いたずらはため息と共に

常森 楽

文字の大きさ
475 / 595
7.向

474.序開

■■■

いよいよ、待ちに待った高校生活!
無事、永那えな先輩と同じ高校に入学できて、ワクワクする気持ちが止まらない。
中学は学校が違ったし、が永那先輩と話せたのなんてたった3回。
だから絶対に高校は同じが良かった。
でも永那先輩の学校の先生に聞いても、友達に聞いても、なかなか先輩の進学した高校がわからなかった。
永那先輩の家もわからなかったし、連絡先も当然知らなかったし、ひたすら永那先輩が通っていた中学の周辺を歩き回った。
苦労の甲斐あって、運命的に永那先輩を見つけた時は感動した!
写真を撮って、制服を調べて、やっとわかった。
念のためSNSでも確認すると、ビンゴ!
たくさんの永那先輩が出てきて、感動した。
全部の写真を保存した。
きっと先輩も、ひそかと会えなくて寂しかったはず。
“どうしてひそかと連絡先交換しなかったんだろう?”って後悔してるはず。
もう先輩の家も把握済みだし、サプライズで「先輩と同じ高校に進学します!」と宣言しに行っても良かったんだけど、偶然を演出したほうが永那先輩が喜ぶと思って、やめた。

ハンガーラックに掛かった高校の制服を抱きしめる。
「ひそか…この際だからハッキリ言うけど、たぶん、先輩はひそかのこと、覚えてないと思うよ」
突然、友達が言った言葉が蘇って腸が煮えくり返る。
「うるさい!黙れ!何も知らないくせに!」
ドンドンと床を足で叩く。
「ひそか…?大丈夫…?」
声をかけられ、部屋のドアを睨む。
「大丈夫…。気にしないで」
お母さんがドアのそばから離れる気配がして、ふぅっと息をつく。
そんなわけないじゃん!先輩は…先輩は“ひそか”って笑ってくれた!
高校でひそかに会ったら、先輩は優しい笑みを浮かべて、頭を撫でてくれて「頑張ったね。会いたかったよ」って言ってくれる。
それで「高校教えられなくてごめんね」って謝ってくれるんだ。
そしたらひそかは「寂しかったです」って俯いて、彼女が抱きしめてくれる。
「これからは一緒だね」って笑ってくれる…!

初めて永那先輩と会った時、“この人がひそかの運命の人だ!”って直感した。
よく、そういう話って聞くけど、まさか自分も運命の人に出会えるなんて思いもしなかった。
…いや、どこかでわかっていたのかもしれない。
小学生の時から“ひそかはみんなとは違う”って、心のどこかでわかっていたから。
出会いも、まさに運命的!
友達が永那先輩と同じ中学校だった。
ひそかはあんまり覚えていなかったけど、友達は幼稚園が一緒だった。
お母さん同士が仲良しで、その子が引っ越してからも、お母さんは連絡を取っていたらしい。
中学生になって、友達一家が近くの街に戻ってきたと知って、お母さんと4人で久々の再会。
自然とひそか達も、また仲良くするようになった。
夏休みの旅行のお土産を渡してきてほしいとお母さんに頼まれ、約束もせず、友達の家に行った。
そこに、永那先輩はいた。
“雷に打たれたような衝撃”とはまさにこのこと。
妖艶なオーラを纏った先輩がひそかを見つめて、ひそかも先輩から目が離せなくて……あぁっ、思い出しただけであの時の感覚が鮮明に蘇る。
久しぶりの友人との再会。そこから繋がった先輩との出会い。
こんなにも運命的なことってないよね!?

最初は緊張して、何も喋れなかった。
何を喋ったのかも思い出せない。
ドキドキして、自分の心臓の音で何も聞こえていなかったかもしれない。
先輩が先に帰った後、ひそかは友達に先輩のことを根掘り葉掘り聞いた。
永那先輩は運動が出来て、毎年体育祭で大活躍。
頭も良いらしく、いつも成績がトップクラス。
元軽音部でギターが弾けて、歌も上手い!
誰にでも分け隔てなく接してくれて、話も面白くて、優しくて、とても欠点なんて見当たらない。
ひそかの運命の人なんだから、それくらい当然だよね…!
当然モテモテで、強いて欠点を挙げるなら、恋人を取っ替え引っ替えしていること。
…でも、それは先輩が運命の人に出会えてなかったからであって、ひそかに運命を感じた先輩が、これからもそれを続けるとは思えなかった。

「ひそか…!」
友達がひそかの肩を揺さぶった。
「なに?」
「私…先輩のこと好きなんだ…」
真っ赤に顔を染めて、彼女がひそかに打ち明けた。
「だ、だから…もし、ひそかが先輩のことを好きになっても、私、応援できない」
その真剣な眼差しに、思わず大声を出して笑ってしまった。
「ひ、ひそか…?なんで笑うの?」
「ごめんごめんっ、気にしないで」
友達は怪訝そうな顔をしたけど、何も言ってこなかった。
ひそかが永那先輩の運命の人なんだから、応援されようがされまいが関係ない。
友達もその他大勢も、先輩のキラキラした青春の一部でしかないのだと考えると、笑えた。
将来、先輩と思い出話を語って笑い合うの。
「あ~、そんな人もいたね~」とかって。
「その子のおかげで運命の相手ひと、ひそかと出会えたんだから、感謝しなきゃね」って、先輩に抱きしめられるの。
感想 56

あなたにおすすめの小説

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話

穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。

会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)

久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。 しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。 「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」 ――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。 なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……? 溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。 王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ! ✽全28話完結 ✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。 ✽他誌にも掲載中です。 ✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。 →表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

〈社会人百合〉アキとハル

みなはらつかさ
恋愛
 女の子拾いました――。  ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?  主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。  しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……? 絵:Novel AI

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

身体だけの関係です‐三崎早月について‐

みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」 三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。 クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。 中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。 ※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。 12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。 身体だけの関係です 原田巴について https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789 作者ツイッター: twitter/minori_sui

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。