最愛はすぐ側に

なめめ

文字の大きさ
8 / 205
星空の下での決意

星空の下での決意⑦

「俺さ、渉太と出会ってからプライベートはもちろんだけど、仕事が楽しいんだ。もともと仕事には誇りを持っていたけど、自信がついたっというか、律の俺も好きになれてきてる気がする」

 以前から『アイドル律』であることの自分にコンプレックスを抱いていたようなことを打ち明けてくれたことを思い出す。だから渉太と出会った当時は嘘ついて律仁として近づいていたのだと正直に話してくれた。

「それは……。良かったです。ファンとしても、恋人としても律仁さんには笑顔で居て欲しい想いは変わらないので……」

 アイドル律を渉太が見ているときの嫉妬心はあるけれど、最近の律はカリスマ性のある顔から素に近い人間味のある表情を見せることが多くなったと渉太も感じていた。ファンの間でも評判がいいというのは耳にしていたし、心から仕事を楽しんでいることが映像を通して伝わってくる。

 それが自分のおかげというのは、少し照れてしまうが……。そんな僅かに赤面している渉太の傍らで律仁さんの表情は変わらずに真剣だった。

「それで……。仕事が楽しくなるにつれて欲もでてきてさ、日本だけじゃなくて海外を拠点に活動したいって思ってるんだ」

 『海外』と聞いて、行った経験のない渉太は異次元すぎて凄く遠く感じた。よく有名俳優のハリウッド進出なんてニュースを見るが、改めて律仁さんも芸能の人なのだと気づかされる。けれど、推しが飛躍をすることは喜ばしいことだった。

「凄いですね。俺には海外とか想像できないですけど、律仁さんが色々な場所で活躍するのは嬉しいですし、応援したいです」

 律仁さんが海外へ行ってしまうなんて寂しいけど、自分には止める権利なんてない。それに、自分は散々彼に背中を押されて勇気を貰ってきた。今度は律仁さんが前に進もうとしているのだから背中を押せる存在でありたかった。

「それってファンとして言ってるでしょ?渉太としては?」

 完璧な返答だったと豪語していたが、思わぬ律仁さんからの問いに言葉を詰まらせる。

本心からの言葉ではあったが、律仁さんは自分の答えの中に何を求めて問うてきているのだろうか。

 寂しいと言ってしまえば、律仁さんを引き留めることになりかねないからそんな妨げになることはしたくない。



感想 0

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
世間に秘された名門男子校・平坂学園体育科 空手の名選手であった高尾雄一は、新任教師として赴任する 高潔な人格と鋼のように鍛えられた肉体 それは、学園にとって最高の生贄の候補に他ならなかった 至高の筋肉を持つ、精神を削られ意志をなくした青年を太古の神に捧げるため、“水”、“風”、“土”の信奉者達が暗躍する 意志をなくし筋肉の操り人形と化した“デク” 消える教師 山奥の男子校で繰り広げられるダークファンタジー

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。