61 / 190
夫婦と佐野旭
夫婦と佐野旭④
しおりを挟む
渉太は那月が問うたことで不快に思っていない様子であったことに胸を撫で下ろす。
「今から行くとこは……幼馴染の親の家だよ。親って言っても里親だけどな。俺と星杏と佐野旭は同い年であそこの施設育ちだから」
「そうだったんだ……」
「それに旭は星杏の元カレだよ」
那月と星杏さんが複雑な事情を抱えていることからただの知り合い、という軽い関係ではないような気がしたが案の定な返答に渉太は頷くことしかできなかった。
星杏さんの元カレ……。
両親は縁日に来ていたけど当の本人は姿を見せていなかった。
元恋人だったとしても幼馴染であれば二人が来ていると知れば顔を出しに来るのではないだろうか……。
でも、向こうが社会人だったらそれは難しいかもしれない。
幼馴染だからとはいえ、元恋人と会うのは気まずいのかもしれない。そしたら何故ご両親が二人に挨拶に来たのだろう。
様々な憶測が渉太の頭の中で駆け巡る。
「その佐野旭さんは……」
謎が深まる一方で那月くんに佐野旭の所在について問おうとしたところで、助手席の扉が開けられた。
「お待たせ」
「何、お前花束買ってきたの」
助手席に乗り込んできた星杏さんの手には花束が添えられていた。しかし、綺麗ではあるが人に贈るには味気のないような白い百合を基調とした花束。
「向こうの家に行くんだから……。旭にも挨拶しなきゃ。遼人もちゃんと逃げないでよ」
星杏さんの言葉と花束を目にして、渉太は胸騒ぎがした。本当に自分が着いて行って大丈夫なのだろうかと不安を抱える渉太を余所に、車は夫婦の自宅へと向かっていた。
「今から行くとこは……幼馴染の親の家だよ。親って言っても里親だけどな。俺と星杏と佐野旭は同い年であそこの施設育ちだから」
「そうだったんだ……」
「それに旭は星杏の元カレだよ」
那月と星杏さんが複雑な事情を抱えていることからただの知り合い、という軽い関係ではないような気がしたが案の定な返答に渉太は頷くことしかできなかった。
星杏さんの元カレ……。
両親は縁日に来ていたけど当の本人は姿を見せていなかった。
元恋人だったとしても幼馴染であれば二人が来ていると知れば顔を出しに来るのではないだろうか……。
でも、向こうが社会人だったらそれは難しいかもしれない。
幼馴染だからとはいえ、元恋人と会うのは気まずいのかもしれない。そしたら何故ご両親が二人に挨拶に来たのだろう。
様々な憶測が渉太の頭の中で駆け巡る。
「その佐野旭さんは……」
謎が深まる一方で那月くんに佐野旭の所在について問おうとしたところで、助手席の扉が開けられた。
「お待たせ」
「何、お前花束買ってきたの」
助手席に乗り込んできた星杏さんの手には花束が添えられていた。しかし、綺麗ではあるが人に贈るには味気のないような白い百合を基調とした花束。
「向こうの家に行くんだから……。旭にも挨拶しなきゃ。遼人もちゃんと逃げないでよ」
星杏さんの言葉と花束を目にして、渉太は胸騒ぎがした。本当に自分が着いて行って大丈夫なのだろうかと不安を抱える渉太を余所に、車は夫婦の自宅へと向かっていた。
1
あなたにおすすめの小説
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
月曜9時の恋人 ――上司と部下のリモート勤務録
斎宮たまき/斎宮環
BL
「おはようございます」から始まる恋がある。
在宅勤務の上司と部下、画面越しに重なっていく生活音と沈黙。
誰もいない夜、切り忘れたマイクから漏れた吐息が、心の距離を壊していく。
社会的距離が恋の導火線になる――
静かな温度で燃える、現代オフィスBLの新形。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる