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第十六話 新生

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 目が覚めた。
 既にここはあの世の砂漠?
 いや、どうやらその前段階らしい。ここは屋内だ。おそらく段取りとか手順があるのだろう。

 目をこすりながらゆっくりと体を起こした。
 周囲を見渡す。

「あれ、教会?」

 ここはさっきまでいた教会の奥の空間。まさか失敗!?
 いや、失敗は無いだろう。

「まさか!」

 そうだ、オレはもしかすると一杯食わされたのか? 
 オレは立ち上がり、外に置いたトラックまで戻り、荷台を覗いた。

「やられた……」

 既に兵器類は無かった。全部持っていかれたのだ。

「クソが!!」

 オレはタイヤを蹴った。

「痛った!!」

 軍用トラックのタイヤはハンパない硬さだった。今さらだが。

 オレは意気消沈しながらハンドルを握り山小屋に戻ることにした。今日はそうする他ない。どうしたらいいのかも今はさっぱりわからない。


 オレは教会で長いこと寝ていたようで、既に日が暮れかかっている。我が家が見えてきた。すると明かりが灯っている。もしかするとケハラかもしれない。
 アイツは誠実に行動してあの魔術師を探し出してくれたから、何の恨みもないが、文句の一つくらいは言っていいだろう。

「ケハラ!」
 
 扉を開け、すぐに彼の名を呼んだ。


「おじさーん!」
「トーリさん!」

「……」

 オレは絶句した。目の前の出来事が受け入れられず、思考が停止した。
 そこにはアイカとルクシー、そして……


「アメリ!!」


「はい! トーリさん!!」

「な、なぜ……?」

 結局のところ、あの女魔術師が召喚した神なのか悪魔なのかが無条件でオレもアメリも生かしてくれたらしい。

 アメリは妖精の森で突如目覚め、妹のシリは大変驚いたようだが、すぐにオレの家に行くべきだと言ってくれたそうだ。

 ケハラはオレを探しに行ったらしい。最後に意味深なことを言って電話を捨てちまったからな。きっと血眼になって探してくれているのだろう。

 なぜオレは生かされたのだろうか。それとも代償はこれから待っているのか?
 わからないが、結局人生なんて先のことは誰でもわからないもの。だったら、日々を一生懸命生きるだけだ。悔いのないように。


(終わり)



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