515 / 595
8.閑話
30.永那 中2 春《相澤芽衣編》
「でも、楽しいって思うようになったのは、芽衣とするようになってからだよ」
微笑んで、私の髪を撫でる。
「ありがとう、芽衣」
じゃあ、恋人になってよ…。
私達の学年は1つ上がって、永那は中2、私は中3になった。
多目的室でギターを弾いていると、ドアが開く。
パッと顔を上げると、永那の隣に佐藤千陽が立っていた。
気持ちがスーッと引いていく。
「芽衣…先輩。前に話した、千陽」
佐藤千陽はペコリと頭を下げた。
佐藤千陽の手前“先輩”って呼んだのに、話し方がタメ口なのは、永那の詰めの甘いところ。
そういうところが、可愛いんだけど。
「同じクラスになったんだ」
奥歯を強く噛む。
それでも、笑顔を作って「そうなんだ」と必死に言った。
「まだみんなに避けられてるから…連れてきちゃった」
へへへと永那が笑う。
「よろしく。えっと…千陽ちゃんで、いいかな?」
「…はい」
“よろしくお願いします”くらい言えないの?
「芽衣、歌ってよ」
「も~、“永那にだけ”って言ったの、忘れたの?」
唇を少し尖らせて、永那をジッと見る。
「あ、そっか…。ごめん、千陽、ダメだって」
「べつに、いい」
佐藤千陽は部屋の隅に座って、スマホを見始める。
愛想のない子…。
顔が良いだけでモテてきたって感じかな。
私と距離のあるところに座ったから、永那はどっちの近くに座ろうかと悩むようにキョロキョロした。
「永那、おいで」
永那は佐藤千陽を見てから、私のそばに座る。
永那の髪をそっと撫でた。
「芽衣、じゃあさ、なんか弾いてよ」
「永那が歌ってくれるならいいよ?」
「おっけー」
永那に教えた1曲を弾く。
佐藤千陽がスマホからこちらに視線を動かす。
私じゃなく、永那に。
…やっぱりこの子、永那のこと好きだよね。
知ってはいたけど、一応、確認。
弾き終えて、つい、いつもみたいにキスしようとしてしまった。
永那の膝に置いた手を、すぐにどけるのも変かと思って、そのまま彼女の足を擦る。
「これから、千陽ちゃんも毎日来るの?」
「んー…どうかな?千陽がクラスに慣れたら、来ないんじゃない?」
…慣れたら、ね。
佐藤千陽は膝を抱えて、私達の会話に参加してこようとはしない。
こんな調子で、いつ慣れるって言うの?
下手したら、一生クラスに馴染めないんじゃない?
フゥッと息を吐く。
「私…受験勉強で忙しくなると思うし、昼休みも、毎日ここには来られないかも」
「え!?そうなの!?」
「うん」
「まあ…そう、だよね…。受験か…」
私は永那の耳元に口を近づける。
「だから、毎回連れてきてたら、一生エッチできないね?」
永那の顔が真っ赤に染まる。
「じゃ、じゃあ…芽衣が来るとき、メッセージ送ってよ。そのときは、1人で来るからさ」
「わかった」
それから私はしばらく多目的室には行かなかった。
部活の日、私は先輩とバンドを組んでいたから、先輩が卒業しちゃって暇で、1人でギターを弾いていた。
「め、芽衣…」
風美が私のそばに座る。
彼女の胸が肩に押し付けられて、唇が私の耳に近づく。
…佐藤千陽もけっこう胸大きかったなぁ。
「どうしたの?」
「あの、ね…この前、永那とキスしちゃったの…」
「へぇ…付き合ってるの?」
無難な質問ができてるはず。
キスしたのはもちろん知ってるけど、知らないフリ。
「ち、違うの。私、永那のこと好きで…告白して振られたんだけど、“キスしていい?”って聞かれて、それで…」
「振られたのにキスって…」
「そ、そうだよね…わかってるんだけど…。あの、それでね」
話に続きがあるの…?
「き、昨日…胸、さわられて…」
「は!?」
鼓動が一気に速くなる。
「シーッ!」
「あ、ごめん…。え、どういうこと?セックス、したの…?」
「し、してないよ!!…ただ、“さわってみたい”って言われて」
「それで…さわらせたの?」
風美が頷く。
「まあ…ほら、私、こんなだから…友達にもよく“さわらせて”って言われるし…いいかなって…」
“いいかな”って、なに…。
「えっと…それで、風美は何が言いたいの?」
「あ、うん…。振られたのにさ、私…なんか、本当に振られたのかな?って、だんだんわからなくなってきちゃって。…もう一回、告白してもいいのかな?…芽衣、永那とよく話してたじゃん?どう、思う?」
「あー…」
永那は、基本的にバカだからなぁ…。
「どう、だろう?振られたのは、いつなの?」
「春休み前…」
「それで、なんで昨日さわられる事になったわけ?」
「校庭の隅にね、永那が寝転んでて…」
なぜ…。
「私、体育終わりだったから、話しかけたの」
「じゃあ、永那は授業サボってたってこと?」
「みたい」
風美は眉を下げて笑う。
「なんか、永那、すごく…落ち込んでるみたいだった…」
「そう、なの…?」
何も知らない。
佐藤千陽が嫌で、1ヶ月以上避けていたから…。
メッセージがくるわけでもないし、私から送ることもなかった。
「ちょっと、泣いてたのかな…?すごく、辛そうで…“悩みがあるなら、話聞くよ”って言ったら、胸を、さわってみたいって…」
微笑んで、私の髪を撫でる。
「ありがとう、芽衣」
じゃあ、恋人になってよ…。
私達の学年は1つ上がって、永那は中2、私は中3になった。
多目的室でギターを弾いていると、ドアが開く。
パッと顔を上げると、永那の隣に佐藤千陽が立っていた。
気持ちがスーッと引いていく。
「芽衣…先輩。前に話した、千陽」
佐藤千陽はペコリと頭を下げた。
佐藤千陽の手前“先輩”って呼んだのに、話し方がタメ口なのは、永那の詰めの甘いところ。
そういうところが、可愛いんだけど。
「同じクラスになったんだ」
奥歯を強く噛む。
それでも、笑顔を作って「そうなんだ」と必死に言った。
「まだみんなに避けられてるから…連れてきちゃった」
へへへと永那が笑う。
「よろしく。えっと…千陽ちゃんで、いいかな?」
「…はい」
“よろしくお願いします”くらい言えないの?
「芽衣、歌ってよ」
「も~、“永那にだけ”って言ったの、忘れたの?」
唇を少し尖らせて、永那をジッと見る。
「あ、そっか…。ごめん、千陽、ダメだって」
「べつに、いい」
佐藤千陽は部屋の隅に座って、スマホを見始める。
愛想のない子…。
顔が良いだけでモテてきたって感じかな。
私と距離のあるところに座ったから、永那はどっちの近くに座ろうかと悩むようにキョロキョロした。
「永那、おいで」
永那は佐藤千陽を見てから、私のそばに座る。
永那の髪をそっと撫でた。
「芽衣、じゃあさ、なんか弾いてよ」
「永那が歌ってくれるならいいよ?」
「おっけー」
永那に教えた1曲を弾く。
佐藤千陽がスマホからこちらに視線を動かす。
私じゃなく、永那に。
…やっぱりこの子、永那のこと好きだよね。
知ってはいたけど、一応、確認。
弾き終えて、つい、いつもみたいにキスしようとしてしまった。
永那の膝に置いた手を、すぐにどけるのも変かと思って、そのまま彼女の足を擦る。
「これから、千陽ちゃんも毎日来るの?」
「んー…どうかな?千陽がクラスに慣れたら、来ないんじゃない?」
…慣れたら、ね。
佐藤千陽は膝を抱えて、私達の会話に参加してこようとはしない。
こんな調子で、いつ慣れるって言うの?
下手したら、一生クラスに馴染めないんじゃない?
フゥッと息を吐く。
「私…受験勉強で忙しくなると思うし、昼休みも、毎日ここには来られないかも」
「え!?そうなの!?」
「うん」
「まあ…そう、だよね…。受験か…」
私は永那の耳元に口を近づける。
「だから、毎回連れてきてたら、一生エッチできないね?」
永那の顔が真っ赤に染まる。
「じゃ、じゃあ…芽衣が来るとき、メッセージ送ってよ。そのときは、1人で来るからさ」
「わかった」
それから私はしばらく多目的室には行かなかった。
部活の日、私は先輩とバンドを組んでいたから、先輩が卒業しちゃって暇で、1人でギターを弾いていた。
「め、芽衣…」
風美が私のそばに座る。
彼女の胸が肩に押し付けられて、唇が私の耳に近づく。
…佐藤千陽もけっこう胸大きかったなぁ。
「どうしたの?」
「あの、ね…この前、永那とキスしちゃったの…」
「へぇ…付き合ってるの?」
無難な質問ができてるはず。
キスしたのはもちろん知ってるけど、知らないフリ。
「ち、違うの。私、永那のこと好きで…告白して振られたんだけど、“キスしていい?”って聞かれて、それで…」
「振られたのにキスって…」
「そ、そうだよね…わかってるんだけど…。あの、それでね」
話に続きがあるの…?
「き、昨日…胸、さわられて…」
「は!?」
鼓動が一気に速くなる。
「シーッ!」
「あ、ごめん…。え、どういうこと?セックス、したの…?」
「し、してないよ!!…ただ、“さわってみたい”って言われて」
「それで…さわらせたの?」
風美が頷く。
「まあ…ほら、私、こんなだから…友達にもよく“さわらせて”って言われるし…いいかなって…」
“いいかな”って、なに…。
「えっと…それで、風美は何が言いたいの?」
「あ、うん…。振られたのにさ、私…なんか、本当に振られたのかな?って、だんだんわからなくなってきちゃって。…もう一回、告白してもいいのかな?…芽衣、永那とよく話してたじゃん?どう、思う?」
「あー…」
永那は、基本的にバカだからなぁ…。
「どう、だろう?振られたのは、いつなの?」
「春休み前…」
「それで、なんで昨日さわられる事になったわけ?」
「校庭の隅にね、永那が寝転んでて…」
なぜ…。
「私、体育終わりだったから、話しかけたの」
「じゃあ、永那は授業サボってたってこと?」
「みたい」
風美は眉を下げて笑う。
「なんか、永那、すごく…落ち込んでるみたいだった…」
「そう、なの…?」
何も知らない。
佐藤千陽が嫌で、1ヶ月以上避けていたから…。
メッセージがくるわけでもないし、私から送ることもなかった。
「ちょっと、泣いてたのかな…?すごく、辛そうで…“悩みがあるなら、話聞くよ”って言ったら、胸を、さわってみたいって…」
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。