最愛はすぐ側に

なめめ

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星空の下での決意

星空の下での決意⑧

「俺としては⋯⋯」

本音と建前の間で気持ちが揺れ動く。口調は軽くても渉太の返答を待つ彼の瞳は何処か寂しそうに見えた。そんな律仁さんの姿には覚えがある。彼が芸能人だと知った時に、突き放した時と同じ。律仁さんの表情から不安な心を感じる。

 彼の前で自分の気持ちに嘘はつかないと約束した以上自分の気持ちだけでも話すべきのような気がした。

「俺としては……。それは、寂しいです……。律仁さんが海外へ行くってことは、今までみたいに会えなくなるから……」

自ら口にして顔から火が出そうなくらい熱くなる。律仁さんの顔など見てられず俯くと、彼の指が髪の毛に絡んで、梳き撫でられる。

「よくできました。俺もできれば渉太とは離れたくない」

 優しい笑みを浮かべると、撫でてきていた右手が渉太の頬へと触れ、律仁さんの表情が真剣なものへと変わる。

「渉太、じゃあさ……。俺が向こうに行くって言ったら一緒に着いてきてくれるよね?」
「えっ……」

 信じて疑わない瞳に渉太は大きく目を背けてしまう。大学の学科が国際学部で他国のことを勉強しているとはいえ、自分が海外へ出向くなんて考えてみたことなどなかった。

 今ここで将来を左右する決断に『はい』や『いいえ』で答えられるものではない。なのに、渉太が着いてくる前提で問うてくる律仁さんに困惑して、益々言葉に詰まってしまった。
 渉太が目を逸らし、言葉に詰まって沈黙が長引くたびに、律仁さんの瞳が少しだけ悲しそうに笑う。


「今すぐにって訳じゃないから。でも来年にはそのつもりでいるんだ。だから渉太には考えておいてほしい。俺としては渉太には近くにいてほしいから……」
「はい……」

 悩んでいる渉太を察したのか、先程よりは控え目に乞うてくる。 正直、律仁さんに『一緒にいてほしい』と言われるのは嬉しいが、企業から内定ももらっているし、自分が海外へ行ったところでしたいことがないのも事実だった。
 勿論、律仁さんと離れるのは寂しいけど、寂しいを理由で自分の人生を決めてしまっていいものかと考えものだった。



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