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第三章・二人の距離感。9

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 舐めてるわね……私を。冗談じゃない。だったらこっちだって!
 私はすぐに剣を捨てると置いた枝に持ち替えた。
「だったら私もこれで行かせてもらうわ。私は剣を頼らなくても強いのよ! これであんたの鼻をへし折ってあげるわ」
「……ふん。面白い、いいだろう。その強気な態度がいつまで続けられるか見物だな」
 何ですって⁉ 完全に舐めきっている。絶対に圧勝してやる‼
 なおさら闘志に火がついた。私は、すぐに枝を前に構える。身体は、こちらの異世界の姿だけど感覚などは、そのままだ。後は自分を信じて踏み切るだけ。
 私は目をつぶり意識を集中させる。アイツの隙を見つけてやる。
 しかし、いくら意識を集中させても陛下の隙が見当たらない。チラッと目を開けると真剣な目で私を睨み付けていた。
 さすがに国を仕切る皇帝陛下と言われているだけはある。圧倒的なオーラと気迫に押し負けそうになった。すると陛下はクスッと笑ってくる。
「そんな甘い集中力では俺に勝てんぞ。早く来い。いつまでも来ないと戦ならすでに殺されてるぞ。諦めて降参しろ」
 うるさいわね‼ 私は勢いをつけて前に踏み切った。「面‼﹂と言いながら後頭部を目掛けて。だがしかし鞘で受け止められてしまう。くっ……⁉
「踏み込みが甘い」
 そう言うと押し返してきた。私は、よろめくが、すぐに体勢を変えて攻撃を続ける。 
 胴や頭部を目掛けて。だが、まったく動じない陛下は全て鞘で受け止めてくる。
 確かに鞘でも十分に私と張り合っている。だが私もこのままの訳ではない。急接近した時に一瞬気が緩んだ隙を狙い後ろに回り込んだ。
 そして、そのまま後頭部を狙った。よし、決まった!
 しかし咄嗟の条件反射なのか、陛下は気づくと向きを反転させると、そのまま私の横っ腹を蹴りあげてきた。私は、そのまま横に弾き飛ばされてしまった。
「キャアアッ」
「キャアアッ~ユリア様⁉」
 私は悲鳴を上げて倒れるとアミーナとエレンも悲鳴を上げてくる。そして駆け寄って行く。周りは大変だと騒ぎ出してしまった。
「お怪我はありませんか? ユリア様」
「えぇ……大丈夫よ。ちょっとぶつかった……イタタッ」
 心配そうに言うアミーナ。大丈夫だと言いたかったが思ったよりも蹴りをまともに食らったため痛みが走り踞った。
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