最愛はすぐ側に

なめめ

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家族からの決別

家族からの決別①

山梨県の渉太の実家に向かう道中の吉澤が運転する車の後部座席。
両親にも会うことになるのだから老舗の菓子店の手土産も持ったし、父親には和田功のサインも本人に頭を下げて用意した。
渉太に会ったら話すことも頭で考えてシミレーションした。

 急遽決まったツアーの準備の撮影で三日程拘束それてしまったが、渉太に会いに行きたい衝動を堪えて何とかこなした。

 一人で向かうことは許されなかったので吉澤が同行なのは納得がいかなかったが、行けるだけマシだと思いたい。

 あの渉太の暖かい両親であれば、事情を話せば渉太と話をさせてくれるかもしれない。微かな期待を抱きながら、渉太の実家の前まで到着すると、吉澤を運転席に残して、家の門戸前に立つ。

 インターホンを鳴らして暫くすると、渉太の母親の声が聴こえ、扉が開かれた。帽子を取り、敷居を跨ぐと上がり框には母親と父親が揃って佇んでいた。

最後にあった年始のような穏やかさはない。二人とも険しい表情をしていることから、律仁は珍しく緊張感を覚えていた。

「お邪魔します……。突然の訪問で申し訳ありません。これ、大したものではありませんが……ご両親でどうぞ。あとお父さんには和田さんのサインもお持ちしました」

 緊張で多少のぎこちなさはあったがいつもの笑顔で渉太の母親には菓子袋、父親には菓子袋に入ったサイン色紙を取り出すと見せるように差し出す。 
しかし、二人は一向に受け取る様子はなかった。

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