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第三章・二人の距離感。3

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 えっ? いや……それは。
「それは、ちょっと。今陛下も入っているし」
「あら、その心配はありませんわ。もうユリア様と陛下は気心知れた間柄。夫婦ではありませんか」
 いや。エレン……そうなっちゃっただけで。私はまだ、陛下を許した訳ではないわよ? それに、まだ夫婦ではないし。
「でもね、私はそんなつもりないし」
「いいから、いいから。さぁユリア様」
 何だか強引に連れて行こうとするアミーナ。エレンもニコニコしながら準備を始めてくる。そして強引に後押しされながら浴室まで連れて行かれてしまった。
 何故こんなことに? まだ下腹部が痛いし怠いのに。
 何よりあの後だから余計に恥ずかしい。恐る恐るバスタオルを巻きながら湯船の方に近づく。陛下が入っているのが見えた。
 すると私に気づくと驚いた表情をしていた。
「な、何で貴様がここに⁉」
「来るつもりはなかったんだけど……アミーナが強引に風呂に入れと言われたのよ」
「そ、そうか……」
 あら? 何も言わない。この前は出ていけと怒鳴りつけてきたのに。
 もしかして昨日の事で少しは変わったのだろうか? 私は不思議に思いながらも仕方がないので一緒に入ることにした。出たら出たでアミーナ達がうるさそうだし。
 お互いに湯船に浸かるが何か話す訳でもない。無言のままだった。それは、それで緊張するわね。すると、陛下がチラッとこちらを見てくる。
「……辛くないのか?」
「えっ?」
 まさか、陛下から話しかけてくれるとは思わなかったから、つい聞き返してしまった。だが頬を赤くしてそっぽを向いてしまう。
「だから、辛くないのかって聞いているんだ」
「あぁ……大丈夫。ちょっと痛いけど平気よ。もしかして心配してくれたの?」
 ぶっきらぼうながらも、もう一度言い直してくれる。私はそれが嬉しくなり、そう返した。だが、それが気に障ったのか急に怒り出す。
「ち、違う。誰が貴様なんか……し、心配するか。勘違いをするな⁉ 俺は痛いとか文句を言われたくないだけで貴様のことなんて、これっぽっちも心配してないぞ!」
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