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7.向
421.舞う
永那ちゃん、今日お泊まりしないかな?…なんて。
「そういえば、お泊まり、大丈夫そう?…まだわからないかな?」
「んや、大丈夫。じいちゃんに相談したら、家に一泊してくれるってさ」
「本当!?」
彼女の隣に座って、2人揃ってお茶を飲んだ。
「なんか…昔は話しにくい人だなって思ってたけど、勘違いだったのかな?今はすごい話しやすい」
「そっか。…良かったね」
「うん」
「永那ちゃん、ずっと頑張ってたもんね」
そう笑いかけると、永那ちゃんの顔が見る間に赤くなっていき、目が潤んでいく。
瞬きをすると、綺麗な雫がポタリと落ちた。
「なんで泣いてるの?」
指で拭ってあげる。
「穂が…穂が、そういうこと言うからだよ…」
私の指の上から、彼女が袖でゴシゴシと頬を拭う。
彼女の頭を撫でてあげると、胸に抱きつかれた。
「よしよし」
「穂~!大好きだ~!」
「私も永那ちゃん大好きだよ」
「ただいまー」
「おかえり」
誉がリビングに入ってきて「なにやってんの?」と白い目で見てくる。
でも、永那ちゃんが泣いているのだとわかると、すぐに普段通りになった。
手洗いうがいをして、私の隣に座る。
…あ、私、まだ手洗いうがいしてない。
永那ちゃんが帰ったらしないと。
「俺、帰ってくるタイミング良かった?」
目を大きく見開いて、鼻の穴を膨らませている。
「タイミングって…」
「めっちゃ良かったよ」
私が質問しようとするのを遮って、永那ちゃんが答える。
もう…全然知りたくないけど、2人の間でどんなやり取りが行われていたの!?
まさか“エッチする”なんて言ってないよね!?
まさかね!?
「さすが俺!」
「だな!」
永那ちゃんが起き上がって、親指を立てた。
もう泣いていない。
「永那、時間大丈夫なの?いつもなら帰ってる時間じゃない?」
6時近くになっていた。
「なー…。さすがにそろそろ帰んないとヤバいか」
永那ちゃんは深くため息をついて、立ち上がる。
お茶を一気飲みして、私の部屋に入った。
ブレザーを着て、鞄を手に持って出てきたから、誉と2人で玄関まで見送る。
「駅まで行くよ?」
「大丈夫!これからご飯作るんでしょ?」
「まあ…そうだけど…」
チュッと口づけされて、前髪を梳く。
「気をつけて帰ってね!」
「うん。じゃあ、また明日ね。誉も、またね」
「「うん」」
永那ちゃんがエレベーターに乗るまで見送って、ドアを閉めた。
それから毎日、2人でどこかしらを歩いた。
永那ちゃんは頑なに自分の家周辺を嫌がって、理由を聞くと「最近お母さんが散歩してるから鉢合わせるかもしんないし、中学の時の友達に出くわしたらテンション下がるから!」と強めに主張された。
千陽も永那ちゃんも、中学の時のことをあまり語りたがらない。
聞けば教えてくれるけど、あまり積極的ではない。
だから聞かれるのが嫌なのかと思ったけれど、どうもそういうわけでもないらしい。
彼女達なりの基準があるんだろうけど、私にはまだわからない。
修了式の2日前、森山さんの誕生日があった。
昼休みに、プレゼントを渡すだけの、ささやかなパーティをした。
ケーキはお花見に取っておいている。
千陽が“あたしがお菓子”と言っていたのは、彼女がケーキを準備したかったからだと知って、頬が緩んだ。
私の誕生日の時もサプライズで準備してくれていたし、そういうところが可愛くて好き。
永那ちゃんは、私と千陽が準備したプレゼントを聞いて、頭を悩ませていた。
優里ちゃんにも相談したら、彼女は桜の香りの入浴剤を準備したと言われたらしい。
永那ちゃんがあまりに困っている様子だったから、2人で公園のベンチに座って、インターネットでめぼしい物を探した。
それでも結局決まらず、永那ちゃんだけは森山さんの誕生日当日に間に合わなかった。
そして「駄菓子屋のお菓子詰め合わせにしよう!」と迷走した結論に至っていた。
「2千円分くらい詰め合わせたらさ、リュック1個分くらいにはなると思うよ?」と自信満々に言っていたから、私はただ頷くことしかできなかった。
…誉なら喜ぶと思うけど、森山さんは、どうなんだろう?
そして修了式、桜は満開だった。
渡り廊下を歩いている最中にも桜が舞っていて綺麗だった。
午前中には式は終わり、各々仲良しグループで出かける子が多いみたいだった。
みんな「この後どうする?」と話し合いを始めている。
でも、塩見君が教壇に立って「この後みんなでカラオケ行かねー?」と言うと、手を挙げる人が増えた。
「ね!佐藤さんも、空井さんも、森山さんも、どう?」
「悪いけど、予定あるから」
千陽が冷めた目で塩見君を見る。
「えー!?予定って?もしかしていつもの5人でどっか行く感じ?」
「そ」
千陽はさっさと鞄と紙袋を持って立ち上がる。
「千陽ちゃん行かねーのー?行こうよ行こうよー!」
千陽に何度も告白してきた子だ。
あからさまに千陽が苛立つ。
「おっつー!」
優里ちゃんが森山さんの背中に抱きつく。
「お、おつかれさま…」
森山さんは聞こえるか聞こえないかくらいの声量で返した。
「そういえば、お泊まり、大丈夫そう?…まだわからないかな?」
「んや、大丈夫。じいちゃんに相談したら、家に一泊してくれるってさ」
「本当!?」
彼女の隣に座って、2人揃ってお茶を飲んだ。
「なんか…昔は話しにくい人だなって思ってたけど、勘違いだったのかな?今はすごい話しやすい」
「そっか。…良かったね」
「うん」
「永那ちゃん、ずっと頑張ってたもんね」
そう笑いかけると、永那ちゃんの顔が見る間に赤くなっていき、目が潤んでいく。
瞬きをすると、綺麗な雫がポタリと落ちた。
「なんで泣いてるの?」
指で拭ってあげる。
「穂が…穂が、そういうこと言うからだよ…」
私の指の上から、彼女が袖でゴシゴシと頬を拭う。
彼女の頭を撫でてあげると、胸に抱きつかれた。
「よしよし」
「穂~!大好きだ~!」
「私も永那ちゃん大好きだよ」
「ただいまー」
「おかえり」
誉がリビングに入ってきて「なにやってんの?」と白い目で見てくる。
でも、永那ちゃんが泣いているのだとわかると、すぐに普段通りになった。
手洗いうがいをして、私の隣に座る。
…あ、私、まだ手洗いうがいしてない。
永那ちゃんが帰ったらしないと。
「俺、帰ってくるタイミング良かった?」
目を大きく見開いて、鼻の穴を膨らませている。
「タイミングって…」
「めっちゃ良かったよ」
私が質問しようとするのを遮って、永那ちゃんが答える。
もう…全然知りたくないけど、2人の間でどんなやり取りが行われていたの!?
まさか“エッチする”なんて言ってないよね!?
まさかね!?
「さすが俺!」
「だな!」
永那ちゃんが起き上がって、親指を立てた。
もう泣いていない。
「永那、時間大丈夫なの?いつもなら帰ってる時間じゃない?」
6時近くになっていた。
「なー…。さすがにそろそろ帰んないとヤバいか」
永那ちゃんは深くため息をついて、立ち上がる。
お茶を一気飲みして、私の部屋に入った。
ブレザーを着て、鞄を手に持って出てきたから、誉と2人で玄関まで見送る。
「駅まで行くよ?」
「大丈夫!これからご飯作るんでしょ?」
「まあ…そうだけど…」
チュッと口づけされて、前髪を梳く。
「気をつけて帰ってね!」
「うん。じゃあ、また明日ね。誉も、またね」
「「うん」」
永那ちゃんがエレベーターに乗るまで見送って、ドアを閉めた。
それから毎日、2人でどこかしらを歩いた。
永那ちゃんは頑なに自分の家周辺を嫌がって、理由を聞くと「最近お母さんが散歩してるから鉢合わせるかもしんないし、中学の時の友達に出くわしたらテンション下がるから!」と強めに主張された。
千陽も永那ちゃんも、中学の時のことをあまり語りたがらない。
聞けば教えてくれるけど、あまり積極的ではない。
だから聞かれるのが嫌なのかと思ったけれど、どうもそういうわけでもないらしい。
彼女達なりの基準があるんだろうけど、私にはまだわからない。
修了式の2日前、森山さんの誕生日があった。
昼休みに、プレゼントを渡すだけの、ささやかなパーティをした。
ケーキはお花見に取っておいている。
千陽が“あたしがお菓子”と言っていたのは、彼女がケーキを準備したかったからだと知って、頬が緩んだ。
私の誕生日の時もサプライズで準備してくれていたし、そういうところが可愛くて好き。
永那ちゃんは、私と千陽が準備したプレゼントを聞いて、頭を悩ませていた。
優里ちゃんにも相談したら、彼女は桜の香りの入浴剤を準備したと言われたらしい。
永那ちゃんがあまりに困っている様子だったから、2人で公園のベンチに座って、インターネットでめぼしい物を探した。
それでも結局決まらず、永那ちゃんだけは森山さんの誕生日当日に間に合わなかった。
そして「駄菓子屋のお菓子詰め合わせにしよう!」と迷走した結論に至っていた。
「2千円分くらい詰め合わせたらさ、リュック1個分くらいにはなると思うよ?」と自信満々に言っていたから、私はただ頷くことしかできなかった。
…誉なら喜ぶと思うけど、森山さんは、どうなんだろう?
そして修了式、桜は満開だった。
渡り廊下を歩いている最中にも桜が舞っていて綺麗だった。
午前中には式は終わり、各々仲良しグループで出かける子が多いみたいだった。
みんな「この後どうする?」と話し合いを始めている。
でも、塩見君が教壇に立って「この後みんなでカラオケ行かねー?」と言うと、手を挙げる人が増えた。
「ね!佐藤さんも、空井さんも、森山さんも、どう?」
「悪いけど、予定あるから」
千陽が冷めた目で塩見君を見る。
「えー!?予定って?もしかしていつもの5人でどっか行く感じ?」
「そ」
千陽はさっさと鞄と紙袋を持って立ち上がる。
「千陽ちゃん行かねーのー?行こうよ行こうよー!」
千陽に何度も告白してきた子だ。
あからさまに千陽が苛立つ。
「おっつー!」
優里ちゃんが森山さんの背中に抱きつく。
「お、おつかれさま…」
森山さんは聞こえるか聞こえないかくらいの声量で返した。
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