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7.向
413.舞う
元旦から、千陽は一言も“寂しい”なんて言わなかったし、泣かなかった。
あれからまともにキスもしていない。…さっき少ししたけど。
毎日“大好き”のメッセージは来る。
たまに通話もする。
でも、本当に一度も、千陽から“シたい”と言われることはなかった。
それは絶対に永那ちゃんを想ってのことで、“良い子に待ってた”というのは100%事実なんだと思う。
それなら…。
「わかった。私はいいよ」
彼女は安心したように、嬉しそうに、伏し目がちに笑った。
「でも…こんな急に言っても永那、宿泊なんて出来ないかな?」
弧を描いていた口元はすぐにキュッと結ばれる。
「どうだろうね?修学旅行の時は、1泊なら大丈夫だったよね。前に卒業旅行の話した時も、“1泊なら”って言ってたし」
「うん…」
「とりあえず、聞いてみよ?…永那ちゃんのお母さんのことは、また、改めて考えよう」
「うん」
ガタゴトと電車が走る。
私達は手を繋いだまま、外を眺めた。
…永那ちゃん、今頃はまだ寝てるかな?
目的地につくと、大勢の人で賑わっていた。
「今日、イベントか何かあるのかな?」
千陽が、繋ぐ手をギュッと強く握り直す。
「調べてくれば良かった…。こんな人多いなら他の場所が良かったかも」
「そうだね」
私は苦笑しつつも、人混みをかき分けて、ショッピングセンター内に入る。
ショッピングセンターの中は、外ほど混んではいなかった。
「買い物って、何買うの?」
「桜の誕生日プレゼントと、あの日のための服」
千陽がニヤリと笑う。
「あ、あの日…」
「そ。せっかくなら、永那に“可愛い”って言われたいし」
「そ、そうだね…!」
「お揃いコーデにするか、全然違う系統で攻めるかで迷う」
「お揃いにすると、永那ちゃん、不貞腐れちゃわないかな?」
「だよね。永那、心狭いから」
「せ、狭くはないんじゃないかな?」
フンと千陽は顔を背けるけど、しっかり手は繋いだまま。
それが可愛くて、グッと手を引っ張った。
「行こ?」
「うん…」
森山さんの誕生日プレゼント…。
“桜”って名前がついているくらいなんだから、もちろん誕生日は3月。…4月の可能性もあるけど。
驚くことに、千陽、優里ちゃん、森山さん、永那ちゃんと、1~4月まで連続で誕生日が訪れる。
そして、誉も永那ちゃんと同じで4月だ。
12月はクリスマスがあったし、5月を飛ばして、6月は永那ちゃんとお付き合いした1年記念日…!
お年玉もちゃんと貯めてきたから、お金は全く問題ないけど、凄まじい出費に変な汗が出そう。
本当、みんなどうやってやりくりしてるの!?
…ん?そう考えると、私の誕生日は11月で、みんなからすれば…というか、永那ちゃんからすると、5月以外は6月まで毎月何かしらの出費があるということ…!
永那ちゃん、大丈夫かな…?
どうか無理をしないでほしい。
なんなら、誉のプレゼントなんて買わなくても全然構わない。
1年記念のプレゼントも、一緒に過ごしてくれるだけでいい。
でも、永那ちゃんのことだから、買ってくれちゃうんだろうなあ…。
「千陽は、森山さんへの誕生日プレゼント、何か考えてるの?」
「んー…最近メイク教えてあげたから、メイク道具か…。あげても使わないかもだから、適当に文房具か小物か…。まだ悩んでる」
「そっか。…森山さんって、何が好きなんだろう?私、あんまり森山さんと話さないからわからないんだよね」
「桜は漫画ばっかり」
「漫画かあ…。私、読まないからなあ…」
そういえば修学旅行の時、BLの漫画が好きだと言っていたのを思い出す。
「これから受験なんだし、無難に文房具で良いんじゃない?」
「そうかな?」
「良いでしょ」
素直に千陽のアドバイスを聞くことにした。
私達はいくつか服屋を見て回りながら、アクセサリーショップを覗いたり、雑貨屋さんを覗いたりした。
千陽が私の好みを聞きつつ、服を体に当ててくれる。
なんだか、初めて永那ちゃんとデートした日のことを思い出す。
ちょうど、あの日選んでくれた服を着ているし。
11時頃、「混むと嫌だから先にご飯食べよ」と千陽が言った。
フードコートで各々好きな物を買い、席についた。
千陽の判断は大正解で、私達がちょうど食べ始める頃、席はほぼ満席になっていた。
「ピンとくる服、なかったね」
ラーメンを啜りながら、千陽が言う。
意外と千陽はジャンキーな物を好んで食べる。
「そうだね。まだ少ししか見てないから、仕方ないよ」
彼女が頷く。
ご飯を食べ終えると、ショッピングセンターの中も随分人が多くなった。
人混みという程ではないけれど、手を繋いでいないとはぐれてしまいそうではある。
「穂、こっち」
手を引かれて連れて行かれた先は、ゲームセンター(コーナー?)だった。
「プリ、撮ろ?」
「プ、プリ…」
「撮ったことある?」
首を横に振ると、千陽がしたり顔で笑った。
「また永那に勝っちゃった」
また…?勝つ…?
よくわからず首を傾げてる間にも、千陽はどの機種が良いか選び、テンポ良く操作していく。
私は全くついていけないのだけれど、機械が私を待ってくれることはない。
千陽を真似て、ぎこちなくポーズを取った。
あれからまともにキスもしていない。…さっき少ししたけど。
毎日“大好き”のメッセージは来る。
たまに通話もする。
でも、本当に一度も、千陽から“シたい”と言われることはなかった。
それは絶対に永那ちゃんを想ってのことで、“良い子に待ってた”というのは100%事実なんだと思う。
それなら…。
「わかった。私はいいよ」
彼女は安心したように、嬉しそうに、伏し目がちに笑った。
「でも…こんな急に言っても永那、宿泊なんて出来ないかな?」
弧を描いていた口元はすぐにキュッと結ばれる。
「どうだろうね?修学旅行の時は、1泊なら大丈夫だったよね。前に卒業旅行の話した時も、“1泊なら”って言ってたし」
「うん…」
「とりあえず、聞いてみよ?…永那ちゃんのお母さんのことは、また、改めて考えよう」
「うん」
ガタゴトと電車が走る。
私達は手を繋いだまま、外を眺めた。
…永那ちゃん、今頃はまだ寝てるかな?
目的地につくと、大勢の人で賑わっていた。
「今日、イベントか何かあるのかな?」
千陽が、繋ぐ手をギュッと強く握り直す。
「調べてくれば良かった…。こんな人多いなら他の場所が良かったかも」
「そうだね」
私は苦笑しつつも、人混みをかき分けて、ショッピングセンター内に入る。
ショッピングセンターの中は、外ほど混んではいなかった。
「買い物って、何買うの?」
「桜の誕生日プレゼントと、あの日のための服」
千陽がニヤリと笑う。
「あ、あの日…」
「そ。せっかくなら、永那に“可愛い”って言われたいし」
「そ、そうだね…!」
「お揃いコーデにするか、全然違う系統で攻めるかで迷う」
「お揃いにすると、永那ちゃん、不貞腐れちゃわないかな?」
「だよね。永那、心狭いから」
「せ、狭くはないんじゃないかな?」
フンと千陽は顔を背けるけど、しっかり手は繋いだまま。
それが可愛くて、グッと手を引っ張った。
「行こ?」
「うん…」
森山さんの誕生日プレゼント…。
“桜”って名前がついているくらいなんだから、もちろん誕生日は3月。…4月の可能性もあるけど。
驚くことに、千陽、優里ちゃん、森山さん、永那ちゃんと、1~4月まで連続で誕生日が訪れる。
そして、誉も永那ちゃんと同じで4月だ。
12月はクリスマスがあったし、5月を飛ばして、6月は永那ちゃんとお付き合いした1年記念日…!
お年玉もちゃんと貯めてきたから、お金は全く問題ないけど、凄まじい出費に変な汗が出そう。
本当、みんなどうやってやりくりしてるの!?
…ん?そう考えると、私の誕生日は11月で、みんなからすれば…というか、永那ちゃんからすると、5月以外は6月まで毎月何かしらの出費があるということ…!
永那ちゃん、大丈夫かな…?
どうか無理をしないでほしい。
なんなら、誉のプレゼントなんて買わなくても全然構わない。
1年記念のプレゼントも、一緒に過ごしてくれるだけでいい。
でも、永那ちゃんのことだから、買ってくれちゃうんだろうなあ…。
「千陽は、森山さんへの誕生日プレゼント、何か考えてるの?」
「んー…最近メイク教えてあげたから、メイク道具か…。あげても使わないかもだから、適当に文房具か小物か…。まだ悩んでる」
「そっか。…森山さんって、何が好きなんだろう?私、あんまり森山さんと話さないからわからないんだよね」
「桜は漫画ばっかり」
「漫画かあ…。私、読まないからなあ…」
そういえば修学旅行の時、BLの漫画が好きだと言っていたのを思い出す。
「これから受験なんだし、無難に文房具で良いんじゃない?」
「そうかな?」
「良いでしょ」
素直に千陽のアドバイスを聞くことにした。
私達はいくつか服屋を見て回りながら、アクセサリーショップを覗いたり、雑貨屋さんを覗いたりした。
千陽が私の好みを聞きつつ、服を体に当ててくれる。
なんだか、初めて永那ちゃんとデートした日のことを思い出す。
ちょうど、あの日選んでくれた服を着ているし。
11時頃、「混むと嫌だから先にご飯食べよ」と千陽が言った。
フードコートで各々好きな物を買い、席についた。
千陽の判断は大正解で、私達がちょうど食べ始める頃、席はほぼ満席になっていた。
「ピンとくる服、なかったね」
ラーメンを啜りながら、千陽が言う。
意外と千陽はジャンキーな物を好んで食べる。
「そうだね。まだ少ししか見てないから、仕方ないよ」
彼女が頷く。
ご飯を食べ終えると、ショッピングセンターの中も随分人が多くなった。
人混みという程ではないけれど、手を繋いでいないとはぐれてしまいそうではある。
「穂、こっち」
手を引かれて連れて行かれた先は、ゲームセンター(コーナー?)だった。
「プリ、撮ろ?」
「プ、プリ…」
「撮ったことある?」
首を横に振ると、千陽がしたり顔で笑った。
「また永那に勝っちゃった」
また…?勝つ…?
よくわからず首を傾げてる間にも、千陽はどの機種が良いか選び、テンポ良く操作していく。
私は全くついていけないのだけれど、機械が私を待ってくれることはない。
千陽を真似て、ぎこちなくポーズを取った。
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