554 / 595
9.移ろい
487.新学年
チャイムが鳴って、私達は席に戻る。
「ねえっ、なに話してたのっ?」
燈夏が聞いてくるから「燈夏と勉強するって報告してただけ」と答えた。
授業中、ウトウトしていると背中を突かれる。
「なに?」と小声で聞いても、燈夏は楽しそうに笑うだけで、何も答えない。
…面倒だ。
早く席替えしたい。
桜の小さな背中を見ながら、眠りについた。
目覚めると、もう昼休みだった。
穂に起こされる前に起きたから、起こしてもらえなくて残念だった。
みんなで食堂に行く。
千陽は普段はコンビニでお昼を買ってるけど、今日は学食にするらしく、日替わり定食を注文していた。
私はいつも通り購買でパンを1つ買う。
穂、優里、桜はお弁当だ。
あー、穂のお弁当食べたいな。
「今日から新入生の体験入部が始まるね!いっぱい来るといいな~」
優里が話し始める。
「バドミントン部の部活動紹介凄かったね。みんなでジャグリングして、見てて楽しかったよ」
穂が本当に楽しそうに思い出しながら言う。
「優里がひとりでやって見せてくれた時はアホみたいだったけど…そんな凄かったの?」
「アホ!?アホって言った!?私が頑張って披露したのに!!永那と千陽は見れないからって、頑張ったのに!!」
優里は足をバタバタさせて抗議し、穂がそれに苦笑する。
「本当に、凄かったよ。生徒会も、ああいう出し物をすれば人が来てくれるのかな?」
バドミントンのシャトルをジャグリングするという謎のショーだったけど、案外大勢でやれば綺麗に見えるのかな?
想像してみたけど、よくわからないから、すぐに考えるのをやめた。
「そういえば、1人、生徒会に興味を持ってくれてる子がいるんだ」
「え!?穂ちゃんは既に1人確保済みか…」
「あたしが1年だったら穂目的で生徒会入るし、あり得る」
「私目的?」
穂の瞳が弧を描く。
…可愛いなあ。
千陽が頬杖をついて穂を見つめてるから、きっと私と同じことを思っているんだと、すぐわかる。
「あ…!」
穂が遠くを見るから、全員が視線をそちらに遣る。
「あの子!」
見覚えのある子。
目が合って、その子の顔がパッと明るくなる。
「中川ひそかさんって言うんだけど…」
穂が小さく手を振ると、彼女は小走りにこちらにやって来た。
隣には、始業式の日にいた子もいる。
「中川さん」
「あ…こ、こんにちは、空井先輩」
チラチラ私を見るから、明らかに不自然だ。
まさか穂とこの子に接点があったとは…。
「今日、体験に来るんだよね?」
「は、はい!その、予定です」
「隣の子は…」
「私、飯田 杏奈です。先輩方、よろしくお願いします。今日、私も生徒会の体験行ってみようかなって思ってるんです」
「本当!?」
穂がパチッと両手を合わせて、まるで顔の周りに花でもチラチラ浮いているみたいに喜ぶ。
「あ、あの…」
私がパンを一口噛じると、中川さんと目が合った。
「永那先輩はっ、部活動、してないんですかっ?」
噛まずにパンを飲み込んだ。
咽て、水をゴクゴク飲む。
「え!?永那ちゃん知り合いなの?」
穂が背中を撫でてくれる。
「あー…」
ゲホゲホと咳をしながら、助けを求めて千陽を見るけど、首を傾げられた。
それはそれは酷く冷たい目をしていた。
千陽も知らない子なの!?どうすればいいの!?
一応、同じ中学だった桜も見てみるけど、キョトンとした顔をされた。
そう。同じ中学ではなかったことはわかっているんだよ。
「あー。えっと…私は、部活はしてないんだ」
「…そう、ですか」
「永那ちゃん、どういう知り合い?」
穂~…勘弁してくれ~…。
「あの!…中学の時の友達が、永那先輩と、同じ学校だったんだよね?」
飯田さんが教えてくれる。
落ち込む中川さんに確認するように。
…やっぱり!友達の友達ってやつか!
関係持ってなかった上に、そんな遠い間柄じゃ、覚えてないに決まってる…。
いや!最低な考えだってわかってるから!でもしょうがないじゃん!
「へえ…永那ちゃんは交友関係が広いんだね」
穂が純粋に、真面目に言ってくるけど、皮肉にも思えて勝手に落ち込む。
「ひそかちゃん、永那先輩と同じ高校に入りたくて、ここ受験したんだそうです。通学時間1時間以上なのに、すごくないですかっ?」
飯田さんが愛想の良い笑顔で言う。
みんなからの視線が急に痛い…。
やめてくれっ、これ以上はもう、やめてくれっ。
あらぬ誤解をされている…!
私がピュアな中川さんを誑かして忘れてる、酷い奴みたいじゃん…!
誑かしてないよ!?…たぶん。
…もう、こうなったら、この場を借りて真相を突き止めるしかない。
これ以上長引かせる必要もないだろう。
どうせ思い出せないんだから。
「ちなみに…その、私と同じ中学だった友達の名前は…?」
中川さんの目の周りが真っ赤に染まっていく。
瞳に涙が溜まっていき、瞬きをしたら零れてしまいそうだ。
「あ…!ほら、一応…ね?確認、確認」
引きつった笑みを作る。
「ねえっ、なに話してたのっ?」
燈夏が聞いてくるから「燈夏と勉強するって報告してただけ」と答えた。
授業中、ウトウトしていると背中を突かれる。
「なに?」と小声で聞いても、燈夏は楽しそうに笑うだけで、何も答えない。
…面倒だ。
早く席替えしたい。
桜の小さな背中を見ながら、眠りについた。
目覚めると、もう昼休みだった。
穂に起こされる前に起きたから、起こしてもらえなくて残念だった。
みんなで食堂に行く。
千陽は普段はコンビニでお昼を買ってるけど、今日は学食にするらしく、日替わり定食を注文していた。
私はいつも通り購買でパンを1つ買う。
穂、優里、桜はお弁当だ。
あー、穂のお弁当食べたいな。
「今日から新入生の体験入部が始まるね!いっぱい来るといいな~」
優里が話し始める。
「バドミントン部の部活動紹介凄かったね。みんなでジャグリングして、見てて楽しかったよ」
穂が本当に楽しそうに思い出しながら言う。
「優里がひとりでやって見せてくれた時はアホみたいだったけど…そんな凄かったの?」
「アホ!?アホって言った!?私が頑張って披露したのに!!永那と千陽は見れないからって、頑張ったのに!!」
優里は足をバタバタさせて抗議し、穂がそれに苦笑する。
「本当に、凄かったよ。生徒会も、ああいう出し物をすれば人が来てくれるのかな?」
バドミントンのシャトルをジャグリングするという謎のショーだったけど、案外大勢でやれば綺麗に見えるのかな?
想像してみたけど、よくわからないから、すぐに考えるのをやめた。
「そういえば、1人、生徒会に興味を持ってくれてる子がいるんだ」
「え!?穂ちゃんは既に1人確保済みか…」
「あたしが1年だったら穂目的で生徒会入るし、あり得る」
「私目的?」
穂の瞳が弧を描く。
…可愛いなあ。
千陽が頬杖をついて穂を見つめてるから、きっと私と同じことを思っているんだと、すぐわかる。
「あ…!」
穂が遠くを見るから、全員が視線をそちらに遣る。
「あの子!」
見覚えのある子。
目が合って、その子の顔がパッと明るくなる。
「中川ひそかさんって言うんだけど…」
穂が小さく手を振ると、彼女は小走りにこちらにやって来た。
隣には、始業式の日にいた子もいる。
「中川さん」
「あ…こ、こんにちは、空井先輩」
チラチラ私を見るから、明らかに不自然だ。
まさか穂とこの子に接点があったとは…。
「今日、体験に来るんだよね?」
「は、はい!その、予定です」
「隣の子は…」
「私、飯田 杏奈です。先輩方、よろしくお願いします。今日、私も生徒会の体験行ってみようかなって思ってるんです」
「本当!?」
穂がパチッと両手を合わせて、まるで顔の周りに花でもチラチラ浮いているみたいに喜ぶ。
「あ、あの…」
私がパンを一口噛じると、中川さんと目が合った。
「永那先輩はっ、部活動、してないんですかっ?」
噛まずにパンを飲み込んだ。
咽て、水をゴクゴク飲む。
「え!?永那ちゃん知り合いなの?」
穂が背中を撫でてくれる。
「あー…」
ゲホゲホと咳をしながら、助けを求めて千陽を見るけど、首を傾げられた。
それはそれは酷く冷たい目をしていた。
千陽も知らない子なの!?どうすればいいの!?
一応、同じ中学だった桜も見てみるけど、キョトンとした顔をされた。
そう。同じ中学ではなかったことはわかっているんだよ。
「あー。えっと…私は、部活はしてないんだ」
「…そう、ですか」
「永那ちゃん、どういう知り合い?」
穂~…勘弁してくれ~…。
「あの!…中学の時の友達が、永那先輩と、同じ学校だったんだよね?」
飯田さんが教えてくれる。
落ち込む中川さんに確認するように。
…やっぱり!友達の友達ってやつか!
関係持ってなかった上に、そんな遠い間柄じゃ、覚えてないに決まってる…。
いや!最低な考えだってわかってるから!でもしょうがないじゃん!
「へえ…永那ちゃんは交友関係が広いんだね」
穂が純粋に、真面目に言ってくるけど、皮肉にも思えて勝手に落ち込む。
「ひそかちゃん、永那先輩と同じ高校に入りたくて、ここ受験したんだそうです。通学時間1時間以上なのに、すごくないですかっ?」
飯田さんが愛想の良い笑顔で言う。
みんなからの視線が急に痛い…。
やめてくれっ、これ以上はもう、やめてくれっ。
あらぬ誤解をされている…!
私がピュアな中川さんを誑かして忘れてる、酷い奴みたいじゃん…!
誑かしてないよ!?…たぶん。
…もう、こうなったら、この場を借りて真相を突き止めるしかない。
これ以上長引かせる必要もないだろう。
どうせ思い出せないんだから。
「ちなみに…その、私と同じ中学だった友達の名前は…?」
中川さんの目の周りが真っ赤に染まっていく。
瞳に涙が溜まっていき、瞬きをしたら零れてしまいそうだ。
「あ…!ほら、一応…ね?確認、確認」
引きつった笑みを作る。
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。