いたずらはため息と共に

常森 楽

文字の大きさ
458 / 595
7.向

457.バランス

「んっ」
永那がなかに入ってくる。
「悪い子には、お仕置きだ」
「え、永那ちゃん…千陽に乱暴しちゃダメだよ?」
「乱暴なんてしない。でも…」
冷めた視線が送られて、ゾクリとする。
なかで指が動き出す。
「ハァッぁっ」
背を反る。
いきなり奥の方を撫でられ、息が上手く吸えなくなる。
穂があたしの胸を揉むから、底知れない極致感に導かれていく。
ベッドのシーツと、穂の手を掴む。
「あッ…んっ、んッ」
達しそうになった瞬間、永那が止まる。
「え…?」
理解できなくて、彼女を見た。
薄ら笑ってる。
穂を見ると、眉をハの字にして、優しい笑みを向けられた。
…なんか、前にも似たようなことをされた気がする。
あの時も、あたしが素直に言わなくて…。
「下手だからね」
下唇を噛む。

永那がまたゆっくりとなかで動き出す。
「あぁ…っ」
快楽の波が寄せては引いて、あたしが絶頂に達することはない。
イきそうになるたびに彼女が止まるから、嫌になる。
「千陽…お願いしないと、ずっとこのままだよ?」
「穂…」
永那を見ると、見つめられていた。
見慣れない眼鏡姿で見つめられると、鳥肌が立つ。
「イきたい…」
「下手だから、イかせられないんだよ?」
「…嘘だからぁ」
「嘘?」
「お願い…」
「ダメ」
視界がボヤけてくる。
「お願い」
「やだ」
「永那、好き…大好き…。シて?シてよ…」
「ハァ」と深く息を吐いて「しょうがないなぁ」と永那が不機嫌そうに言う。

子宮が押され、ぐわんと視界が歪んだ。
「ぁあッ」
散々焦らされた体は、一瞬で絶頂に達する。
穂が胸を揉む。
突起を咥えられ、刺激される。
「んっ…ハァッあっ、ぁぁッ」
クチュクチュと音が鳴り始め、脳が痺れる。
永那はあたしの奥を撫で続け、同時に外側から子宮が押された。
汗が流れ始める。
もう1度イって、それでも2人は止まらなくて、またイっても、やっぱり止まらない。
昨日は、多少はイくまでに間隔があったのに、今日は…もう、イってるのか、そうじゃないのか、わからなくなる。
ぐちゃぐちゃの感覚に、動揺する暇も与えられない。
永那が外に出たと思ったら、一息つく間もなく、鋭敏な刺激が全身を駆け巡る。
「ぁっ、だめっ…んッ、んんっ…あぁッ」
「私、下手?」
「んんっ…んんッぁっ」
首を横に振るけど、そんなの無意味だ。
「下手だからさ、イってるかどうかもわかんないや」

永那は人をイジメたりしない。
どんなにからかわれても、どんなに酷い言葉を投げかけられても、笑う。
でも、その目はいつも笑っていなくて、瞳孔は、底の見えない暗闇のように深い色をしていた。
そして、その相手が痛い目に合っていたり、自分に惚れたりすると、心底嬉しそうに笑うんだ。
心底嬉しそうだけど、歪に、笑うんだ。
痛い目に合った相手には優しく手を差し伸べる。
それは神様みたいに思えるかもしれないけど、永那にとっては、復讐なんだ。
“復讐”という言葉ほどの重みはない。
永那からすれば、きっとゲームみたいな感覚。
あたしが嘘をつくから、ゲーム感覚で、お仕置きする。
あたしの嘘と、もっと酷い言葉を投げかけるような人の言葉は、永那にとっては同程度の重みしかない。
“嫌だな~”と思って、淡々とそれを矯正する。

「ぁぁあッ…ハァッぁっ、ご…っ、ごめ…ハァッあっ」
ガクガクと全身が痙攣して、まともに呼吸もできない。
「ごめんッ…ぁあっ…ごめんな、さいッ…ハァッ」
永那がまたなかに入ってくる。
「んー?」
「あッ…ん゛んっ、ハァッぁっ…永那ッ」

コンコンコンとドアが鳴る。
2人の動きが止まって、やっと空気を吸い込む。
時計を見ると、もう9時だった。
「私が行くね」
穂が立ち上がって、ベッドルームのドアが閉まる。

「嘘つきは泥棒のはじまりだぞ」
「ごめん…なさい…」
「うん、良い子良い子」
彼女は自分の指を舐めて、洗面台からタオルを持ってきてくれた。
「気持ち良かった?」
「…疲れた」
「穂と感想が同じだな」
「永那は…ハァッ、こんなに気持ちがわかんないから…」
「わからないね」
「…好き」
「ん」
「永那は?あたしのこと、好き?」
「好きだって。昨日言ったじゃん」
「昨日じゃなくて、今日聞きたいの」
「ふーん」
「好きって言ってくれないから…ムード作れないんじゃないの?」
「そうなの?」
「知らない」
「じゃあ…次からは、そうしてみるよ」
あたしが握っていたタオルを奪って、額を拭いてくれる。

彼女の顔が近づいたと思ったら、そっと口づけされた。
「好きだよ」
囁くように言われて、子宮がキュゥッと締まる。
「な、なんで…」
「ん?」
「なんで、最初にそう言ってくれないの?」
「ハハッ」と彼女が楽しそうに笑った。
「お前が言わないから」
「言ったじゃん…」
「あ、そっか」
「バカ…」
「そういや、穂にはいつも“好き”って言ってる。…ってことは、穂との時は、既にムード作れてたってこと?」
「穂が満足してるなら、そうなんじゃない?」
「ふーん。勉強になったわ」

ドアが開く。
「永那ちゃん、千陽。朝食の準備してもらったよ。食べよ?」
「おー!」
あたしは、怠い体をなんとか起こして、立ち上がった。
感想 56

あなたにおすすめの小説

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話

穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! ✽全28話完結 ✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 ✽他誌にも掲載中です。 ✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。 →表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

身体だけの関係です‐三崎早月について‐

みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」 三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。 クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。 中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。 ※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。 12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。 身体だけの関係です 原田巴について https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789 作者ツイッター: twitter/minori_sui

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。