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私は転んだ。ただそれだけ。
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その日、玲奈はビルの屋上にいた。さっき、ずっと付き合っていた彼氏である三浦夏弥に振られて、自分でもよくわからないけれど、気づいたら近くのビルの屋上にいた。
「ごめん玲奈。俺、好きな人ができた。自分にも、玲奈にも、嘘つきながら生きるのは嫌だから、玲奈とはもう付き合えない。ホントごめん」
それが、夏弥から玲奈への一方的な別れの言葉だった。
好きな人ができたなら仕方がない。玲奈がいくら頑張ったところで、夏弥はもう玲奈のもとに戻ってはこない。
それに気づいた玲奈は、
「今までありがとう。さようなら」さ
と言い残し、夏弥の前を去った。
夏弥にとっては都合が良かった。ここで未練がましく別れたくないと言われでもしたら、どうしようもなかったから。もっとも、玲奈はそんなことを言う子じゃないというのをわかっていて別れを選んだのだ。
「俺は、罪な男になるのかなぁ……」
それから数日間、玲奈は出社しても人形のようだった。目は一点を見つめ、話しかけられてもろくな返事が返せない。
先輩に、
「玲奈、三浦くんと別れたんだって? 別れたくらいでなに落ち込んでんのよ。あんた若いし可愛いんだから、他にもほっとかない人がたくさんいるの、知らないの?」
なんて言われても、玲奈の耳には入っていかない。右から入って左から抜けるのならまだマシだ。どちらの耳にも入っていかない。
玲奈は周りの全てをシャットアウトしてしまっていた。
「私の何がいけなかったの……?」
玲奈の頭にはそれしかなかった。自分がしっかりしていたら、自分が夏弥の心を繋ぎ止められる存在だったら、自分があの時夏弥にそばにいてと甘えていれば、自分が別れたくないと駄々をこねていれば……。
後悔の念しか浮かばず、夏弥のいない人生ならこの世にいない方がマシだとさえ考えるようになっていた。
目の前には真っ青な空と、真っ白な雲がゆったりと流れている。あの雲に乗って、世界中を旅したい。気持ちいいだろうな。
──「私は死ぬんじゃない。自殺するんじゃない。今この屋上で転ぶだけ。事故。これは事故なんだ」
「ごめん玲奈。俺、好きな人ができた。自分にも、玲奈にも、嘘つきながら生きるのは嫌だから、玲奈とはもう付き合えない。ホントごめん」
それが、夏弥から玲奈への一方的な別れの言葉だった。
好きな人ができたなら仕方がない。玲奈がいくら頑張ったところで、夏弥はもう玲奈のもとに戻ってはこない。
それに気づいた玲奈は、
「今までありがとう。さようなら」さ
と言い残し、夏弥の前を去った。
夏弥にとっては都合が良かった。ここで未練がましく別れたくないと言われでもしたら、どうしようもなかったから。もっとも、玲奈はそんなことを言う子じゃないというのをわかっていて別れを選んだのだ。
「俺は、罪な男になるのかなぁ……」
それから数日間、玲奈は出社しても人形のようだった。目は一点を見つめ、話しかけられてもろくな返事が返せない。
先輩に、
「玲奈、三浦くんと別れたんだって? 別れたくらいでなに落ち込んでんのよ。あんた若いし可愛いんだから、他にもほっとかない人がたくさんいるの、知らないの?」
なんて言われても、玲奈の耳には入っていかない。右から入って左から抜けるのならまだマシだ。どちらの耳にも入っていかない。
玲奈は周りの全てをシャットアウトしてしまっていた。
「私の何がいけなかったの……?」
玲奈の頭にはそれしかなかった。自分がしっかりしていたら、自分が夏弥の心を繋ぎ止められる存在だったら、自分があの時夏弥にそばにいてと甘えていれば、自分が別れたくないと駄々をこねていれば……。
後悔の念しか浮かばず、夏弥のいない人生ならこの世にいない方がマシだとさえ考えるようになっていた。
目の前には真っ青な空と、真っ白な雲がゆったりと流れている。あの雲に乗って、世界中を旅したい。気持ちいいだろうな。
──「私は死ぬんじゃない。自殺するんじゃない。今この屋上で転ぶだけ。事故。これは事故なんだ」
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