文字の大きさ
大
中
小
322 / 595
5.時間
321.考える
「パパがね、よくパーティー開くんだけど」
「お?おう…」
「立派な大人がさ?あたしのこと、ジロジロ見てくるの。胸とか、胸とか、胸とか…たまに顔。キモくない?…女の人からも見られはするけど、それは純粋に“可愛い”って思ってくれてるのがわかる。20以上年上の男から下心丸出しの目で見られる気持ち悪さ…わかる?」
「わかるわけないよね?」
その素直さが、穂っぽくもあり、永那っぽくもある。
「20も年上の女の人から、下心丸出しの目で見られてるって想像してみてよ」
「んー…んー?…わ、わかんねえ…」
「先生とかからさ、ずっとエロい目で見られてるって考えて。20離れてるってことは、あたし達が生まれたとき、その人が20歳ってことだからね?20歳の人が生まれたばかりの赤ん坊をエロい目で見てるの…」
「…キモい!」
「…まあ、少し大げさだけど。あたし、まだ一応未成年だし…未成年に対してそういう目で見てるってのが、大人としてどうなの?って思うわけ」
「だな」
…なんであたし、こんな話してるんだろう。
「だから…まあ…何が言いたいのかなんて、自分でもわかんないけど」
「わかんないのかよ」
「ただ…ただ、さ…あたしは、永那が女で良かったなって、思うんだよ」
…さっきのわけわかんないアドバイスだって、女子に囲まれて生きてきたから得られたものなんじゃないかって思う。
「おー…そっか…」
「誉は、穂の恋人、本当は男が良かった?…そしたら結婚して、お義兄さんができたわけでしょ?」
「え?んー?…難しいことは、よくわかんないけど…俺は、べつに、男でも女でも、どうでもいい」
「そうなの?お兄ちゃんができたみたいで、嬉しかったんじゃないの?」
「それは、そうだけど。だからって、男が良かったってわけじゃないよ。永那で良かったって思ってるだけ。永那は、可愛いって感じじゃないでしょ?頭のネジどっかいっちゃってんじゃないの?ってくらい、俺に変なこと言ってくるし。だから、ただ“兄ちゃんみたい”って言っただけ。他に言葉が思い浮かばなかったんだよ」
「ふーん」
「なんだよ」
「べつに」
あたしは何度目かのあくびをした。
眠いから…眠いから、こんな変なこと考えるんだ。
「おやすみ」
あたしが言うと、「お、おやすみ」と返ってくる。
すぐに意識がなくなって、目が覚めたら、あたしは誉を抱きしめていた。
起き上がると、誉があたしを見る。
「起きてたの?」
「ね、眠れないだろ!」
「へえ…」
「“へえ”って…!俺、初めて夜寝られなかったよ…」
「おめでとう」
「おめでとう!?おめでとうなのか!?」
「朝からうるさい…」
「ご、ごめん。…って…俺のせい?」
「うん」
あたしは伸びをして、立ち上がる。
部屋を出ると、まだ誰も起きていなかった。
一応穂の部屋をノックして、ドアを開ける。
2人で仲良く寝ていた。
もう9時なのに、穂が起きてないなんて、本当、変な感じ。
あたしは誉を呼んで、コーヒーのある場所を教えてもらった。
「俺…寝てくるね…」
あたしは頷いて、彼の背中を見送る。
コーヒーを淹れる。
ダイニングテーブルの椅子に座って、窓を眺めた。
「チョコミントのチョコはミントのためにあるの!」
起きてるんじゃないかと思うけど、優里の寝言だ。
桜…よく寝ていられるな。
コーヒーをチビチビ飲みながら、部屋を見回した。
1時間後、穂と永那と桜が起きて、そのまた1時間後に優里が起きた。
みんなでお昼を食べて、穂と永那が海に行くと言うから、そこで解散となった。
桜は用事があるとかで、あたしはひとりで家に帰る。
まだママもパパも帰ってこない家に。
ひとりだと虚しい、無機質な家に。
あたしは、穂と永那と3人で楽しく過ごしたリビングを通り過ぎて、重たい足を引きずるように2階に上がる。
自分の部屋…昨日まで、楽しかった部屋。
今は、ひとり。
玩具を出して、昨日のことを思い出しながら、自慰に耽る。
この前は幸せに感じられたのに、今はただ、虚しい。
寂しい…。
ベッドに倒れ込むと、涙が流れ落ちた。
何度も、何度も、瞬きするたびに涙が零れ落ちる。
あたしはスマホを出して、メッセージ画面を開く。
穂に送った“好き”、穂から送られてきた“好き”は、1週間前が最後だった。
“好き”と入力して、消す。
「ハァ」とため息だけが部屋に響く。
『今度、会いませんか?』
レズビアンのオフ会で出会った人に送った。
永那への気持ちを消したくて、前にも何人かと会ったけど、そのたびに永那への好きが増した。
でも、あのときとは違う。
違うと、思いたい。
あたしも、あたしだけを見てくれる人…特別な人に出会いたい。
2人みたいな関係を築ける相手を…見つけたい。
『いいですね。いつにしますか?』
返事を見て、あたしは目を閉じた。
「お?おう…」
「立派な大人がさ?あたしのこと、ジロジロ見てくるの。胸とか、胸とか、胸とか…たまに顔。キモくない?…女の人からも見られはするけど、それは純粋に“可愛い”って思ってくれてるのがわかる。20以上年上の男から下心丸出しの目で見られる気持ち悪さ…わかる?」
「わかるわけないよね?」
その素直さが、穂っぽくもあり、永那っぽくもある。
「20も年上の女の人から、下心丸出しの目で見られてるって想像してみてよ」
「んー…んー?…わ、わかんねえ…」
「先生とかからさ、ずっとエロい目で見られてるって考えて。20離れてるってことは、あたし達が生まれたとき、その人が20歳ってことだからね?20歳の人が生まれたばかりの赤ん坊をエロい目で見てるの…」
「…キモい!」
「…まあ、少し大げさだけど。あたし、まだ一応未成年だし…未成年に対してそういう目で見てるってのが、大人としてどうなの?って思うわけ」
「だな」
…なんであたし、こんな話してるんだろう。
「だから…まあ…何が言いたいのかなんて、自分でもわかんないけど」
「わかんないのかよ」
「ただ…ただ、さ…あたしは、永那が女で良かったなって、思うんだよ」
…さっきのわけわかんないアドバイスだって、女子に囲まれて生きてきたから得られたものなんじゃないかって思う。
「おー…そっか…」
「誉は、穂の恋人、本当は男が良かった?…そしたら結婚して、お義兄さんができたわけでしょ?」
「え?んー?…難しいことは、よくわかんないけど…俺は、べつに、男でも女でも、どうでもいい」
「そうなの?お兄ちゃんができたみたいで、嬉しかったんじゃないの?」
「それは、そうだけど。だからって、男が良かったってわけじゃないよ。永那で良かったって思ってるだけ。永那は、可愛いって感じじゃないでしょ?頭のネジどっかいっちゃってんじゃないの?ってくらい、俺に変なこと言ってくるし。だから、ただ“兄ちゃんみたい”って言っただけ。他に言葉が思い浮かばなかったんだよ」
「ふーん」
「なんだよ」
「べつに」
あたしは何度目かのあくびをした。
眠いから…眠いから、こんな変なこと考えるんだ。
「おやすみ」
あたしが言うと、「お、おやすみ」と返ってくる。
すぐに意識がなくなって、目が覚めたら、あたしは誉を抱きしめていた。
起き上がると、誉があたしを見る。
「起きてたの?」
「ね、眠れないだろ!」
「へえ…」
「“へえ”って…!俺、初めて夜寝られなかったよ…」
「おめでとう」
「おめでとう!?おめでとうなのか!?」
「朝からうるさい…」
「ご、ごめん。…って…俺のせい?」
「うん」
あたしは伸びをして、立ち上がる。
部屋を出ると、まだ誰も起きていなかった。
一応穂の部屋をノックして、ドアを開ける。
2人で仲良く寝ていた。
もう9時なのに、穂が起きてないなんて、本当、変な感じ。
あたしは誉を呼んで、コーヒーのある場所を教えてもらった。
「俺…寝てくるね…」
あたしは頷いて、彼の背中を見送る。
コーヒーを淹れる。
ダイニングテーブルの椅子に座って、窓を眺めた。
「チョコミントのチョコはミントのためにあるの!」
起きてるんじゃないかと思うけど、優里の寝言だ。
桜…よく寝ていられるな。
コーヒーをチビチビ飲みながら、部屋を見回した。
1時間後、穂と永那と桜が起きて、そのまた1時間後に優里が起きた。
みんなでお昼を食べて、穂と永那が海に行くと言うから、そこで解散となった。
桜は用事があるとかで、あたしはひとりで家に帰る。
まだママもパパも帰ってこない家に。
ひとりだと虚しい、無機質な家に。
あたしは、穂と永那と3人で楽しく過ごしたリビングを通り過ぎて、重たい足を引きずるように2階に上がる。
自分の部屋…昨日まで、楽しかった部屋。
今は、ひとり。
玩具を出して、昨日のことを思い出しながら、自慰に耽る。
この前は幸せに感じられたのに、今はただ、虚しい。
寂しい…。
ベッドに倒れ込むと、涙が流れ落ちた。
何度も、何度も、瞬きするたびに涙が零れ落ちる。
あたしはスマホを出して、メッセージ画面を開く。
穂に送った“好き”、穂から送られてきた“好き”は、1週間前が最後だった。
“好き”と入力して、消す。
「ハァ」とため息だけが部屋に響く。
『今度、会いませんか?』
レズビアンのオフ会で出会った人に送った。
永那への気持ちを消したくて、前にも何人かと会ったけど、そのたびに永那への好きが増した。
でも、あのときとは違う。
違うと、思いたい。
あたしも、あたしだけを見てくれる人…特別な人に出会いたい。
2人みたいな関係を築ける相手を…見つけたい。
『いいですね。いつにしますか?』
返事を見て、あたしは目を閉じた。
感想 56
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?