460 / 595
7.向
459.バランス
仕方ない。
あたしの家族はそういう関係で成り立っている。
パパもママもあたしも、それぞれが抱いている本当の気持ちとか、そういうのを知りたがらない。
表面上、ニコニコ笑って、ハッピーに過ごせればそれでいい。
パパはあたしとママをお人形かペットくらいにしか思っていない。
ママは、あたしが小さい頃はペットみたいに可愛がってくれていたけど、あたしが大きくなって飽きると、ただの同居者扱い。…たまに、友達っぽくもあるけど。
ママにとってパパは、可愛がってくれて、お金をくれて、自由をくれる存在。
昔は構ってもらえなくて寂しそうにしていたけど、彼氏を作るようになってからは、そんな素振りもほとんどなくなった。
あたしは…パパとママのこと、ただ血が繋がってるだけの関係としか思っていない。
パパとママのことを知りたいとも思わないし、知ろうとしたところで、あの人達は教える気なんてないんだろう。
しつこく知ろうとすれば、きっと突き放される。
とても自分の娘を見るような目じゃない、冷たい目で、あたしを見る。
だからあたしはあの人達を知りたいとは思わない。
フゥーッと息を吐き出して、ベッドに寝転ぶ。
こんなくだらないことを考えるのはやめよう。
せっかく幸せな1日を過ごせたのに、こんなこと考えてたら台無し。
パパから指定された対価が“パーティ”だったから、ついこんなことを考えちゃうんだ。
でも…次のパーティはひとりぼっちじゃない。
穂も永那も来てくれる…!
嬉しい!
枕に顔を突っ伏して、足をバタバタと動かす。
「ん~!!!」
思い出しただけで幸せ。
昨日も、今朝も、人生で1番幸せだった。
あたし、されるのも好きだけどする方が好きなのかな…?
永那があたしのことを見てくれたと思った瞬間、されたいよりもしたいと思った。
いつかの時のために、覚えておこ。
あんなに満たされたはずなのに、もう2人に会いたくてたまらない。
床に置いていたバッグからスマホを出す。
永那から写真が送られてきていた。
…写真撮られるのにも、もうだいぶ緊張しなくなった。
スマホを裏返して、穂と撮ったプリクラを見る。
“お守り”。
穂が言った通り。
あたしにとって、この写真の数々も、お守りだ。
人が怖くなって、怯えて暮らして、自分で自分を守る方法がわからなくて、永那に頼って、その永那すらあたしの前からいなくなってしまうのだと、胸が張り裂けそうになる夜もあった。
でも今は、こんなに幸せ。
普通の、怯えない学校生活が送れるようになった。
写真に写れるようになった。
心から友達だと思える人ができた。
ずっと知りたかった永那のことを知れた。
あたしのことを受け止めてくれる穂に、出会えた。
「ハァ…好き…」
もう、家ついてるよね…?
穂に電話をかける。
「千陽、どうしたの?」
「好き」
穂が笑う。
ああ…好き…。
「私も好きだよ、千陽」
目を閉じる。
この時間が好き。
「会いたい」
「さっきまで会ってたのに?」
「会いたいの」
「春休み…家に来る?」
「いいの?」
「永那ちゃんに聞いてみるけど、たぶん大丈夫だと思うよ」
「楽しみ」
「あ!あの!永那ちゃんに、聞いてみるから…」
「うん」
「その…もし、だめだったら…ごめんね?」
「うん」
可愛い。
「何してたの?」
「今から勉強しようと思ってたよ。さっきまでご飯食べてた」
「ご飯…」
「うん。千陽は?」
「まだ食べてない。お腹すいたかも」
「ちゃんと食べてよ?」
「うん。穂のご飯食べたい」
「今度家に来たら作ってあげるね」
「嬉しい。好き」
フフッと彼女が笑う。
「私も」
「ちゃんと言って?」
「好きだよ、千陽」
「昨日の穂、すごい可愛かった」
「え!?…あ、ありがとう。千陽も、なんか、モデルさんみたいで綺麗だった」
「そ?嬉し。…永那、また3人でシてくれるって」
「そ、そうなんだ」
「穂は、シたい?」
「…うん。楽しかったよ」
頬が緩む。
「ねえ?」
「ん?」
「2人でもシたい。…ダメ?」
「え、永那ちゃんに…聞いてみる…」
「穂は最近そればっか。穂の意思はないの?」
「ん!?ん~…えっと…」
「穂は、シたい?シたくない?」
「し、シたいよ…」
「やった。じゃあ、出来るようになんとかして?」
「なんとか…」
「そ」
「頑張ってみるね」
「うん。…好き」
「好き」
「大好き」
「私も大好き」
「ご飯食べてくる」
「わ…あ!うん!」
「今“私も”って言おうとした?」
「だ、だって…いつも“愛してる”って言われるから…」
「穂、油断しすぎ」
「ご、ごめんね…」
「いいよ。愛してる」
「私も…愛してるよ…」
“愛してるよ”だけ小声になるのが、最高に可愛い。
「切るね」
「うん。またね」
通話終了のボタンをタップする。
リビングに行くと、ママがどこかから取り寄せたローフードがテーブルに置かれていた。
「食べていいの?」と聞くと、スマホを見ながら頷かれる。
…やっぱり、穂のご飯が好き。
あたしの家族はそういう関係で成り立っている。
パパもママもあたしも、それぞれが抱いている本当の気持ちとか、そういうのを知りたがらない。
表面上、ニコニコ笑って、ハッピーに過ごせればそれでいい。
パパはあたしとママをお人形かペットくらいにしか思っていない。
ママは、あたしが小さい頃はペットみたいに可愛がってくれていたけど、あたしが大きくなって飽きると、ただの同居者扱い。…たまに、友達っぽくもあるけど。
ママにとってパパは、可愛がってくれて、お金をくれて、自由をくれる存在。
昔は構ってもらえなくて寂しそうにしていたけど、彼氏を作るようになってからは、そんな素振りもほとんどなくなった。
あたしは…パパとママのこと、ただ血が繋がってるだけの関係としか思っていない。
パパとママのことを知りたいとも思わないし、知ろうとしたところで、あの人達は教える気なんてないんだろう。
しつこく知ろうとすれば、きっと突き放される。
とても自分の娘を見るような目じゃない、冷たい目で、あたしを見る。
だからあたしはあの人達を知りたいとは思わない。
フゥーッと息を吐き出して、ベッドに寝転ぶ。
こんなくだらないことを考えるのはやめよう。
せっかく幸せな1日を過ごせたのに、こんなこと考えてたら台無し。
パパから指定された対価が“パーティ”だったから、ついこんなことを考えちゃうんだ。
でも…次のパーティはひとりぼっちじゃない。
穂も永那も来てくれる…!
嬉しい!
枕に顔を突っ伏して、足をバタバタと動かす。
「ん~!!!」
思い出しただけで幸せ。
昨日も、今朝も、人生で1番幸せだった。
あたし、されるのも好きだけどする方が好きなのかな…?
永那があたしのことを見てくれたと思った瞬間、されたいよりもしたいと思った。
いつかの時のために、覚えておこ。
あんなに満たされたはずなのに、もう2人に会いたくてたまらない。
床に置いていたバッグからスマホを出す。
永那から写真が送られてきていた。
…写真撮られるのにも、もうだいぶ緊張しなくなった。
スマホを裏返して、穂と撮ったプリクラを見る。
“お守り”。
穂が言った通り。
あたしにとって、この写真の数々も、お守りだ。
人が怖くなって、怯えて暮らして、自分で自分を守る方法がわからなくて、永那に頼って、その永那すらあたしの前からいなくなってしまうのだと、胸が張り裂けそうになる夜もあった。
でも今は、こんなに幸せ。
普通の、怯えない学校生活が送れるようになった。
写真に写れるようになった。
心から友達だと思える人ができた。
ずっと知りたかった永那のことを知れた。
あたしのことを受け止めてくれる穂に、出会えた。
「ハァ…好き…」
もう、家ついてるよね…?
穂に電話をかける。
「千陽、どうしたの?」
「好き」
穂が笑う。
ああ…好き…。
「私も好きだよ、千陽」
目を閉じる。
この時間が好き。
「会いたい」
「さっきまで会ってたのに?」
「会いたいの」
「春休み…家に来る?」
「いいの?」
「永那ちゃんに聞いてみるけど、たぶん大丈夫だと思うよ」
「楽しみ」
「あ!あの!永那ちゃんに、聞いてみるから…」
「うん」
「その…もし、だめだったら…ごめんね?」
「うん」
可愛い。
「何してたの?」
「今から勉強しようと思ってたよ。さっきまでご飯食べてた」
「ご飯…」
「うん。千陽は?」
「まだ食べてない。お腹すいたかも」
「ちゃんと食べてよ?」
「うん。穂のご飯食べたい」
「今度家に来たら作ってあげるね」
「嬉しい。好き」
フフッと彼女が笑う。
「私も」
「ちゃんと言って?」
「好きだよ、千陽」
「昨日の穂、すごい可愛かった」
「え!?…あ、ありがとう。千陽も、なんか、モデルさんみたいで綺麗だった」
「そ?嬉し。…永那、また3人でシてくれるって」
「そ、そうなんだ」
「穂は、シたい?」
「…うん。楽しかったよ」
頬が緩む。
「ねえ?」
「ん?」
「2人でもシたい。…ダメ?」
「え、永那ちゃんに…聞いてみる…」
「穂は最近そればっか。穂の意思はないの?」
「ん!?ん~…えっと…」
「穂は、シたい?シたくない?」
「し、シたいよ…」
「やった。じゃあ、出来るようになんとかして?」
「なんとか…」
「そ」
「頑張ってみるね」
「うん。…好き」
「好き」
「大好き」
「私も大好き」
「ご飯食べてくる」
「わ…あ!うん!」
「今“私も”って言おうとした?」
「だ、だって…いつも“愛してる”って言われるから…」
「穂、油断しすぎ」
「ご、ごめんね…」
「いいよ。愛してる」
「私も…愛してるよ…」
“愛してるよ”だけ小声になるのが、最高に可愛い。
「切るね」
「うん。またね」
通話終了のボタンをタップする。
リビングに行くと、ママがどこかから取り寄せたローフードがテーブルに置かれていた。
「食べていいの?」と聞くと、スマホを見ながら頷かれる。
…やっぱり、穂のご飯が好き。
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。