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9.移ろい
484.新学年
■■■
2年生から3年生に進級する時、私の学校ではクラス替えがない。
つまり、私は自分のクラスを、学校に行かずとも知っている。
春はとても眠い。
太陽の光がポカポカしてて心地いいし、風は暑くも寒くもなく、ちょうどいい。
花粉症の人達は大変そうだけど、私は花粉症じゃないから、春はただただ気持ち良い季節だ。
(よくくしゃみは出るけど、花粉症とは認めていない。4月に入ってからほとんどしなくなったし)
始業式なんか面倒。
どうして校長の話を長々と聞かなきゃいけないのか、全く理解できない。
新しい教材を入手しなければならないから、学校に行きはするけど、始業式はサボりたい。
1年生から2年生に上がる時も、始業式はサボった。
でも、穂に怒られるから、今回は出席。
“校長って、結構良いこと言ってたんだな~”と思いながら、時間が過ぎるのを待った。
後ろの学籍番号の女子が、暇になってか、私に抱きついてくる。
穂と千陽がそばにいないタイミングだからなのか、いつもこうしてくる。
「やめろって」
小声で言うけど、彼女はいつもやめない。
「永那~、春休みも会えなかった~。最近ノリ悪い~。1年の時は違ったじゃん」
高1の時から同じクラスなのは、この女子、八嶋 燈夏と、千陽と優里と、男子1人。
「しょうがないじゃん。私、大事な彼女いるし」
「恋人出来て友達との関係疎かにするとか、嫌われるよ?」
「燈夏は私のこと嫌いになったの?」
「なってない、けど…」
「けど?」
燈夏が私の腕をペシッと叩く。
答えは返ってこない。
穂が嫌いなタイプの人間。
私が穂と付き合う前までは、千陽の取り巻きをやってた奴だ。
千陽が桜と仲良くし始めると「なんであんな子と?」と怪訝そうな顔をしていた。
正直、私も燈夏はあんまり好きなタイプじゃない。
…好きなタイプじゃなくなった、という方が正しいか。
穂と付き合うまで、私には好きなタイプとか嫌いなタイプとか、特になかった。
穂と千陽がすごく影響し合っていると思っていたけど、気づかない内に、私も穂に影響を受けていたんだと知る。
っていうか、元々そんなに好きじゃなかったのが、穂を好きになったことによって浮き彫りになったって感じなのかな。
燈夏を見てると、穂と仲良くなる前の千陽、そのまんまだ。
嘘っぽい笑み、嘘っぽい口調、嘘っぽい仕草、どれも苦手。
千陽はオンオフがハッキリしてたから、まだマシだった。
千陽、私以外にはぶりっ子しないんだもん。
何をしたいんだか、さっぱりわからなかった。
まあ…そりゃ、私に好かれたかったんだろうけど。
でも燈夏は、全員に対してこんな感じだ。
燈夏が“苦手”だという穂や桜に話しかけなきゃいけない時、彼女は作り笑いをする。
まるで友達みたいな顔して話す。
裏では…悪口とまではいかないまでも、彼女達のことを良いようには言っていなかったのに。
大体の人は、裏と表があるんだろう。
穂みたいに真っ直ぐ、素直に生きられる強い人間はそんなに多くはない。
だからそれを悪いことだとは思わない。
人と接していれば、時には自分の気持ちを押し殺して気遣う必要があるのはわかる。
言葉を使うのではなく、察した方が良い時もあるんだろう。
気遣って欲しい、察して欲しい人も、たくさんいるからこそ、需要と供給が成り立っているんだ。
だからこれは、単純に好みの問題だ。
同族嫌悪とも言うのかな。
私は、穂が好き。
今の千陽が好きだし、気遣いはできるけど天然でたまにアホな優里も好き。
桜はまだよくわかんないけど、少なくとも嘘つかれてる感じはしない。
千陽が気に入ってるんだし、良い子なんだろう。たぶん私も好きだ。
目の前に立つ桜の背中をジッと見た。
始業式が終わり、対面式が始まる。
今まで正面にあるステージの上を見ていたけど、全員後ろを向いて、出入り口を見た。
やっと燈夏のハグから解放される。
新1年生が入ってくる。
どこか緊張した面持ちの子もいれば、楽しそうにしている子もいる。
1クラス入り終えたところで見飽きて、私はボーッとしながら拍手していた。
穂の挨拶だけしっかり聞いて、校歌は口パクして、対面式も無事終了。
部活紹介で穂が生徒会の説明をすると言うから聞きたかったけど、教師に帰れと言われたので渋々帰る。
この後も穂は生徒会の仕事で忙しいらしいから、私はさっさと食堂に行って教材を受け取り、帰ることにした。
2年最後の期末試験、成績落ちてたし、久しぶりにガッツリ勉強をする予定。
図書館でも行こうかな。
ちなみに学校の図書室は友達と遭遇する確率が高いのでやめている。
騒いで、叱られて、追い出されるのがオチだ。
知らなかったけど、桜は漫画研究会に入っているらしい。
たまに自分で描いた漫画や原稿、絵を持ち寄って雑談するだけの会らしく、一応部活紹介にも参加すると言っていた。
優里もバドミントン部の部活紹介がある。
部活紹介でやることを事前に披露されたけど、アホみたいだった。
2年生から3年生に進級する時、私の学校ではクラス替えがない。
つまり、私は自分のクラスを、学校に行かずとも知っている。
春はとても眠い。
太陽の光がポカポカしてて心地いいし、風は暑くも寒くもなく、ちょうどいい。
花粉症の人達は大変そうだけど、私は花粉症じゃないから、春はただただ気持ち良い季節だ。
(よくくしゃみは出るけど、花粉症とは認めていない。4月に入ってからほとんどしなくなったし)
始業式なんか面倒。
どうして校長の話を長々と聞かなきゃいけないのか、全く理解できない。
新しい教材を入手しなければならないから、学校に行きはするけど、始業式はサボりたい。
1年生から2年生に上がる時も、始業式はサボった。
でも、穂に怒られるから、今回は出席。
“校長って、結構良いこと言ってたんだな~”と思いながら、時間が過ぎるのを待った。
後ろの学籍番号の女子が、暇になってか、私に抱きついてくる。
穂と千陽がそばにいないタイミングだからなのか、いつもこうしてくる。
「やめろって」
小声で言うけど、彼女はいつもやめない。
「永那~、春休みも会えなかった~。最近ノリ悪い~。1年の時は違ったじゃん」
高1の時から同じクラスなのは、この女子、八嶋 燈夏と、千陽と優里と、男子1人。
「しょうがないじゃん。私、大事な彼女いるし」
「恋人出来て友達との関係疎かにするとか、嫌われるよ?」
「燈夏は私のこと嫌いになったの?」
「なってない、けど…」
「けど?」
燈夏が私の腕をペシッと叩く。
答えは返ってこない。
穂が嫌いなタイプの人間。
私が穂と付き合う前までは、千陽の取り巻きをやってた奴だ。
千陽が桜と仲良くし始めると「なんであんな子と?」と怪訝そうな顔をしていた。
正直、私も燈夏はあんまり好きなタイプじゃない。
…好きなタイプじゃなくなった、という方が正しいか。
穂と付き合うまで、私には好きなタイプとか嫌いなタイプとか、特になかった。
穂と千陽がすごく影響し合っていると思っていたけど、気づかない内に、私も穂に影響を受けていたんだと知る。
っていうか、元々そんなに好きじゃなかったのが、穂を好きになったことによって浮き彫りになったって感じなのかな。
燈夏を見てると、穂と仲良くなる前の千陽、そのまんまだ。
嘘っぽい笑み、嘘っぽい口調、嘘っぽい仕草、どれも苦手。
千陽はオンオフがハッキリしてたから、まだマシだった。
千陽、私以外にはぶりっ子しないんだもん。
何をしたいんだか、さっぱりわからなかった。
まあ…そりゃ、私に好かれたかったんだろうけど。
でも燈夏は、全員に対してこんな感じだ。
燈夏が“苦手”だという穂や桜に話しかけなきゃいけない時、彼女は作り笑いをする。
まるで友達みたいな顔して話す。
裏では…悪口とまではいかないまでも、彼女達のことを良いようには言っていなかったのに。
大体の人は、裏と表があるんだろう。
穂みたいに真っ直ぐ、素直に生きられる強い人間はそんなに多くはない。
だからそれを悪いことだとは思わない。
人と接していれば、時には自分の気持ちを押し殺して気遣う必要があるのはわかる。
言葉を使うのではなく、察した方が良い時もあるんだろう。
気遣って欲しい、察して欲しい人も、たくさんいるからこそ、需要と供給が成り立っているんだ。
だからこれは、単純に好みの問題だ。
同族嫌悪とも言うのかな。
私は、穂が好き。
今の千陽が好きだし、気遣いはできるけど天然でたまにアホな優里も好き。
桜はまだよくわかんないけど、少なくとも嘘つかれてる感じはしない。
千陽が気に入ってるんだし、良い子なんだろう。たぶん私も好きだ。
目の前に立つ桜の背中をジッと見た。
始業式が終わり、対面式が始まる。
今まで正面にあるステージの上を見ていたけど、全員後ろを向いて、出入り口を見た。
やっと燈夏のハグから解放される。
新1年生が入ってくる。
どこか緊張した面持ちの子もいれば、楽しそうにしている子もいる。
1クラス入り終えたところで見飽きて、私はボーッとしながら拍手していた。
穂の挨拶だけしっかり聞いて、校歌は口パクして、対面式も無事終了。
部活紹介で穂が生徒会の説明をすると言うから聞きたかったけど、教師に帰れと言われたので渋々帰る。
この後も穂は生徒会の仕事で忙しいらしいから、私はさっさと食堂に行って教材を受け取り、帰ることにした。
2年最後の期末試験、成績落ちてたし、久しぶりにガッツリ勉強をする予定。
図書館でも行こうかな。
ちなみに学校の図書室は友達と遭遇する確率が高いのでやめている。
騒いで、叱られて、追い出されるのがオチだ。
知らなかったけど、桜は漫画研究会に入っているらしい。
たまに自分で描いた漫画や原稿、絵を持ち寄って雑談するだけの会らしく、一応部活紹介にも参加すると言っていた。
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