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第二話
しおりを挟む高校生の頃からの馴染みの仲間たち。
佑くんとシノは生徒会で仲良くなった。佑くんは先輩でシノは後輩だったけど、一緒にいるとどこか心地よかった。
朗希はシノと幼馴染みで、気づいたらめちゃくちゃ仲良くなっていた。大人になった今でも佑くんがやっているカフェバーで時々集まる。
高校の時は生徒会室、大学の時は佑くんのアトリエ。
みんな同じ大学だったけど学部はそれぞれだったから、疎遠になってしまうかと思ったけど、なぜかいつも自然と集まっていた。
佑くんはアート業界で大注目の作家だけど顔は非公開にしているから、この小さなギャラリーカフェの店主が「TASUKU」だとは誰も思ってないだろう。
朗希も結構有名なバスケットボールチームに所属していて、身長高い上にスタイルも良くてイケメンだから女性ファンがかなり多い。スポーツ雑誌なんかにも出ているから、有名人だ。
シノも今引っ張りだこのフリーのシステムエンジニア。
俺も仕事でいつも大変お世話になっている。
趣味でゲーム実況者とかもやっているらしい。こちらもかなり人気。
そんな朗希とシノが付き合っているんだからこんなスキャンダルはないだろう。
いつもハラハラしながら見守っているが本人たちいわく、
キャラクター的に仲の良い幼馴染がちょっといちゃついているようにしか見えないから平気だそうだ。
・・・キャラクターとはずるい。
どう考えても俺が橋本にそんな寄りかかるように立っていたら明らかおかしいと思われてしまう。そもそもそんな状況にすらなり得ないのだけれど。
「シノももうすぐ来ると思うよ」
「そうなんだ。なんか4人集まるの久々じゃないか?」
「確かに!最近みんな色々と忙しいもんね~」
「おいらは別に忙しくない」
ちょうど扉の鈴が鳴った。
「こんばんは。佑さん、ビール」「はいよ~」
「お、シノ。この前の撮影はありがとうな」
「ほんとですよ。大変だったんですから」
「え、なになに? なんかあったの?」
「この間涼さん付き添いの撮影があったんですけど、その新人の女優さんが涼さんのことめちゃくちゃタイプだったみたいで。ちょっと俺が涼さんと話してたら“鏑木さんと仲良いんですか?!なんでですか?!え、大学一緒なんですか?!学生の頃の鏑木さんの写真とかないんですか?!“ってもう質問攻めですよ」
「いや~あれは今をときめくチューナーに申し訳なかったっす・・・」
「全然思ってないでしょってかあんたバリバリ表でやっていける顔しているのに裏にいるから女がイケる気しちゃうんですよ。本当タチ悪い」
「さすが涼ちゃんやるね~!シノちゃんの広告楽しみだな~前に一番に見せてくれたやつでしょ?エッ・・・ムゴ!」
「はいあんたは黙りましょうね~」
朗希が何かとんでもないことを言いかけたようだけど一旦聞かなかったことにする。
「タチ悪いっつったって・・・でもそれで仲良くなってくれたおかげで撮影めちゃスムーズに進んだし。良い広告になりそうだよ。そういえば今度朗希の撮影もあるって加藤から聞いた。」
「あそうそう~!って言っても俺らはバスケしてるだけだからいつもとそんなにやること変わらないけどね」
酒を飲みながら仕事の話をしたり、近況について聞いたり、時には他愛もない話をする。
この場にあいつもいれば…
そんなことをふとした瞬間に考えてしまう。
そうできなくしてしまったのは紛れもなく自分なのに。
みんな分かってて何も言わずにいてくれる。
「涼くん。またなんかつまんないこと考えてるでしょ」
「考えてないよ。ただ、5年も経つんだなと…」
「涼ちゃんはね!ごめんけど俺らは時々あってるからさ~」
こんな時でさえ明るく茶化してくれるこの人たちに感謝しかないな。
部下の言っていたモデルが橋本だということは撮影日の朝知った。
橋本と会うのはあの日を境に5年だ。
もちろん一方的には雑誌やら駅前の広告やらでお見かけしていたけど。
最近はドラマも出てるよな。
テレビの向こうでみるあいつはすっかり“芸能人“で、これで本当に俺の知っていたかわいいかわいい橋本は記憶の中の人となってしまった。
あれから5年、俺はも色んな女性や男性と付き合った。
だけど誰も俺の気持ちをかき消してくれるやつはいなくて、より虚しくなるだけだった。
それに男とはキス以上はできなかったしな。
成長し続けたあいつと、
何も変わっていない俺。
再会したら、どう思われるだろう。
幻滅するか。
呆れるか。
それとも――どうでもいい、か。
最後の想像が、一番きつい。
そう考えた瞬間、手のひらにじわりと汗が滲んだ。
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