヤリと笑って、彼女の肌に吸いついた。
その仕草があまりにエロくて、子宮が締まった。
しおりを挟む
感想 56

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合短編集

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...