最愛はすぐ側に

なめめ

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夫婦と佐野旭

夫婦と佐野旭④

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渉太は那月が問うたことで不快に思っていない様子であったことに胸を撫で下ろす。

「今から行くとこは……幼馴染の親の家だよ。親って言っても里親だけどな。俺と星杏と佐野旭さのあさひは同い年であそこの施設育ちだから」

「そうだったんだ……」
「それに旭は星杏の元カレだよ」

那月と星杏さんが複雑な事情を抱えていることからただの知り合い、という軽い関係ではないような気がしたが案の定な返答に渉太は頷くことしかできなかった。


星杏さんの元カレ……。
両親は縁日に来ていたけど当の本人は姿を見せていなかった。
元恋人だったとしても幼馴染であれば二人が来ていると知れば顔を出しに来るのではないだろうか……。

でも、向こうが社会人だったらそれは難しいかもしれない。
幼馴染だからとはいえ、元恋人と会うのは気まずいのかもしれない。そしたら何故ご両親が二人に挨拶に来たのだろう。
様々な憶測が渉太の頭の中で駆け巡る。

「その佐野旭さんは……」

 謎が深まる一方で那月くんに佐野旭の所在について問おうとしたところで、助手席の扉が開けられた。

「お待たせ」
「何、お前花束買ってきたの」

 助手席に乗り込んできた星杏さんの手には花束が添えられていた。しかし、綺麗ではあるが人に贈るには味気のないような白い百合を基調とした花束。

「向こうの家に行くんだから……。旭にも挨拶しなきゃ。遼人もちゃんと逃げないでよ」

 星杏さんの言葉と花束を目にして、渉太は胸騒ぎがした。本当に自分が着いて行って大丈夫なのだろうかと不安を抱える渉太を余所に、車は夫婦の自宅へと向かっていた。

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