71 / 190
命ある限り…渉太の選択
命ある限り…渉太の選択①
しおりを挟む
黙々と運転席で一人、ステアリングを握り夜道を走らせる那月の後姿を左斜めの後部座席から眺める。
星杏さんは縁日の時からの疲れも相まってか、渉太の隣で座席に頭を預けて眠っていた。
渉太も今日一日は楽しいこともあった半面で考えさせられることの方が多かった。
律仁さんと関わるまでアイドルという存在は、雲の上のような人で自分が表面上の姿を見た彼らの憧れの対象としてしか見ていなかった。
それは人々に夢を与える彼らにとっては、自身の私情などは隠すべきことであるから、渉太ら一般人のファンが彼らの事情など知らなくて当然のことだった。
誰かを救う嘘だってある。自分が推している人間が実は、爽やかな青年なんかではなく、破天荒な女たらしだなんて知りたくもないのだろうから。
しかし那月だって事情を抱えていて、旭くんのことがあって苦しかったのだろうけど、テレビの画面では自分の心に嘘をついて笑顔を絶やしていなかった。破天荒な態度見せていたのは彼なりの旭くんを亡くした悲しさ故の反動と情緒を保つための自衛行動だったのだろう。
多くの人の感情に触れる仕事であるから、見たくもない人の感情にぶつかることもあるのだろう。
そんなタレントの仕事面だけではなく、心も支え続けている吉澤さんはやはり凄いと思う反面で自分もあんな風になれるのであれば、律仁さんに胸を張って『俺が律仁さんを一生支えます』と告げることが出来るのだろうかと漠然と思えた。
「本当に今日はありがとうごいました」
「先輩、私からも。今日は助かりました。巻き込んじゃって……ごめんなさい」
渉太の自宅の最寄りの駅前で車を停めて貰い、後部座席から下車すると、那月と目覚めた星杏さんも律儀に車から降りて挨拶をしてきた。
自分は唯付き添っていただけだし、改めて二人に頭を下げられて萎縮する。
星杏さんは縁日の時からの疲れも相まってか、渉太の隣で座席に頭を預けて眠っていた。
渉太も今日一日は楽しいこともあった半面で考えさせられることの方が多かった。
律仁さんと関わるまでアイドルという存在は、雲の上のような人で自分が表面上の姿を見た彼らの憧れの対象としてしか見ていなかった。
それは人々に夢を与える彼らにとっては、自身の私情などは隠すべきことであるから、渉太ら一般人のファンが彼らの事情など知らなくて当然のことだった。
誰かを救う嘘だってある。自分が推している人間が実は、爽やかな青年なんかではなく、破天荒な女たらしだなんて知りたくもないのだろうから。
しかし那月だって事情を抱えていて、旭くんのことがあって苦しかったのだろうけど、テレビの画面では自分の心に嘘をついて笑顔を絶やしていなかった。破天荒な態度見せていたのは彼なりの旭くんを亡くした悲しさ故の反動と情緒を保つための自衛行動だったのだろう。
多くの人の感情に触れる仕事であるから、見たくもない人の感情にぶつかることもあるのだろう。
そんなタレントの仕事面だけではなく、心も支え続けている吉澤さんはやはり凄いと思う反面で自分もあんな風になれるのであれば、律仁さんに胸を張って『俺が律仁さんを一生支えます』と告げることが出来るのだろうかと漠然と思えた。
「本当に今日はありがとうごいました」
「先輩、私からも。今日は助かりました。巻き込んじゃって……ごめんなさい」
渉太の自宅の最寄りの駅前で車を停めて貰い、後部座席から下車すると、那月と目覚めた星杏さんも律儀に車から降りて挨拶をしてきた。
自分は唯付き添っていただけだし、改めて二人に頭を下げられて萎縮する。
1
あなたにおすすめの小説
入社1ヶ月のワンコ系男子が、知らずのうちに射止めたのはイケメン社長!?
monteri
BL
CM制作会社の新入社員、藤白純太は入社1ヶ月で教育係の先輩が過労で倒れたため、特別なクライアントの担当を引き継ぐことになる。
そのクライアントは、女子禁制ミーハー厳禁の芸能事務所だった。
主人公の無知で純なところに、翻弄されたり、骨抜きにされるイケメン社長と、何も知らない純太がドキドキするお話です。
※今回の表紙はAI生成です
月曜9時の恋人 ――上司と部下のリモート勤務録
斎宮たまき/斎宮環
BL
「おはようございます」から始まる恋がある。
在宅勤務の上司と部下、画面越しに重なっていく生活音と沈黙。
誰もいない夜、切り忘れたマイクから漏れた吐息が、心の距離を壊していく。
社会的距離が恋の導火線になる――
静かな温度で燃える、現代オフィスBLの新形。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
雪色のラブレター
hamapito
BL
俺が遠くに行っても、圭は圭のまま、何も変わらないから。――それでよかった、のに。
そばにいられればいい。
想いは口にすることなく消えるはずだった。
高校卒業まであと三か月。
幼馴染である圭への気持ちを隠したまま、今日も変わらず隣を歩く翔。
そばにいられればいい。幼馴染のままでいい。
そう思っていたはずなのに、圭のひとことに抑えていた気持ちがこぼれてしまう。
翔は、圭の戸惑う声に、「忘れて」と逃げてしまい……。
夜が明けなければいいのに(洋風)
万里
BL
大国の第三皇子・ルシアンは、幼い頃から「王位には縁のない皇子」として育てられてきた。輝く金髪と碧眼を持つその美貌は、まるで人形のように完璧だが、どこか冷ややかで近寄りがたい。
しかしその裏には、誰よりも繊細で、愛されたいと願う幼い心が隠されている。
そんなルシアンに、ある日突然、国の命運を背負う役目が降りかかる。
長年対立してきた隣国との和平の証として、敵国の大公令嬢への婿入り――実質的な“人質”としての政略結婚が正式に決まったのだ。
「名誉ある生贄」。
それが自分に与えられた役割だと、ルシアンは理解していた。
部屋に戻ると、いつものように従者のカイルが静かに迎える。
黒髪の護衛騎士――幼い頃からずっと傍にいてくれた唯一の存在。
本当は、別れが怖くてたまらない。
けれど、その弱さを見せることができない。
「やっとこの退屈な城から出られる。せいせいする」
心にもない言葉を吐き捨てる。
カイルが引き止めてくれることを、どこかで期待しながら。
だがカイルは、いつもと変わらぬ落ち着いた声で告げる。
「……おめでとうございます、殿下」
恭しく頭を下げるその姿は、あまりにも遠い。
その淡々とした態度が、ルシアンの胸に鋭く突き刺さる。
――おめでとうなんて、言わないでほしかった。
――本当は、行きたくなんてないのに。
和風と洋風はどちらも大筋は同じようにしようかと。ところどころ違うかもしれませんが。
お楽しみいただければ幸いです。
ふたなり治験棟 企画12月31公開
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる
衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。
男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。
すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。
選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。
二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。
元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる