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7.向
435.期待
千陽と一緒に選んだ服をクローゼットの奥から取り出す。
クローゼットを見られるなんてことはないと思ったけど、念のため、永那ちゃんが家に来るので奥に隠しておいた。
予定通り朝勉強し、午後からメイクを始めた。
昨日“妖精みたい”と褒められて、メイクに少し自信が持ててきた。
服を着替えて、1泊分の荷物を持って、玄関に立つ。
誉は既に遊びに出かけていた。
千陽に“靴は制服のローファーで”と指定されていたので、それを履く。
ローファー以外はカジュアルな靴しか持っていないから、一体どんなところに連れて行かれるのか、変に緊張する。
鞄も、それなりに容量の入る物は合皮のトートバッグしかなく、これで良いのか不安になる。
ネックレスに触れて、深呼吸する。
指輪は千陽が寂しがると思い、つけていない。
玄関前の全身鏡で、何度も何度も自分を確認する。
…変じゃ、ないよね?
腕時計を見て、早めに家を出た。
約束の時間の電車に乗り込み、数駅揺られると、2人が乗り込んでくる。
永那ちゃんは黒のスキニーパンツに白のシャツ。
耳には雫の形をしたピアスが揺れ、靴はローファーだった。
見慣れているはずなのに、かっこいい…。
千陽はヒールを履いていて、モデルみたいだった。
有名ブランドのハンドバッグのチェーンを肩にかけている。
小さな鞄には財布とスマホくらいしか入らなさそうだ。
「あれ?永那ちゃん、鞄は?」
「千陽に回収された」
「回収?」
千陽がキャリーケースをポンポンと叩く。
「どうせ永那、下着と眼鏡だけだから」
「そうなんだ」
「スマホの充電器だってあるよ?」
「永那、コンビニの袋に入れてきたんだよ?ありえなくない?」
「コンビニの袋!?下着を?」
「だって千陽に回収するって言われてたから。いっかなーって」
永那ちゃんの適当さには苦笑するしかない。
千陽は、森山さんと優里ちゃんと同じ予備校に通うことにしたらしい。
電車に乗るのが面倒だけど、友達が一緒というのは、結構良かったのだという。
そんな話を聞きつつ、私達の話もしつつ、2回電車を乗り換え、目的地の駅につく。
「永那、持って」
「ん」
永那ちゃんがキャリーケースを転がして、千陽はスタスタと私達の前を歩く。
一緒に選んだ服を着ているはずなのに、試着の時と全然雰囲気が違って素直にすごいと思った。
普通、試着の時には良く見えても、家に帰ったら「あれ?」ってなることの方が多い気がするんだけど…。
徒歩5分のところにそのホテルはあった。
私でも名前の知っているホテル。
1度も来たことなんてないけれど、つい空まで見上げてしまう。
「おおー…すげー…」
永那ちゃんも私と同じように見上げていた。
千陽は私達の感動を邪魔しないようにか、ジッと待ってくれている。
「まだ桜咲いてるね」
「遅咲きの桜が植わってるのかな?」
「そんなのあるの?」
「あるよ」
「ふーん」
じっくり外観を眺めた後、私達は歩き出す。
エントランスに近づくと、ホテリエ(ホテルマン)がにこやかに話しかけてくれる。
千陽が名前を言うと、そのままロビーを通過して、部屋に通された。
永那ちゃんが持っていたキャリーケースはすぐに預かられていた。
ソファに座る。
ドリンクを聞かれ、3人ともアップルサイダーをお願いした。
…あれ?ホテルのチェックインって、こんなだったっけ…?
事前に書いておいた保護者の同意書を提出し、丁寧に説明を受ける。
途中、アップルサイダーが注がれたシャンパングラスを渡され、頂く。
3人が飲み終えた頃、説明が終わり、部屋に案内される。
緊張しっぱなしで、私は何も頭に入ってこなかった。
パタンとドアが閉まった瞬間、永那ちゃんと同時に息を吐き出した。
「な、なに!?今の!?」
「わかんない!わかんないよ、穂!」
永那ちゃんは首をぶんぶん横に振る。
「てか、なに?この部屋」
「私もわからない…。とりあえず、すごーく高いことはわかったよ?」
「わ、私も」
千陽が笑う。
「良かった、喜んでもらえて」
「喜んでる!?喜んでるのか!?私は!」
「喜んでないの?」
少し寂しそうな顔になる。
「い、いや!喜んでる!喜んでるに、違いない!」
「永那ちゃん、喋り方がおかしくなってるよ?」
「そ、そうかな?」
「うん。とりあえず、落ち着こう」
2人で深呼吸する。
まず、ベッドルームとリビングがある。
そしてベッドはキングサイズ。
ベッドの両脇にはサイドテーブルがあり、その上に落ち着いた色合いのランプが置かれていた。
リビングには大きなソファ1つと、小さなソファ1つ。
テーブルが2台あって、大きなテレビもある。
トイレが2箇所あって、浴室は1箇所。
トイレと浴室はまだ見ていないけれど、きっとすごく豪華。
大きな窓からは都会の景色が眺められる。
「こんな経験、なかなか出来ないね」
「私、ホテル泊まったことなんて、記憶の限りないんだけど…こんなものなの?中学も高校も、修学旅行は旅館だったし」
「違うよ、永那ちゃん。普通は、さっき通ったロビーでチェックインをするはずなの。ドリンクなんて出されたの、初めてだよ?」
「そっかあ。穂も初めてか」
“初めて”と言っても、小さい頃の記憶だから不確かだ。
でも、何組かロビーでチェックインしていた人達がいたから、間違ってはいないはず。
クローゼットを見られるなんてことはないと思ったけど、念のため、永那ちゃんが家に来るので奥に隠しておいた。
予定通り朝勉強し、午後からメイクを始めた。
昨日“妖精みたい”と褒められて、メイクに少し自信が持ててきた。
服を着替えて、1泊分の荷物を持って、玄関に立つ。
誉は既に遊びに出かけていた。
千陽に“靴は制服のローファーで”と指定されていたので、それを履く。
ローファー以外はカジュアルな靴しか持っていないから、一体どんなところに連れて行かれるのか、変に緊張する。
鞄も、それなりに容量の入る物は合皮のトートバッグしかなく、これで良いのか不安になる。
ネックレスに触れて、深呼吸する。
指輪は千陽が寂しがると思い、つけていない。
玄関前の全身鏡で、何度も何度も自分を確認する。
…変じゃ、ないよね?
腕時計を見て、早めに家を出た。
約束の時間の電車に乗り込み、数駅揺られると、2人が乗り込んでくる。
永那ちゃんは黒のスキニーパンツに白のシャツ。
耳には雫の形をしたピアスが揺れ、靴はローファーだった。
見慣れているはずなのに、かっこいい…。
千陽はヒールを履いていて、モデルみたいだった。
有名ブランドのハンドバッグのチェーンを肩にかけている。
小さな鞄には財布とスマホくらいしか入らなさそうだ。
「あれ?永那ちゃん、鞄は?」
「千陽に回収された」
「回収?」
千陽がキャリーケースをポンポンと叩く。
「どうせ永那、下着と眼鏡だけだから」
「そうなんだ」
「スマホの充電器だってあるよ?」
「永那、コンビニの袋に入れてきたんだよ?ありえなくない?」
「コンビニの袋!?下着を?」
「だって千陽に回収するって言われてたから。いっかなーって」
永那ちゃんの適当さには苦笑するしかない。
千陽は、森山さんと優里ちゃんと同じ予備校に通うことにしたらしい。
電車に乗るのが面倒だけど、友達が一緒というのは、結構良かったのだという。
そんな話を聞きつつ、私達の話もしつつ、2回電車を乗り換え、目的地の駅につく。
「永那、持って」
「ん」
永那ちゃんがキャリーケースを転がして、千陽はスタスタと私達の前を歩く。
一緒に選んだ服を着ているはずなのに、試着の時と全然雰囲気が違って素直にすごいと思った。
普通、試着の時には良く見えても、家に帰ったら「あれ?」ってなることの方が多い気がするんだけど…。
徒歩5分のところにそのホテルはあった。
私でも名前の知っているホテル。
1度も来たことなんてないけれど、つい空まで見上げてしまう。
「おおー…すげー…」
永那ちゃんも私と同じように見上げていた。
千陽は私達の感動を邪魔しないようにか、ジッと待ってくれている。
「まだ桜咲いてるね」
「遅咲きの桜が植わってるのかな?」
「そんなのあるの?」
「あるよ」
「ふーん」
じっくり外観を眺めた後、私達は歩き出す。
エントランスに近づくと、ホテリエ(ホテルマン)がにこやかに話しかけてくれる。
千陽が名前を言うと、そのままロビーを通過して、部屋に通された。
永那ちゃんが持っていたキャリーケースはすぐに預かられていた。
ソファに座る。
ドリンクを聞かれ、3人ともアップルサイダーをお願いした。
…あれ?ホテルのチェックインって、こんなだったっけ…?
事前に書いておいた保護者の同意書を提出し、丁寧に説明を受ける。
途中、アップルサイダーが注がれたシャンパングラスを渡され、頂く。
3人が飲み終えた頃、説明が終わり、部屋に案内される。
緊張しっぱなしで、私は何も頭に入ってこなかった。
パタンとドアが閉まった瞬間、永那ちゃんと同時に息を吐き出した。
「な、なに!?今の!?」
「わかんない!わかんないよ、穂!」
永那ちゃんは首をぶんぶん横に振る。
「てか、なに?この部屋」
「私もわからない…。とりあえず、すごーく高いことはわかったよ?」
「わ、私も」
千陽が笑う。
「良かった、喜んでもらえて」
「喜んでる!?喜んでるのか!?私は!」
「喜んでないの?」
少し寂しそうな顔になる。
「い、いや!喜んでる!喜んでるに、違いない!」
「永那ちゃん、喋り方がおかしくなってるよ?」
「そ、そうかな?」
「うん。とりあえず、落ち着こう」
2人で深呼吸する。
まず、ベッドルームとリビングがある。
そしてベッドはキングサイズ。
ベッドの両脇にはサイドテーブルがあり、その上に落ち着いた色合いのランプが置かれていた。
リビングには大きなソファ1つと、小さなソファ1つ。
テーブルが2台あって、大きなテレビもある。
トイレが2箇所あって、浴室は1箇所。
トイレと浴室はまだ見ていないけれど、きっとすごく豪華。
大きな窓からは都会の景色が眺められる。
「こんな経験、なかなか出来ないね」
「私、ホテル泊まったことなんて、記憶の限りないんだけど…こんなものなの?中学も高校も、修学旅行は旅館だったし」
「違うよ、永那ちゃん。普通は、さっき通ったロビーでチェックインをするはずなの。ドリンクなんて出されたの、初めてだよ?」
「そっかあ。穂も初めてか」
“初めて”と言っても、小さい頃の記憶だから不確かだ。
でも、何組かロビーでチェックインしていた人達がいたから、間違ってはいないはず。
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