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交渉決裂
交渉決裂⑦
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「はぁ·····。お前のそれは幻想に過ぎない。あんな曲で世界的一なんて笑わせてくれるな。これだから惚れたはれたの感情が絡むと気も大きくなって馬鹿をみる」
芸能事務所のマネージャーらしからぬ発言に怒りのボルテージが上がっていく。好きこそものの上手になれというように、鈴奈のことが好きだからこそ高みを目指せるのだと吉澤は分かっていない。
「そんな言い草ないだろ。さっきは悪くないって言ってたじゃん。」
「いい曲と売れる曲は別だ。それに私情を挟んでいるユニットは甘えが出ていずれ破滅する。恋愛なんてもっての外だ」
「そんなのやってみないと分からないだろ。それに鈴奈と俺なら私情と仕事の区別ぐらいつけられる」
この数か月間だって鈴奈に猛アピールをしたいのを我慢して制作に全力を注いできた。
鈴奈の性格上から歌に対する甘えなんてみえなかったし、むしろ律仁に対して厳しかったくらいだった。
音合わせのときに、カラオケのお店で声合わせをしている時も、少しのズレも許さないのか何度も指摘されて講師のレッスンよりも心が折れそうになったことだってある。そんな活動に関して熱心な彼女となら緩んでしまいそうな気も正してくれるに違いなかった。
「俺にはそうは見えないけどな。鈴奈はともかく、特にお前がな。それにお前は歌から入るよりも顔を売るアイドルから入った方がいい。そこそこ知名度のあるお前が鈴奈と組んだら、顔がいい分ファンに余計な憶測や詮索をたてられかねない。それがお互いの活動の場の邪魔をする」
「そんなのそいつらに勝手に言わせておけばいいだろ、それに俺は鈴奈と交際してること公にしたって構わない。だって他の奴らだっているだろ、交際を表立って宣言してる奴らが」
この業界人がごく普通の一般人のように交際するのが難しいことは知っている。ならば活動するうえで堂々と宣言してしまえばいい話だろう。
そしたら余計な詮索もされることはない。すると吉澤は右手を当てて呆れたような大きな溜息を吐いた。
「これだから青臭いやつは……。鈴奈とお前はまだ、売れてすらいない駆け出し歌手と芸能人だろうが。いいからこの話は無しだ。レッスンも来月から受けさせるからまたサボるとか言い出すんじゃねぇぞ。分かったならさっさと、寮に帰れ」
手の甲を払われて事務所から出て行くように促される。
吉澤と正面から言い合いをした所でイタチごっこに過ぎないと悟った律仁は大人しく事務所を後にすることしかできなかった。今までだってレッスンを拒否しても律仁の意見をのんでくれなかった男だ。真っ向勝負をしたところで律仁の意志が通らないことは何度も見てきていた。
しかし、吉澤に許可を得られなかったからと言ってそう簡単に諦められるものではない。事務所のロビーを抜けて建物の外へと出ると、鈴奈が自分の分と律仁の分のギターケースを背負って建物のガラス扉の前で待っていた。
芸能事務所のマネージャーらしからぬ発言に怒りのボルテージが上がっていく。好きこそものの上手になれというように、鈴奈のことが好きだからこそ高みを目指せるのだと吉澤は分かっていない。
「そんな言い草ないだろ。さっきは悪くないって言ってたじゃん。」
「いい曲と売れる曲は別だ。それに私情を挟んでいるユニットは甘えが出ていずれ破滅する。恋愛なんてもっての外だ」
「そんなのやってみないと分からないだろ。それに鈴奈と俺なら私情と仕事の区別ぐらいつけられる」
この数か月間だって鈴奈に猛アピールをしたいのを我慢して制作に全力を注いできた。
鈴奈の性格上から歌に対する甘えなんてみえなかったし、むしろ律仁に対して厳しかったくらいだった。
音合わせのときに、カラオケのお店で声合わせをしている時も、少しのズレも許さないのか何度も指摘されて講師のレッスンよりも心が折れそうになったことだってある。そんな活動に関して熱心な彼女となら緩んでしまいそうな気も正してくれるに違いなかった。
「俺にはそうは見えないけどな。鈴奈はともかく、特にお前がな。それにお前は歌から入るよりも顔を売るアイドルから入った方がいい。そこそこ知名度のあるお前が鈴奈と組んだら、顔がいい分ファンに余計な憶測や詮索をたてられかねない。それがお互いの活動の場の邪魔をする」
「そんなのそいつらに勝手に言わせておけばいいだろ、それに俺は鈴奈と交際してること公にしたって構わない。だって他の奴らだっているだろ、交際を表立って宣言してる奴らが」
この業界人がごく普通の一般人のように交際するのが難しいことは知っている。ならば活動するうえで堂々と宣言してしまえばいい話だろう。
そしたら余計な詮索もされることはない。すると吉澤は右手を当てて呆れたような大きな溜息を吐いた。
「これだから青臭いやつは……。鈴奈とお前はまだ、売れてすらいない駆け出し歌手と芸能人だろうが。いいからこの話は無しだ。レッスンも来月から受けさせるからまたサボるとか言い出すんじゃねぇぞ。分かったならさっさと、寮に帰れ」
手の甲を払われて事務所から出て行くように促される。
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しかし、吉澤に許可を得られなかったからと言ってそう簡単に諦められるものではない。事務所のロビーを抜けて建物の外へと出ると、鈴奈が自分の分と律仁の分のギターケースを背負って建物のガラス扉の前で待っていた。
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