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律仁さんとの距離
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「り、律仁さん!?」
唐突で驚きのあまり、律仁さんの名前を呼ぶ声が上ずる。
さっきすれ違ったのに気が付かなかったのはいつもの黒いキャップじゃなくてバケットハットだったからだ。
「やっと気づいてくれた。久しぶりだね 」
顔がよく見えるように少しだけ帽子のツバを上げてはにこりと笑いかけてくる。
なんでこの人は何時も予告もなしに突然現れて来るのだろうか。
だけど、逢いたいと思っていた人物なだけに
渉太の気持ちが華やいだと同時に緊張していた。
「お、お久しぶりです……」
数ヶ月ぶりの律仁さんに逢えて、更にアルバイト中であることもあり、挨拶がぎこちなくなる。
「な、何で此処にいるんですか?!」
「さぁ何でだろう?」
眼鏡の奥の悪戯なその笑顔、間違いなく律仁さんだ。
自分は律仁さんにアルバイト先を教えた記憶がない……でも記憶がないだけで教えていたかもしれなかった。
どちらにせよ、今の此処に律仁さんがいることには間違いない。
理由を適当にはぐらかされた上に、「ほら、手動かさないと」と止めていた手を指摘されて、渉太は慌てて指先に緊張を覚えながらも商品をスキャンしていった。
「何時に終わるの?」
袋詰めに取り掛かったとき、そう質問されて
「あ、えっと22時です……」と何も考えずに答えた。
「そっか、この後時間ある?」
「ありますけど……」
時間があるも何もこの後は帰ってご飯を食べて寝るだけ。
「後40分くらいか……じゃあ、待ってるね。急がなくて大丈夫だから」
渉太が返事をする暇もなくして律仁さんは腕時計の時間を確認すると、クレジットカードで支払いを済ませては颯爽と店を出ていってしまった。
一瞬だけ見えた腕時計。
やはり社会人なだけあってシルバーの大きい文字盤で周りにゴールドをあしらった上質そうなものをしていた。
時計には差程詳しくはないが、きっと有名所の高級時計屋さんのものなのだろうか。
やっぱり律仁さんはどこかの坊ちゃんか、上流階級そうな人間だろうなーと去っていく背中を見て思った。
仕事中、モップで店内の掃除をしていると雑誌コーナーの窓から覗かせてる車は間違いなく律仁さんのだった。
気になりながらも、目線を向けるとバッチリ車の律仁さんと目が合い、手を振られては恥ずかしくて俯く。
花井さんに見つかって「あの人誰?」なんて突っ込まれたら、知り合いが訪問してくるだとかそういうことに慣れていない渉太からしたら、母が職場に訪問してくるくらい羞恥心を煽られるので冷や冷やものだった。
唐突で驚きのあまり、律仁さんの名前を呼ぶ声が上ずる。
さっきすれ違ったのに気が付かなかったのはいつもの黒いキャップじゃなくてバケットハットだったからだ。
「やっと気づいてくれた。久しぶりだね 」
顔がよく見えるように少しだけ帽子のツバを上げてはにこりと笑いかけてくる。
なんでこの人は何時も予告もなしに突然現れて来るのだろうか。
だけど、逢いたいと思っていた人物なだけに
渉太の気持ちが華やいだと同時に緊張していた。
「お、お久しぶりです……」
数ヶ月ぶりの律仁さんに逢えて、更にアルバイト中であることもあり、挨拶がぎこちなくなる。
「な、何で此処にいるんですか?!」
「さぁ何でだろう?」
眼鏡の奥の悪戯なその笑顔、間違いなく律仁さんだ。
自分は律仁さんにアルバイト先を教えた記憶がない……でも記憶がないだけで教えていたかもしれなかった。
どちらにせよ、今の此処に律仁さんがいることには間違いない。
理由を適当にはぐらかされた上に、「ほら、手動かさないと」と止めていた手を指摘されて、渉太は慌てて指先に緊張を覚えながらも商品をスキャンしていった。
「何時に終わるの?」
袋詰めに取り掛かったとき、そう質問されて
「あ、えっと22時です……」と何も考えずに答えた。
「そっか、この後時間ある?」
「ありますけど……」
時間があるも何もこの後は帰ってご飯を食べて寝るだけ。
「後40分くらいか……じゃあ、待ってるね。急がなくて大丈夫だから」
渉太が返事をする暇もなくして律仁さんは腕時計の時間を確認すると、クレジットカードで支払いを済ませては颯爽と店を出ていってしまった。
一瞬だけ見えた腕時計。
やはり社会人なだけあってシルバーの大きい文字盤で周りにゴールドをあしらった上質そうなものをしていた。
時計には差程詳しくはないが、きっと有名所の高級時計屋さんのものなのだろうか。
やっぱり律仁さんはどこかの坊ちゃんか、上流階級そうな人間だろうなーと去っていく背中を見て思った。
仕事中、モップで店内の掃除をしていると雑誌コーナーの窓から覗かせてる車は間違いなく律仁さんのだった。
気になりながらも、目線を向けるとバッチリ車の律仁さんと目が合い、手を振られては恥ずかしくて俯く。
花井さんに見つかって「あの人誰?」なんて突っ込まれたら、知り合いが訪問してくるだとかそういうことに慣れていない渉太からしたら、母が職場に訪問してくるくらい羞恥心を煽られるので冷や冷やものだった。
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