いたずらはため息と共に

常森 楽

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5.時間

313.酸いも甘いも

「ぁっ…」
彼女の鼻が蕾に当たる。
指とは全然違う弾力とヌルヌルした感覚で、足が小刻みに震えだす。
「あぁ…ッ」
蕾をチュッと吸われて、一瞬力が抜けるような感覚になる。
「気持ちいい?」
「…気持ちいい、よ。穂、ベッド、座ってもいい?」
「うん」
ベッドに軽く腰かけると、穂の顔がよく見えた。
…やばい。めっちゃ恥ずかしい。
彼女が耳に髪をかける仕草が綺麗で、子宮が疼いた。
“下手っぴ”って言うから、どんなものかと思っていたけど、めっちゃ気持ちいい。
ピチャ、ピチャとたまに聞こえてきて、恥ずかしすぎて、耳を覆いたくなる。
でもあたしは両手をベッドについて、彼女からの愛撫をただ受け入れる。

「ハァッ…穂、好き」
彼女がフフッと笑うから、息がかかってくすぐったい。
さっき永那に指を挿れられた感覚がまだ残ってる。
穂に舐められて、永那に指を挿れられる…最高じゃない?
そんな妄想をした瞬間、全身に力が入って、抜けた。
「ハァ、ハァ」と酸素を肺に供給する。
へへへと穂が笑う。
「千陽、イッた?」
あたしが頷くと彼女が満面の笑みを浮かべた。
「嬉しい。私、永那ちゃんのことイかせてあげられたことないから…」
「へえ。あたしが、初めてなんだ」
穂が頷く。
「もう一回、するね」
そう言って、彼女が舌を出す。

バンッとドアが開いた。
「もう、無理」
永那が部屋に入ってくる。
穂が舌を引っ込めてしまう。
「たーっ…な、なんだそれ…」
部屋に入ってきて早々に永那は崩れ落ちた。
それでも、上目遣いに、あたし達を見ることは止めない。
「エロ…マジで…」
「勝手に入ってこないでよ」
あたしは膝を閉じる。
「いや…けっこう我慢したと思うよ?…だって千陽、イけたんでしょ?」
永那がニヤける。
「聞いてたの?うざ…」
顔が熱くなる。
「お前はすぐ“うざい”って言うな?“恥ずかしい”と“うざい”を間違えて覚えてるんじゃない?」
「うざいからうざいって言ってんの」
「ふーん」

永那が芋虫みたいに床を這って移動する。
「穂~、めっちゃ似合ってるね。可愛いね、エロいね、素敵だね」
穂はジトーッと永那を見て、後ずさる。
「なんで逃げるんだ!」
永那は四つん這いになって、穂に襲いかかる。
「え、永那ちゃん…!もう…!」
永那が穂の胸に顔をうずめた。
「ああ、最高…」
…あたしが穂にプレゼントしたのに。
永那が顔を上げて、彼女の体をじっくり見た。
「ハァ…マジで最高」
あたしは下唇を噛んで、俯く。
ベッドに置かれた穂とお揃いのショーツを見て、手に取る。
モヤモヤする…。
また嫉妬…嫌な感情。
こんな感情、抱きたくない。

「千陽」
視界がボヤけかけていたところに、永那の声。
「お前もすごい似合ってるな」
ドキドキ…ドキドキ、する。
「ねえ、2人並んでよ」
無邪気に笑うから、ずるい。
永那が穂を立ち上がらせた。
穂は少し考えてから、あたしの隣に座る。
…あたし、まだショーツ穿いてないんだけど。
永那の瞳が、あたしと穂の交互を見るように、左右に動く。
永那は目を細めて、左の口角だけ上げる。
「エロ…。2人とも私のかー…いいね」
指で顎を撫でる。
なぜか、あたしの下腹部がキュンとする。
「ハーレム最高だな」

「そんなこと言って…無尽蔵に他の女も加えないでよ?」
あたしが睨むと、永那が両眉を上げる。
「優里とか?」
「永那ちゃん」
穂の本気モードのスイッチを入れてしまった…。
圧が…すごい…。
「冗談だって!…そもそも私は、穂だけでも満足だったんだから」
永那が両手を上げる。
「穂が、千陽を引き込んだんでしょ?」
永那は穂を見下ろす。
穂の圧がスッと消えて、彼女は目をそらした。
「そもそも穂が千陽のキスを拒んでれば…ハーレムにはならなかったんだよ?私は、浮気なんてする気、さらさらなかったからね」
永那が穂に顔を近づける。
穂は永那の圧に負けて、ベッドに倒れた。

ベッドに倒れた穂の胸に永那が飛びつく。
「穂、愛してるよ。…穂のためだったら、私は浮気だってできるよ?」
浮気相手の前で言うこと?
…この場合、あたしは2人の浮気相手になるから、意味わかんないんだけど。
穂は腕で顔を隠す。
「穂、後悔してる?」
あたしは俯いて、小さく聞く。
「してないよ」
即答で、ドキッとする。
穂はため息をついて「永那ちゃん」と腕を額まで上げた。
「ん?」
「私、まだ千陽にシてあげてる途中だから…部屋にいるなら、大人しくしてて?」
永那が顔をしかめて、ジッと穂を見た。

「胸とキスだけのはずなのになあ」
「永那ちゃんだって千陽のさわったでしょ?…私に内緒で」
「内緒にしようとしたのは…そりゃ、悪かったけどさ…2人は私のでしょ?私の…言う通りにするのが、筋じゃないの?」
穂が唇を尖らせる。
「言う通り?…永那ちゃんは、私達に言う通りに動いてほしいの?」
永那の顔が引きつる。
「…違う、けど」
「“けど”なに?」
「私の妬く気持ちはどこにぶつければいいの?」
「…私に」
「へえ?…お仕置きしていいの?」
「…いくらでも」
やばい会話…。
あたしは2人から目をそらす。
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