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5.時間
323.考える
「私ね、最近思うんだけど」
永那ちゃんを座らせて、肩から毛布をかけてあげた。
座卓にはお鍋とご飯とおひたしが並んでいる。
永那ちゃんはそれをつまみながら、口を開く。
「千陽が穂に最初にキスしたとき…あいつ、私に嫌われようとしたのかなって」
「え?そうなの?」
「私から…離れようとしたのかなって、ちょっと思うんだよ」
「どうして?」
「だって…普通、恋人が突然他人にキスされたら、嫌でしょ?」
たしかに。
「結局私は千陽を嫌いにならなかったし、穂も千陽のこと受け入れて…千陽からしたら、相当誤算だったんじゃない?」
“普通じゃない穂が、好き”
そうだよね。
普通、受け入れないよね。
永那ちゃんが許してくれて…だからって、受け入れないよね。
なんで私、千陽を受け入れたんだろう?
永那ちゃんが大事にしてる人で、私も大事にしたいって思って、千陽の寂しさを…どうにかしてあげたいって思ったんだ。
いつの間にか、千陽がいてくれて良かったって思ってる。
千陽がいてくれなければ、私と永那ちゃんは上手くいっていなかったとすら思う。
だから、離れたくないと強く思った。
「あいつがさ…そうやって、冷静に?身を引こうとしてくれるような人間だから、私、嫌いにならないのかなって思うよ。嫌いになれないっていうのが、正しいのかな」
“いつまでもこんな関係は、永那が傷つく”
千陽の優しさは、いつも私達のことを本当に想ってくれているのが感じられる。
「でもさ、なんで、千陽は…永那ちゃんにキスしなかったんだろう?なんで、私だったんだろう?」
「そりゃあ…私には、できないでしょ」
「なんで?」
「んー…私が、千陽の初恋の相手だから?あいつは…けっこう初だしね。自分から、初恋の相手にキスするとか、無理なんじゃない?」
「ほっぺにはしてたよね?」
「ほっぺが限界なんでしょ」
「…そ、そっか」
今となっては、千陽…可愛い…。
「私、千陽がひとりぼっちになるのが嫌で。なんでか、わかんないけど」
永那ちゃんは小皿によそった鍋の具を、箸で突く。
「絶対、ひとりぼっちにさせたくなくて」
下唇を噛んで、私を見ない。
「でも、私は…千陽のこと、恋愛的に好きにはなれなくて」
彼女が、箸を置いて、項垂れる。
「前は、ちょっと鬱陶しいし面倒くさいなって思ったりもして…。気持ちが、ぐちゃぐちゃだったんだ」
フゥッと息を吐く。
「だから…穂があいつを受け入れてくれて、ホッとした。同時に嫉妬もして、もっとわけわかんなくなった」
私は、彼女の膝に手を置く。
「夏、みんなで海に行く前さ、誉が千陽に気があるなら…って、あわよくばって、思ったんだ」
…やっぱり、そうだったんだ。
「でもあいつが男嫌いなのはわかってたし、無理かなあ?とも思ってた」
「そうなんだ」
「でも意外と、誉に対しては、嫌悪感みたいなの抱いてなかったっぽくて。最近はさ、すっげー仲良いのな?」
「なんか、いつも2人でオンラインゲームしてるよね」
「うん。誉から話聞くとさ、けっこうな頻度で遊んでるんだよね」
「そうみたいだね」
「じゃあ…やっぱり…って、私、ちょっと思ってるんだよ。だからまた、いろいろ仕込み始めてるんだ」
ようやく永那ちゃんは視線を私に向けて、楽しそうにニヤリと笑う。
…仕込みってなに。
「まだ、誉小学生だよ?」
「でも5歳差でしょ?今の私達はまだ学生だし、すごく、差があるように感じるけど…大人になったらさ、平気で20も30も離れてる人と結婚してる人もいるじゃん?そう考えたら、5歳なんて大した差じゃなくない?」
「んー…」
私の弟…だからなあ…。
「しかもさ?もし誉と千陽が結婚したら、千陽…穂の妹になるんだよ?家族になるってことだよ?」
永那ちゃんは心底楽しそうに笑ってるけど、私は…ドキドキした。
千陽が、妹?
…家族かあ。
「私達が大人になる頃には…私と穂も、結婚できてたら、いいよね?」
顔を覗きこまれて、もっと顔が熱くなる。
プ、プロポーズ…みたい…。
「そう、だね…」
鼓動が、速い。
「穂」
「ん?」
「早く食べてエッチしよ」
耳元で言われて、くすぐったい。
「永那ちゃんのバカ!」
永那ちゃんはご飯を食べて、痛み止めの薬を飲んで、すっかり元気になってしまった。
シャワーから出て、貼るカイロを背中に貼って「これで完璧!」と、休んでいて欲しいのに、私に襲いかかる。
私はただそれを受け入れるしかなくて、なすがままになる。
「穂、イきたい?」
私のパートナーは、私がイく寸前で止めるのに本当にご執心のようで、楽しそうに聞く。
「イきたい」
「ちゃんとお願いして?」
「イかせて、ください…」
「もっと」
「永那ちゃん、イかせて…お願い…」
「…いいよ」
「んぁっ…ぁぁッ…あ、ハァッ…あッ」
…そんな、平和な毎日が続く。
ちょっと…ほんのちょっと、大変だけど。
心配事も、まだまだあるけど。
平和で、幸せな、毎日。
永那ちゃんを座らせて、肩から毛布をかけてあげた。
座卓にはお鍋とご飯とおひたしが並んでいる。
永那ちゃんはそれをつまみながら、口を開く。
「千陽が穂に最初にキスしたとき…あいつ、私に嫌われようとしたのかなって」
「え?そうなの?」
「私から…離れようとしたのかなって、ちょっと思うんだよ」
「どうして?」
「だって…普通、恋人が突然他人にキスされたら、嫌でしょ?」
たしかに。
「結局私は千陽を嫌いにならなかったし、穂も千陽のこと受け入れて…千陽からしたら、相当誤算だったんじゃない?」
“普通じゃない穂が、好き”
そうだよね。
普通、受け入れないよね。
永那ちゃんが許してくれて…だからって、受け入れないよね。
なんで私、千陽を受け入れたんだろう?
永那ちゃんが大事にしてる人で、私も大事にしたいって思って、千陽の寂しさを…どうにかしてあげたいって思ったんだ。
いつの間にか、千陽がいてくれて良かったって思ってる。
千陽がいてくれなければ、私と永那ちゃんは上手くいっていなかったとすら思う。
だから、離れたくないと強く思った。
「あいつがさ…そうやって、冷静に?身を引こうとしてくれるような人間だから、私、嫌いにならないのかなって思うよ。嫌いになれないっていうのが、正しいのかな」
“いつまでもこんな関係は、永那が傷つく”
千陽の優しさは、いつも私達のことを本当に想ってくれているのが感じられる。
「でもさ、なんで、千陽は…永那ちゃんにキスしなかったんだろう?なんで、私だったんだろう?」
「そりゃあ…私には、できないでしょ」
「なんで?」
「んー…私が、千陽の初恋の相手だから?あいつは…けっこう初だしね。自分から、初恋の相手にキスするとか、無理なんじゃない?」
「ほっぺにはしてたよね?」
「ほっぺが限界なんでしょ」
「…そ、そっか」
今となっては、千陽…可愛い…。
「私、千陽がひとりぼっちになるのが嫌で。なんでか、わかんないけど」
永那ちゃんは小皿によそった鍋の具を、箸で突く。
「絶対、ひとりぼっちにさせたくなくて」
下唇を噛んで、私を見ない。
「でも、私は…千陽のこと、恋愛的に好きにはなれなくて」
彼女が、箸を置いて、項垂れる。
「前は、ちょっと鬱陶しいし面倒くさいなって思ったりもして…。気持ちが、ぐちゃぐちゃだったんだ」
フゥッと息を吐く。
「だから…穂があいつを受け入れてくれて、ホッとした。同時に嫉妬もして、もっとわけわかんなくなった」
私は、彼女の膝に手を置く。
「夏、みんなで海に行く前さ、誉が千陽に気があるなら…って、あわよくばって、思ったんだ」
…やっぱり、そうだったんだ。
「でもあいつが男嫌いなのはわかってたし、無理かなあ?とも思ってた」
「そうなんだ」
「でも意外と、誉に対しては、嫌悪感みたいなの抱いてなかったっぽくて。最近はさ、すっげー仲良いのな?」
「なんか、いつも2人でオンラインゲームしてるよね」
「うん。誉から話聞くとさ、けっこうな頻度で遊んでるんだよね」
「そうみたいだね」
「じゃあ…やっぱり…って、私、ちょっと思ってるんだよ。だからまた、いろいろ仕込み始めてるんだ」
ようやく永那ちゃんは視線を私に向けて、楽しそうにニヤリと笑う。
…仕込みってなに。
「まだ、誉小学生だよ?」
「でも5歳差でしょ?今の私達はまだ学生だし、すごく、差があるように感じるけど…大人になったらさ、平気で20も30も離れてる人と結婚してる人もいるじゃん?そう考えたら、5歳なんて大した差じゃなくない?」
「んー…」
私の弟…だからなあ…。
「しかもさ?もし誉と千陽が結婚したら、千陽…穂の妹になるんだよ?家族になるってことだよ?」
永那ちゃんは心底楽しそうに笑ってるけど、私は…ドキドキした。
千陽が、妹?
…家族かあ。
「私達が大人になる頃には…私と穂も、結婚できてたら、いいよね?」
顔を覗きこまれて、もっと顔が熱くなる。
プ、プロポーズ…みたい…。
「そう、だね…」
鼓動が、速い。
「穂」
「ん?」
「早く食べてエッチしよ」
耳元で言われて、くすぐったい。
「永那ちゃんのバカ!」
永那ちゃんはご飯を食べて、痛み止めの薬を飲んで、すっかり元気になってしまった。
シャワーから出て、貼るカイロを背中に貼って「これで完璧!」と、休んでいて欲しいのに、私に襲いかかる。
私はただそれを受け入れるしかなくて、なすがままになる。
「穂、イきたい?」
私のパートナーは、私がイく寸前で止めるのに本当にご執心のようで、楽しそうに聞く。
「イきたい」
「ちゃんとお願いして?」
「イかせて、ください…」
「もっと」
「永那ちゃん、イかせて…お願い…」
「…いいよ」
「んぁっ…ぁぁッ…あ、ハァッ…あッ」
…そんな、平和な毎日が続く。
ちょっと…ほんのちょっと、大変だけど。
心配事も、まだまだあるけど。
平和で、幸せな、毎日。
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