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7.向
425.期待
「千陽と森山さん…もう桜で良いよね?…千陽と桜も予備校あんの?」
サラリと会話の中で森山さんを名前呼び…。
なるほど…永那ちゃんはこうしてみんなと距離を縮めていくのかあ。勉強になる。
…でも私には出来そうにない。
「一応、体験授業を受けに行こうって話は、桜としてる」
「申し込みもしました…!」
森山さんが頷きながら言う。
「ふーん」
「穂は、結局オンラインにするんだっけ?」
千陽が聞くから、頷く。
「さすが穂ちゃん!オンライン…私もオンラインが良かったけど、絶対無理だからなあ…」
「優里は無理だろうな」
永那ちゃんが笑うと、優里ちゃんが永那ちゃんの肩をポカポカ叩いた。
オンラインでも春講習はある。
永那ちゃんが毎日家に来て、こっそり一緒に授業を受ける計画を立てている。
ホテルにお泊まりの日はお休みする予定。
オンラインだと、自分で受ける日を決められるから、その分自制心が必要になるというデメリットがある。
配信されている動画を見て勉強し、質問があればチャットで聞くか、わかりにくいものは通話しながら画面を通して教えてもらえる。
そのおかげで値段が安く、時間にギチギチに拘束されることはない。
「う~!受験嫌だ~!!」
何がそんなに嫌なのかわからなくて、苦笑する。
「ま、受験の話なんかやめようぜー!今は花見中だよ?」
「ハッ!!そうだ!!そうだね!!永那、たまには良いこと言うじゃないか」
フッフッフッと2人で笑い合っている。
“花見中”とは言え、少しずつ吹く風が涼しくなってきている。
徐々に日が傾き始めたから。
そろそろお開きかな…?なんて考えていたら「あれ!?」と後ろから声がした。
永那ちゃんと優里ちゃんが“げっ…”と顔を引きつらせる。
「お前らこんなとこいたのー!?なんだよー…くっそー…けっこう探したのにー」
塩見君が項垂れる。
「今日は桜の誕生日パーティお花見会だったから、大人数の予定じゃなかったんだよ。お前らにバレたら絶対参加してくるしさ~」
永那ちゃんが左眉を上げながら、ぞんざいに言う。
「も、森山さんの誕生日パーティ!?…いや!みんなはいいからさ!せめて俺のことを誘ってくれないかな!?なんで誘ってくれないかな!?」
「は?なんで塩見を誘わなきゃいけないんだよ?」
「う…っ、そ、それは…」
吃って、彼は俯く。
「いや、いいです…。大丈夫です。おかしいですよね、はい、わかってます」
「ってか、なんで塩見1人なの?」
優里ちゃんが聞く。
「あぁ…なんか、かくれんぼしようとか言い始めてさ。隠れるとこ探してた」
「子供かよ」
永那ちゃんが鼻で笑う。
ちゃっかり塩見君がシートに座ってきて、みんなが少しずつ場所を移動する。
「うっわー、なにこれ?めっちゃ楽しそうなことしてんじゃん」
ケーキが包まれていたビニールや、お昼が入っていたタッパー、永那ちゃんが森山さんにプレゼントした駄菓子の山を見て、塩見君がまた項垂れた。
「楽しかったー!」
優里ちゃんが両手を上げると、「いいなあ」と呟く。
「し、塩見君…どうぞ…」
森山さんがジュースを紙コップに入れて渡してあげる。
「お、おー!ありがとう!」
「かくれんぼってことは、みんなここに来る可能性があるってことか」
永那ちゃんが顎に手を当てて考える。
「最初に来たのが塩見で良かったわ」
「え?そお?俺で良かった?」
「うん。適当な奴で良かった」
「適当って!俺、言うほど適当じゃないよ!?結構しっかりしてる方だと思うよ!?」
永那ちゃんは興味なさそうに両手を上げて伸ばし、「帰るかー」と言った。
「え!?もう!?俺来たばっかなのに!?」
「塩見が来たから、帰るんだよ」
永那ちゃんが片付けを始めるから、私達もそれに倣う。
「いじめだ!!完全ないじめだ!!」
「いじめじゃない。穂と千陽を馬鹿なクラスメイトから守るための処置だ」
塩見君はほんの少し考えて「そっか…。まあ、仕方ないか」と片付けるのを手伝ってくれた。
片付けする間もチビチビとジュースを飲んで寂しそうにしているから、少しだけ胸が痛む。
私はクラスメイトと合流しても大丈夫だけど、千陽には支障が出そうだったから、黙って片付ける。
「ありがとう、塩見君」
「あ、いえ!…全然、大丈夫だよ」
私が話しかけたことに驚いたのか、ギョッと目を見開いた。
「じゃなー、塩見」
「バイバーイ」
永那ちゃんと優里ちゃんが言う。
永那ちゃんに手を引かれ、歩き始める。
まだ塩見君と目が合っていたから、手を振った。
振り返してくれる。
千陽が私の隣に並んで、森山さんはペコリと会釈してから優里ちゃんの隣を歩いた。
桜並木を歩いていると、他のクラスメイトからも声をかけられた。
永那ちゃんと優里ちゃんが少しお話しして、桜並木を歩いて公園を出る。
2人がクラスメイトと話している間、私は落ちてきた桜の花を拾った。
本に挟むと、森山さんが「押し花ですか?」と聞いてくれたから、頷いた。
森山さんも真似し、千陽も欲しがったから千陽の分も本に挟んだ。
帰ったら栞にしよう。
サラリと会話の中で森山さんを名前呼び…。
なるほど…永那ちゃんはこうしてみんなと距離を縮めていくのかあ。勉強になる。
…でも私には出来そうにない。
「一応、体験授業を受けに行こうって話は、桜としてる」
「申し込みもしました…!」
森山さんが頷きながら言う。
「ふーん」
「穂は、結局オンラインにするんだっけ?」
千陽が聞くから、頷く。
「さすが穂ちゃん!オンライン…私もオンラインが良かったけど、絶対無理だからなあ…」
「優里は無理だろうな」
永那ちゃんが笑うと、優里ちゃんが永那ちゃんの肩をポカポカ叩いた。
オンラインでも春講習はある。
永那ちゃんが毎日家に来て、こっそり一緒に授業を受ける計画を立てている。
ホテルにお泊まりの日はお休みする予定。
オンラインだと、自分で受ける日を決められるから、その分自制心が必要になるというデメリットがある。
配信されている動画を見て勉強し、質問があればチャットで聞くか、わかりにくいものは通話しながら画面を通して教えてもらえる。
そのおかげで値段が安く、時間にギチギチに拘束されることはない。
「う~!受験嫌だ~!!」
何がそんなに嫌なのかわからなくて、苦笑する。
「ま、受験の話なんかやめようぜー!今は花見中だよ?」
「ハッ!!そうだ!!そうだね!!永那、たまには良いこと言うじゃないか」
フッフッフッと2人で笑い合っている。
“花見中”とは言え、少しずつ吹く風が涼しくなってきている。
徐々に日が傾き始めたから。
そろそろお開きかな…?なんて考えていたら「あれ!?」と後ろから声がした。
永那ちゃんと優里ちゃんが“げっ…”と顔を引きつらせる。
「お前らこんなとこいたのー!?なんだよー…くっそー…けっこう探したのにー」
塩見君が項垂れる。
「今日は桜の誕生日パーティお花見会だったから、大人数の予定じゃなかったんだよ。お前らにバレたら絶対参加してくるしさ~」
永那ちゃんが左眉を上げながら、ぞんざいに言う。
「も、森山さんの誕生日パーティ!?…いや!みんなはいいからさ!せめて俺のことを誘ってくれないかな!?なんで誘ってくれないかな!?」
「は?なんで塩見を誘わなきゃいけないんだよ?」
「う…っ、そ、それは…」
吃って、彼は俯く。
「いや、いいです…。大丈夫です。おかしいですよね、はい、わかってます」
「ってか、なんで塩見1人なの?」
優里ちゃんが聞く。
「あぁ…なんか、かくれんぼしようとか言い始めてさ。隠れるとこ探してた」
「子供かよ」
永那ちゃんが鼻で笑う。
ちゃっかり塩見君がシートに座ってきて、みんなが少しずつ場所を移動する。
「うっわー、なにこれ?めっちゃ楽しそうなことしてんじゃん」
ケーキが包まれていたビニールや、お昼が入っていたタッパー、永那ちゃんが森山さんにプレゼントした駄菓子の山を見て、塩見君がまた項垂れた。
「楽しかったー!」
優里ちゃんが両手を上げると、「いいなあ」と呟く。
「し、塩見君…どうぞ…」
森山さんがジュースを紙コップに入れて渡してあげる。
「お、おー!ありがとう!」
「かくれんぼってことは、みんなここに来る可能性があるってことか」
永那ちゃんが顎に手を当てて考える。
「最初に来たのが塩見で良かったわ」
「え?そお?俺で良かった?」
「うん。適当な奴で良かった」
「適当って!俺、言うほど適当じゃないよ!?結構しっかりしてる方だと思うよ!?」
永那ちゃんは興味なさそうに両手を上げて伸ばし、「帰るかー」と言った。
「え!?もう!?俺来たばっかなのに!?」
「塩見が来たから、帰るんだよ」
永那ちゃんが片付けを始めるから、私達もそれに倣う。
「いじめだ!!完全ないじめだ!!」
「いじめじゃない。穂と千陽を馬鹿なクラスメイトから守るための処置だ」
塩見君はほんの少し考えて「そっか…。まあ、仕方ないか」と片付けるのを手伝ってくれた。
片付けする間もチビチビとジュースを飲んで寂しそうにしているから、少しだけ胸が痛む。
私はクラスメイトと合流しても大丈夫だけど、千陽には支障が出そうだったから、黙って片付ける。
「ありがとう、塩見君」
「あ、いえ!…全然、大丈夫だよ」
私が話しかけたことに驚いたのか、ギョッと目を見開いた。
「じゃなー、塩見」
「バイバーイ」
永那ちゃんと優里ちゃんが言う。
永那ちゃんに手を引かれ、歩き始める。
まだ塩見君と目が合っていたから、手を振った。
振り返してくれる。
千陽が私の隣に並んで、森山さんはペコリと会釈してから優里ちゃんの隣を歩いた。
桜並木を歩いていると、他のクラスメイトからも声をかけられた。
永那ちゃんと優里ちゃんが少しお話しして、桜並木を歩いて公園を出る。
2人がクラスメイトと話している間、私は落ちてきた桜の花を拾った。
本に挟むと、森山さんが「押し花ですか?」と聞いてくれたから、頷いた。
森山さんも真似し、千陽も欲しがったから千陽の分も本に挟んだ。
帰ったら栞にしよう。
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