579 / 595
9.移ろい
512.パーティ
しおりを挟む
「金井さん、おはよう」
「おはようございます。…どうぞ」
お茶の入ったコップを渡される。
「ありがとう」
「ところで、両角先輩とお話させてもらえる機会、いつ作ってくれます?」
「あ…忘れてた…」
「先輩…先輩のくせに仕事が遅いですね?」
「…ごめんなさい」
金井さんに睨まれる。
「昨日、永那ちゃんの誕生日で…サプライズパーティを計画するのに忙しかったんだよ。生徒会も、やることがたくさんあったし」
「言い訳ですね?」
“うっ…”と顔が引きつる。
手厳しい…。
「永那先輩、誕生日だったんですか!?」
「あ…飯田さん…おはよう」
千陽達が永那ちゃんのストーカーと言っていたから、なんとなく、ほんの少し気まずさを感じる。
飯田さんは、何も気にしていないようだけれど。
「ひそかちゃん!永那先輩の誕生日だったんだって!!プレゼント渡した!?」
中川さんが首をぶんぶん横に振る。
「ヤバいじゃん…!誕生日って、かなり大事なイベントだよ!?」
「あの…2人とも…空井先輩が挨拶をしているのだから、ちゃんと挨拶は返してください。3年生ですよ?」
金井さんが眉間にシワを寄せる。
「あ…すみません。おはようございます」
「…おはよう、ございます」
2人はそれだけ言って、永那ちゃんに渡すプレゼントについて会議を始めた。
巻き込まれそうになったので、私はその場から離れ、ご飯を受け取りに行く。
金井さんが隣を歩く。
「なんか…面倒そうな子達ですね…」
「め、面倒そうって…そんな風に後輩のことを言っちゃダメだよ?」
金井さんの目が細くなる。
「先輩は、人が好いですね」
…皮肉に聞こえる。
「そんなんだから、私にもナメられるんです」
「私、金井さんにナメられてたの?」
「ペロペロキャンディです」
「…ごめん、ちょっと意味がわからない」
その後も、たまに飯田さんに話しかけられた。
永那ちゃんのことを根掘り葉掘り聞かれるので、曖昧に濁して、その度にご飯に逃げた。
2年生の時とは反対に、食べ過ぎてしまった…。
歓迎された1年生の時が、1番普通に楽しめたかも。
バーベキューは4時間ほどでお開きになった。
片付けはみんなで行い、テキパキと進んだ。
「空井先輩!」と駆け寄ってきてくれるのは嬉しいのだけれど、飯田さんの目的は明らかに永那ちゃんで、片付けの最中もたくさん話しかけられて大変だった。
確か…中川さんが永那ちゃんに憧れて、この高校に入ったんじゃなかった?
中川さんよりも、どちらかと言うと飯田さんの方が永那ちゃんのことが気になるみたいだ。
たまに金井さんが助けに入ってくれて、後輩の気遣いに嬉しくもなった。
金井さんは、いつも厳しくて(特別私には)、何を考えているのかよくわからない子…という印象があったけれど、少しずつ、変わっていく。
ぐってりと疲れて、翌日の日曜日は、ついダラけてしまった。
体の疲労が凄くて、勉強をする体力が残っていない。
こんな状態は初めてで、思っていたよりも、自分のキャパシティ以上に頑張っていたのだと知る。
でも…永那ちゃんの喜んだ顔を思い出すと、頬が緩んだ。
頑張って良かったって、心の底から思う。
こんな疲れも悪くないな、なんて思えるから不思議。
そして水曜日、誉の誕生日があった。
誕生日プレゼントに悩むことはなかったけれど、ケーキの予約や簡単な部屋の飾りつけもしたから、これの準備も含めて、今月の私は忙しくしていた。
誉の欲しがっていたゲームソフトをプレゼントすると、さっそく遊び始めて、お母さんと苦笑した。
永那ちゃんや優里ちゃんは、いつ誉の誕生日パーティをしようかと悩んでいた。
もうすぐゴールデンウィークだし、その時にしようか?とか…それじゃあ遅すぎるか?とか…。
でも、土曜日は千陽の家でパーティがある。
休日にするなら、どちらにしてもゴールデンウィークに差し掛かってしまうことは明白だった。
誉も、それでいいと言っていた。
「楽しみ!」と笑顔が弾けたから、私も楽しみになる。
あっという間に土曜日は来て、目が回ってしまいそうだ。
相変わらず優里ちゃんは行けないことを悲しんでいた。
今回は、とりあえず、私と永那ちゃんだけの参加。
主催は千陽ではなく、千陽のお父さんなのだし、私達が大人数で押しかけるのも、あまり良くないのではないかと思ったので、結果的には良かったと思う。
優里ちゃんが行く時には、森山さんと2人で行けば、人数バランスもちょうどいいように思えた。
ホテルに行った日と同じ格好。
永那ちゃんもきっと同じ。
でも、誕生日プレゼントに鞄を貰っていたから、さすがに今回はコンビニの袋では来ないよね?
想像して、笑みが溢れる。
慌てて周りを見渡して、口元を手で隠した。
駅から千陽の家に行くまでの道のりにある公園で、永那ちゃんと待ち合わせ。
公園につくと、既に彼女はそこにいた。
ダルそうにベンチに座って、目を閉じていた。
「おはようございます。…どうぞ」
お茶の入ったコップを渡される。
「ありがとう」
「ところで、両角先輩とお話させてもらえる機会、いつ作ってくれます?」
「あ…忘れてた…」
「先輩…先輩のくせに仕事が遅いですね?」
「…ごめんなさい」
金井さんに睨まれる。
「昨日、永那ちゃんの誕生日で…サプライズパーティを計画するのに忙しかったんだよ。生徒会も、やることがたくさんあったし」
「言い訳ですね?」
“うっ…”と顔が引きつる。
手厳しい…。
「永那先輩、誕生日だったんですか!?」
「あ…飯田さん…おはよう」
千陽達が永那ちゃんのストーカーと言っていたから、なんとなく、ほんの少し気まずさを感じる。
飯田さんは、何も気にしていないようだけれど。
「ひそかちゃん!永那先輩の誕生日だったんだって!!プレゼント渡した!?」
中川さんが首をぶんぶん横に振る。
「ヤバいじゃん…!誕生日って、かなり大事なイベントだよ!?」
「あの…2人とも…空井先輩が挨拶をしているのだから、ちゃんと挨拶は返してください。3年生ですよ?」
金井さんが眉間にシワを寄せる。
「あ…すみません。おはようございます」
「…おはよう、ございます」
2人はそれだけ言って、永那ちゃんに渡すプレゼントについて会議を始めた。
巻き込まれそうになったので、私はその場から離れ、ご飯を受け取りに行く。
金井さんが隣を歩く。
「なんか…面倒そうな子達ですね…」
「め、面倒そうって…そんな風に後輩のことを言っちゃダメだよ?」
金井さんの目が細くなる。
「先輩は、人が好いですね」
…皮肉に聞こえる。
「そんなんだから、私にもナメられるんです」
「私、金井さんにナメられてたの?」
「ペロペロキャンディです」
「…ごめん、ちょっと意味がわからない」
その後も、たまに飯田さんに話しかけられた。
永那ちゃんのことを根掘り葉掘り聞かれるので、曖昧に濁して、その度にご飯に逃げた。
2年生の時とは反対に、食べ過ぎてしまった…。
歓迎された1年生の時が、1番普通に楽しめたかも。
バーベキューは4時間ほどでお開きになった。
片付けはみんなで行い、テキパキと進んだ。
「空井先輩!」と駆け寄ってきてくれるのは嬉しいのだけれど、飯田さんの目的は明らかに永那ちゃんで、片付けの最中もたくさん話しかけられて大変だった。
確か…中川さんが永那ちゃんに憧れて、この高校に入ったんじゃなかった?
中川さんよりも、どちらかと言うと飯田さんの方が永那ちゃんのことが気になるみたいだ。
たまに金井さんが助けに入ってくれて、後輩の気遣いに嬉しくもなった。
金井さんは、いつも厳しくて(特別私には)、何を考えているのかよくわからない子…という印象があったけれど、少しずつ、変わっていく。
ぐってりと疲れて、翌日の日曜日は、ついダラけてしまった。
体の疲労が凄くて、勉強をする体力が残っていない。
こんな状態は初めてで、思っていたよりも、自分のキャパシティ以上に頑張っていたのだと知る。
でも…永那ちゃんの喜んだ顔を思い出すと、頬が緩んだ。
頑張って良かったって、心の底から思う。
こんな疲れも悪くないな、なんて思えるから不思議。
そして水曜日、誉の誕生日があった。
誕生日プレゼントに悩むことはなかったけれど、ケーキの予約や簡単な部屋の飾りつけもしたから、これの準備も含めて、今月の私は忙しくしていた。
誉の欲しがっていたゲームソフトをプレゼントすると、さっそく遊び始めて、お母さんと苦笑した。
永那ちゃんや優里ちゃんは、いつ誉の誕生日パーティをしようかと悩んでいた。
もうすぐゴールデンウィークだし、その時にしようか?とか…それじゃあ遅すぎるか?とか…。
でも、土曜日は千陽の家でパーティがある。
休日にするなら、どちらにしてもゴールデンウィークに差し掛かってしまうことは明白だった。
誉も、それでいいと言っていた。
「楽しみ!」と笑顔が弾けたから、私も楽しみになる。
あっという間に土曜日は来て、目が回ってしまいそうだ。
相変わらず優里ちゃんは行けないことを悲しんでいた。
今回は、とりあえず、私と永那ちゃんだけの参加。
主催は千陽ではなく、千陽のお父さんなのだし、私達が大人数で押しかけるのも、あまり良くないのではないかと思ったので、結果的には良かったと思う。
優里ちゃんが行く時には、森山さんと2人で行けば、人数バランスもちょうどいいように思えた。
ホテルに行った日と同じ格好。
永那ちゃんもきっと同じ。
でも、誕生日プレゼントに鞄を貰っていたから、さすがに今回はコンビニの袋では来ないよね?
想像して、笑みが溢れる。
慌てて周りを見渡して、口元を手で隠した。
駅から千陽の家に行くまでの道のりにある公園で、永那ちゃんと待ち合わせ。
公園につくと、既に彼女はそこにいた。
ダルそうにベンチに座って、目を閉じていた。
11
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる