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第二章・初めての夜。6

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「ユリア様。完璧な文ですわ。では、これは私が陛下に渡してきますね」
 エレンは、そう言うと手紙をさっさと没収して封筒に入れてしまった。あぁ……まだ書き直していないのに。
「ちょっと待って。それは……」
「どうかなされましたか? ユリア様」
「あ……いや。別に。それでいいわ。お願いするわね」
 書き直したいとは言い出せなかった。一生懸命教えてくれたアミーナに悪いし、
それ以上のモノを書けるかと言われたら自信はない。
 渋々承諾するとエレンはニコリと笑い、陛下に渡しに行ってしまった。
 あぁ、あれを読んだら陛下は、なんて反応をするのだろうか? 喜ぶ? それとも驚くかしら。今の状況だと喜ぶかもしれない。
 下手したら返事を貰えるなんて期待すらしてないかも。だとしたら、かなり恥ずかしいことだ。
 自分で書くって言っておきながら段々と恥ずかしくなってくる。あぁ、読まずに捨ててくれたら楽なのに。それは、それでムカつくけど、思わずそう考えてしまった。
 しばらくしてエレンが戻ってきた。どうやら予想通りに返事をもらえるなんて思っておらず大変驚いていたらしい。
「凄く喜ばれていて、すぐに返事を書いていましたわ」
 また返事を⁉ いやいや。それは、ただの返事だし。まさか返事のまた返事を書いてくるなんて驚きだ。そんなつもりで書いた訳ではないのだが。
 私は呆れながらそれを聞いているとドアのノックが叩かれた。夕食の準備が出来たらしい。こ、こんな時に顔なんて合わせにくいのに。
 私はギクシャクしながらも仕方がなくダイニングルームに向かうことに。
 ダイニングテーブルに着くと、陛下はまだ来ていなかった。手紙を書いているからだろう。良かった……と胸を撫で下ろす。しかし、しばらくしてロンと一緒に現れた。どうも陛下も同じ気持ちなのだろう。同じようにギクシャクしている。
 椅子に座るのだが表情が硬い。いや怖い。眉間にシワを寄せて唇がヒクヒクしていた。笑いかけている? いや、それにしても不気味過ぎる。
「陛下。それだとユリア様が引きますよ?」
「う、うるさい。笑えと言ったのは、お前だろ」
「それだと、ただの不気味……いや、硬直しているみたいです」
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