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8.閑話
50.永那 中2 夏《野々村風美編》
「な、なに!?お姉ちゃんの部活の後輩ってことは、うちの学校の人?」
「そうだよ」
「何年生?」
「2年」
“なんで帰ってくるの早いの?”って聞きたいのに、矢継ぎ早に質問されてタイミングが見つからない。
「だよね!…だよね!1年にはあんな人いないもんね!…え、噂になってためっちゃ美人の先輩ってあの人のこと?」
「噂?」
「お姉ちゃん知らないの?うちの学校にヤバい美人がいるって話!」
「あ~…なんとなく、聞いたことはある、気がする…」
「ハァ」と妹があからさまにため息をつく。
…私、本当に何も知らないんだな。
自分の友達のことすら、ちゃんとわかってあげられていない。
ショックだ。
「でも、部活では、そんな話聞かなかったけどな…」
「なんか、1年の時イジメられてたって話聞いたけど」
「イジメ!?ま、まさか…」
永那に限って…。
それで悩んでいたなら、私、もっとちゃんと聞いてあげれば良かった…。
「それは、私の友達の話だね」
「永那!?」
ドアのすき間から、覗くように永那がこちらを見ている。
「ドアのまん前で話されたら、さすがに丸聞こえだよ?」
ドアが開く。
「羽美ちゃん…?風美と羽美か。ご両親は風が好きなのかな?…あ、よろしくね」
永那が変なことを呟きながら羽美に手を差し出す。
羽美は恐る恐る手を重ねた。
「握手~!」
へへへと永那が笑い、ぶんぶん手を振った。
羽美が顔を真っ赤に染める。
「よ、よろしくお願いします…!」
「羽美は、部活してんの?」
「は、はい。テニス部です」
「テニス部…ふーん。大変そう」
なに、その適当な感想は。
「そ、そうでもないですよ」
「ふーん」
「まあ!もう、いいでしょ?…永那、部屋戻ろ?」
「うん」
強引に永那の手を引いて部屋に入った。
閉めたドアに寄りかかる。
「あれが風美の妹か。なんか、良い子そうじゃん」
胸がチクリと痛む。
「べつに、そんなことないから」
「そっか」
私がベッドに座ると、永那も隣に座った。
「風美…さっきはごめんね?」
「え!?…あ、も、もういいよ。大丈夫」
「本当?」
「…うん」
大丈夫じゃない。何も。
手を握られる。
「本当に、ごめん」
「もういいってば」
ふぅっと息を吐く。
全然、よくない。全然よくないけど、とやかく言っても仕方ない。
「勉強、教えて?」
「え?」
「教えてくれるんじゃないの?」
「あ!そうだった!」
「なんで忘れてるの…」
私が笑うと、彼女も笑みを浮かべた。
勉強を教えてもらい始めて1時間後、ドアがノックされる。
「失礼しまーす。お茶とお菓子持ってきましたぁっ」
「え!?な、なに?入ってこないでよ」
「お客さんがいるのにお菓子も出さないなんて変じゃん」
普段そんなことしないのに…!
「お、ありがと!」
「いえいえ。…あの、永那先輩?」
「ん?」
「あの…その…で、できれば、写真、一緒に撮ってくれませんか!?」
「いいよ」
イライラする。
2人を横目で見ていると、永那が変顔をした。
「え!?あ!ちょっと、先輩!なにしてるんですかぁっ!」
ニシシと笑って、永那が羽美の肩を抱く。
あぁ…嫌だ…。
羽美は何枚か写真を撮って、興奮気味だった。
羽美の背中を押して、部屋から追い出す。
「風美、一緒に写真撮る?」
「撮らない!」
つい口走る。
「そっか」
「や、やっぱり!…撮る」
永那が優しく笑う。
もう…ホントに嫌…。嫌いに、なれない…。
永那を見送る前にも、羽美はしゃしゃり出てきた。
永那と楽しそうに話して、最後の最後まで永那を取られ続けた。
途中まで送ろうとしたけど、永那に断られ、落ち込む。
彼女に頭を撫でられてドキッとしてしまうのが、嫌。
「お姉ちゃん、後輩に勉強教えてもらってるの、ヤバくない?」と妹に言われたのは言うまでもない。
永那が帰ってからの、私に対する悪態は変わらない。
翌日、夕方に塾が終わって、永那と買い物に出かけた。
ピアッサーや消毒液を買って家に帰ると、妹がいた。
しばらく2人が話して、区切りがつきそうにないから無理矢理永那の手を引っ張って話を終わらせた。
ピアスを開けることは、家族にも友達にも秘密。
永那にも事前にそう言っておいたから、「今日も勉強ですか?」と羽美に聞かれても、彼女はただ「うん」とだけ答えていた。
「右耳ね?」
「うん。永那とお揃いがいい」
「オッケー」
永那が耳に触れる。
「すごい緊張する…」
「大丈夫大丈夫。そんな痛くないから」
保冷剤で耳たぶを冷やされ、鏡を渡される。
「ここでいい?」
「うん…」
「よし…。やるよ?」
「うん…!」
奥歯を食いしばり、手を握りしめる。
「せーのっ」
ガチャッと音が鳴って、「出来た~!」と永那の喜ぶ声が脳に響く。
「痛かった?」
「だ、大丈夫だった…!ちょっとチクッとしたけど、平気」
彼女が頷く。
「じゃあ、私のもやって?」
「え!?私が?」
「うん」
「む、無理無理!」
「え~。じゃあ、羽美にやってもらおうかな?」
一瞬で泣きそうになる。
「そうだよ」
「何年生?」
「2年」
“なんで帰ってくるの早いの?”って聞きたいのに、矢継ぎ早に質問されてタイミングが見つからない。
「だよね!…だよね!1年にはあんな人いないもんね!…え、噂になってためっちゃ美人の先輩ってあの人のこと?」
「噂?」
「お姉ちゃん知らないの?うちの学校にヤバい美人がいるって話!」
「あ~…なんとなく、聞いたことはある、気がする…」
「ハァ」と妹があからさまにため息をつく。
…私、本当に何も知らないんだな。
自分の友達のことすら、ちゃんとわかってあげられていない。
ショックだ。
「でも、部活では、そんな話聞かなかったけどな…」
「なんか、1年の時イジメられてたって話聞いたけど」
「イジメ!?ま、まさか…」
永那に限って…。
それで悩んでいたなら、私、もっとちゃんと聞いてあげれば良かった…。
「それは、私の友達の話だね」
「永那!?」
ドアのすき間から、覗くように永那がこちらを見ている。
「ドアのまん前で話されたら、さすがに丸聞こえだよ?」
ドアが開く。
「羽美ちゃん…?風美と羽美か。ご両親は風が好きなのかな?…あ、よろしくね」
永那が変なことを呟きながら羽美に手を差し出す。
羽美は恐る恐る手を重ねた。
「握手~!」
へへへと永那が笑い、ぶんぶん手を振った。
羽美が顔を真っ赤に染める。
「よ、よろしくお願いします…!」
「羽美は、部活してんの?」
「は、はい。テニス部です」
「テニス部…ふーん。大変そう」
なに、その適当な感想は。
「そ、そうでもないですよ」
「ふーん」
「まあ!もう、いいでしょ?…永那、部屋戻ろ?」
「うん」
強引に永那の手を引いて部屋に入った。
閉めたドアに寄りかかる。
「あれが風美の妹か。なんか、良い子そうじゃん」
胸がチクリと痛む。
「べつに、そんなことないから」
「そっか」
私がベッドに座ると、永那も隣に座った。
「風美…さっきはごめんね?」
「え!?…あ、も、もういいよ。大丈夫」
「本当?」
「…うん」
大丈夫じゃない。何も。
手を握られる。
「本当に、ごめん」
「もういいってば」
ふぅっと息を吐く。
全然、よくない。全然よくないけど、とやかく言っても仕方ない。
「勉強、教えて?」
「え?」
「教えてくれるんじゃないの?」
「あ!そうだった!」
「なんで忘れてるの…」
私が笑うと、彼女も笑みを浮かべた。
勉強を教えてもらい始めて1時間後、ドアがノックされる。
「失礼しまーす。お茶とお菓子持ってきましたぁっ」
「え!?な、なに?入ってこないでよ」
「お客さんがいるのにお菓子も出さないなんて変じゃん」
普段そんなことしないのに…!
「お、ありがと!」
「いえいえ。…あの、永那先輩?」
「ん?」
「あの…その…で、できれば、写真、一緒に撮ってくれませんか!?」
「いいよ」
イライラする。
2人を横目で見ていると、永那が変顔をした。
「え!?あ!ちょっと、先輩!なにしてるんですかぁっ!」
ニシシと笑って、永那が羽美の肩を抱く。
あぁ…嫌だ…。
羽美は何枚か写真を撮って、興奮気味だった。
羽美の背中を押して、部屋から追い出す。
「風美、一緒に写真撮る?」
「撮らない!」
つい口走る。
「そっか」
「や、やっぱり!…撮る」
永那が優しく笑う。
もう…ホントに嫌…。嫌いに、なれない…。
永那を見送る前にも、羽美はしゃしゃり出てきた。
永那と楽しそうに話して、最後の最後まで永那を取られ続けた。
途中まで送ろうとしたけど、永那に断られ、落ち込む。
彼女に頭を撫でられてドキッとしてしまうのが、嫌。
「お姉ちゃん、後輩に勉強教えてもらってるの、ヤバくない?」と妹に言われたのは言うまでもない。
永那が帰ってからの、私に対する悪態は変わらない。
翌日、夕方に塾が終わって、永那と買い物に出かけた。
ピアッサーや消毒液を買って家に帰ると、妹がいた。
しばらく2人が話して、区切りがつきそうにないから無理矢理永那の手を引っ張って話を終わらせた。
ピアスを開けることは、家族にも友達にも秘密。
永那にも事前にそう言っておいたから、「今日も勉強ですか?」と羽美に聞かれても、彼女はただ「うん」とだけ答えていた。
「右耳ね?」
「うん。永那とお揃いがいい」
「オッケー」
永那が耳に触れる。
「すごい緊張する…」
「大丈夫大丈夫。そんな痛くないから」
保冷剤で耳たぶを冷やされ、鏡を渡される。
「ここでいい?」
「うん…」
「よし…。やるよ?」
「うん…!」
奥歯を食いしばり、手を握りしめる。
「せーのっ」
ガチャッと音が鳴って、「出来た~!」と永那の喜ぶ声が脳に響く。
「痛かった?」
「だ、大丈夫だった…!ちょっとチクッとしたけど、平気」
彼女が頷く。
「じゃあ、私のもやって?」
「え!?私が?」
「うん」
「む、無理無理!」
「え~。じゃあ、羽美にやってもらおうかな?」
一瞬で泣きそうになる。
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