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7.向
417.舞う
翌日のお散歩は、私の家の周りを歩いた。
もう数え切れないほどに永那ちゃんは私の家に来ているけど、駅から家、あるいは学校から家までの往復しかしていないから、家の周りに何があるのか知りたかったらしい。
住宅街だから、これと言ってめぼしいお店があったりするわけではないのだけれど…永那ちゃんは、古ぼけたコインランドリーが気に入ったみたいだった。
使われているのかどうかもわからない。
しばらく、中にあるベンチに座っていた。
恋人繋ぎをして、ただボーッと座る。
永那ちゃんが眠ってしまいそうだったから、手を引っ張って、また歩いた。
9ヶ月記念日。
生徒会でバーベキューをした公園に向かった。
桜並木を歩く。
「やっぱりまだ咲いてないね」
「咲いている桜を探すのが、今日の目的だよ?」
「そうだったね」
永那ちゃんの耳には黒色のパールのピアス。
お姉さんから貰った物。
…私も、永那ちゃんの誕生日プレゼントにピアスをあげようかな?
でも、前に服も喜んでいたし、服でも良い。
悩ましい。
悩ましいのが、楽しい。
きっと、何をあげても喜んでくれる。
それがわかるから、もっと喜ばせたくなる。
お互いの左手の薬指には、永那ちゃんが半年記念にプレゼントしてくれたお揃いの指輪。
アンクレットも、ネックレスもつけている。
なんだか豪華だ。
学校内では、指輪とネックレスは外していた。
永那ちゃんは朝からつけていたけど…。
久しぶりに彼女の耳でピアスが揺れているのを見て、“やっぱり似合うな”と口元が緩んだ。
これが“キュン”なんだと思う。
「見当たらないねー」
「そうだね」
ひとつひとつの桜の木をじっくり見て回る。
こういうことに真剣に付き合ってくれる永那ちゃんが好き。
「ついでにさ、修了式の日にお花見する場所、目星つけておかない?」
上を向いていた永那ちゃんが視線だけ私に遣る。
彼女のピアスが揺れて、ついジャンプしたくなってしまうほどに心が踊った。
「いいね!みんなも喜びそう!」
「ハハッ」と永那ちゃんが優しい笑みを浮かべる。
「穂、楽しそうだね?」
「え!?…た、楽しいよ?永那ちゃんは、楽しくないの?」
「楽しいよ?」
どちらからともなく、繋いでいた手をギュッと強く握った。
「お散歩、誘ってくれてありがとう」
「ううん。私の方こそ、付き合ってくれてありがとう」
彼女の顔が近づいて、目を閉じた。
唇にぬくもり。
胸が、ドキドキしている。
彼女が離れて、ゆっくり目を開けた。
目が合って、笑い合う。
「幸せ」
その声が、あまりに優しくて、あまりに綺麗で、呼吸するのも忘れそうになる。
彼女が手を離すから、一気に現実に引き戻される。
恥ずかしくなって、前髪を指で梳いた。
永那ちゃんは鞄をガサゴソ漁る。
「はい、穂」
丁寧にリボンがつけられた箱を渡される。
リボンと箱の隙間には、手紙が挟まっていた。
手紙を開く。
『穂へ
いつも一緒にいてくれてありがとう。いつも私のことを1番に考えてくれてありがとう。ずっと、家族であり、親友であり、恋人であり続けたい。ずっと一緒にいたい。大好きだよ。
永那』
家族…。
一昨日話したから、きっとそれで書いてくれたんだ。
家族であり、親友であり、恋人…か。
素敵な考え方。
「ありがとう、永那ちゃん!」
「うん。それも、開けて?」
手紙を鞄にしまって、リボンを解く。
「わぁっ、綺麗…」
宝石みたいに輝く、チョコレートだった。
「ここが引き出しみたいになってて…」
永那ちゃんが手を添えて、説明してくれる。
“引き出し”からもチョコレートが出てきた。
「すごい…」
こんなチョコレート、初めて。
「バレンタインのお返しと、9ヶ月記念のプレゼントを兼ねて」
「…あ!そっか!明日ホワイトデーだね!」
「うん」
嬉しい。
バレンタインというイベント自体、今年初めてやったから、当然ホワイトデーなんて体験したことはない。
“お返し”って、こんなに嬉しいものなんだ…。
「こんなの、食べるのもったいない…」
フフッと彼女が笑う。
「ホントに穂はそう思ってそうだから怖いな」
「え?」
「食べてよ?カビる前に」
“むぅっ”と唇を尖らせると、優しくキスされる。
…かっこいい。
ずるい…!
私も、永那ちゃんをドキッとさせたい。
「私の前でひとつ食べて?」
「えー!絶対?」
「絶対。今食べて?じゃないと穂は永遠に食べなさそうだから」
「どれを食べようか迷うよ…」
「とりあえず、同じ種類のやつがあるから、それから食べたら?」
「そうだね…!」
ひとつ取って、口に入れる。
「ん~!美味しい!」
「よかった」
口の中であっという間に溶けていってしまう。
やっぱり、食べるのがもったいない…!
複数個ある、同じ種類のチョコレートは、シンプルな四角いチョコレートだった。
私が食べたのはミルクチョコレートで、このシンプルなチョコレートですら美味しいのに、宝石のようなチョコレートがどれだけ美味しいのか、計り知れない。
「よし!じゃあ、桜探し、続けよっか」
私は頷いて、チョコレートの箱を鞄にしまった。
もう数え切れないほどに永那ちゃんは私の家に来ているけど、駅から家、あるいは学校から家までの往復しかしていないから、家の周りに何があるのか知りたかったらしい。
住宅街だから、これと言ってめぼしいお店があったりするわけではないのだけれど…永那ちゃんは、古ぼけたコインランドリーが気に入ったみたいだった。
使われているのかどうかもわからない。
しばらく、中にあるベンチに座っていた。
恋人繋ぎをして、ただボーッと座る。
永那ちゃんが眠ってしまいそうだったから、手を引っ張って、また歩いた。
9ヶ月記念日。
生徒会でバーベキューをした公園に向かった。
桜並木を歩く。
「やっぱりまだ咲いてないね」
「咲いている桜を探すのが、今日の目的だよ?」
「そうだったね」
永那ちゃんの耳には黒色のパールのピアス。
お姉さんから貰った物。
…私も、永那ちゃんの誕生日プレゼントにピアスをあげようかな?
でも、前に服も喜んでいたし、服でも良い。
悩ましい。
悩ましいのが、楽しい。
きっと、何をあげても喜んでくれる。
それがわかるから、もっと喜ばせたくなる。
お互いの左手の薬指には、永那ちゃんが半年記念にプレゼントしてくれたお揃いの指輪。
アンクレットも、ネックレスもつけている。
なんだか豪華だ。
学校内では、指輪とネックレスは外していた。
永那ちゃんは朝からつけていたけど…。
久しぶりに彼女の耳でピアスが揺れているのを見て、“やっぱり似合うな”と口元が緩んだ。
これが“キュン”なんだと思う。
「見当たらないねー」
「そうだね」
ひとつひとつの桜の木をじっくり見て回る。
こういうことに真剣に付き合ってくれる永那ちゃんが好き。
「ついでにさ、修了式の日にお花見する場所、目星つけておかない?」
上を向いていた永那ちゃんが視線だけ私に遣る。
彼女のピアスが揺れて、ついジャンプしたくなってしまうほどに心が踊った。
「いいね!みんなも喜びそう!」
「ハハッ」と永那ちゃんが優しい笑みを浮かべる。
「穂、楽しそうだね?」
「え!?…た、楽しいよ?永那ちゃんは、楽しくないの?」
「楽しいよ?」
どちらからともなく、繋いでいた手をギュッと強く握った。
「お散歩、誘ってくれてありがとう」
「ううん。私の方こそ、付き合ってくれてありがとう」
彼女の顔が近づいて、目を閉じた。
唇にぬくもり。
胸が、ドキドキしている。
彼女が離れて、ゆっくり目を開けた。
目が合って、笑い合う。
「幸せ」
その声が、あまりに優しくて、あまりに綺麗で、呼吸するのも忘れそうになる。
彼女が手を離すから、一気に現実に引き戻される。
恥ずかしくなって、前髪を指で梳いた。
永那ちゃんは鞄をガサゴソ漁る。
「はい、穂」
丁寧にリボンがつけられた箱を渡される。
リボンと箱の隙間には、手紙が挟まっていた。
手紙を開く。
『穂へ
いつも一緒にいてくれてありがとう。いつも私のことを1番に考えてくれてありがとう。ずっと、家族であり、親友であり、恋人であり続けたい。ずっと一緒にいたい。大好きだよ。
永那』
家族…。
一昨日話したから、きっとそれで書いてくれたんだ。
家族であり、親友であり、恋人…か。
素敵な考え方。
「ありがとう、永那ちゃん!」
「うん。それも、開けて?」
手紙を鞄にしまって、リボンを解く。
「わぁっ、綺麗…」
宝石みたいに輝く、チョコレートだった。
「ここが引き出しみたいになってて…」
永那ちゃんが手を添えて、説明してくれる。
“引き出し”からもチョコレートが出てきた。
「すごい…」
こんなチョコレート、初めて。
「バレンタインのお返しと、9ヶ月記念のプレゼントを兼ねて」
「…あ!そっか!明日ホワイトデーだね!」
「うん」
嬉しい。
バレンタインというイベント自体、今年初めてやったから、当然ホワイトデーなんて体験したことはない。
“お返し”って、こんなに嬉しいものなんだ…。
「こんなの、食べるのもったいない…」
フフッと彼女が笑う。
「ホントに穂はそう思ってそうだから怖いな」
「え?」
「食べてよ?カビる前に」
“むぅっ”と唇を尖らせると、優しくキスされる。
…かっこいい。
ずるい…!
私も、永那ちゃんをドキッとさせたい。
「私の前でひとつ食べて?」
「えー!絶対?」
「絶対。今食べて?じゃないと穂は永遠に食べなさそうだから」
「どれを食べようか迷うよ…」
「とりあえず、同じ種類のやつがあるから、それから食べたら?」
「そうだね…!」
ひとつ取って、口に入れる。
「ん~!美味しい!」
「よかった」
口の中であっという間に溶けていってしまう。
やっぱり、食べるのがもったいない…!
複数個ある、同じ種類のチョコレートは、シンプルな四角いチョコレートだった。
私が食べたのはミルクチョコレートで、このシンプルなチョコレートですら美味しいのに、宝石のようなチョコレートがどれだけ美味しいのか、計り知れない。
「よし!じゃあ、桜探し、続けよっか」
私は頷いて、チョコレートの箱を鞄にしまった。
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