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第二章・初めての夜。17

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「も、もしかして緊張しているの?」
 私は、そう尋ねると、さらに真っ赤になってしまった。
「うるさい」
 陛下は、そう言ったが口はパクパクしていた。ちょっと……いくら何でも緊張し過ぎでしょう? 風呂場の時とえらい違いだ。
 私は可笑しくなりクスクスと笑ってしまった。するとムスッとした表情に。
「な、何が可笑しい⁉ わ、笑うな」
「だって~あまりにも可愛らしいから」
「だ、誰が、可愛いだと‼ 俺はカッコいい系だ」
 と主張してくるが、いや……そこが可愛いんだって。必死に真っ赤になって訴えてくる姿は怖くはないし、カッコいいとはまた違う。ただの純粋な男性という感じだ。
 戸惑う姿を見ていると何だか、からかいたくなってくる。私は思わず手を伸ばして、陛下を抱き締めてしまった。そうなると大慌て。
「や、やめろ。は、離せ。牢屋にぶち込むぞ⁉」
「ぶち込められるものなら、ぶち込みなさいよ。私は全然平気だから」
 どうせ口だけで強がっているのは分かっているし。ロンに対する態度で分かり切っていた。すると余計にムキになってきた様子。
「じゃ、じゃあ離さないとキスをするぞ!」
 そ、そう来たか⁉ 思わない反撃に私まで動揺してしまう。落ち着きなさい。どーせ口だけよ。本気でキスをするとは思えない。
「いいわよ……離さないからキスをしてみなさいよ」
「えっ……本気か⁉」
 えっ? 冗談で言っただけなのに本気にしないでよ⁉ 
 逆に驚かれ、こっちの方が動揺してしまった。すると、何を思ったのか顔を近づけてくる。噓っ……冗談で言っただけなのに‼ ど……どうしよう。
 頬を染めながらも、とろんとした表情で近づけてくる。まさか酔っているの⁉
「ちょっと……本気なの⁉」
「いいって言ったのは、お前だろう?」
「だから、それは冗談のつもりで……んっ……」
 すると唇を重ねてくる。止める間もなく。ちょっと……⁉
 嫌だと手を離せばいいのに、何故か身体が動かない。余計に心臓がドキドキして思考が停止してしまう。触れるだけの甘いキスだった。少ししたら離れようとしてくるので名残惜しそうに見つめてしまった。
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