Broken Flower

なめめ

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突然の…

突然の····· 12-4

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亨の掴んだ腕を一瞥しては、睨みつけるように此方を見てくる。

「お前、まさか葵に喋った?」

先輩に対して「お前」なんて失礼だと分かっていても今の亨には関係ないことだった。
葵を目の敵にしている上に、こいつに葵との仲を邪魔されたことが気に食わない。

背後でガタンと大きな音を立て鉄扉が閉まり、其方に気を取られていた隙に橋下が「何が?つか、痛いんだよ」と掴んだ腕を振り落として来たことによって、手が解かれた。

「俺と西田のことに決まってるだろ。葵が急によそよそしくなったんだよ。お前が俺と西田の事を話した以外何があんだよ」

俺が橋下に詰め寄ることと言ったら西田のことくらいしかない。それに西田とのことを告げ口するような奴はこいつしか思い当たらなかった。橋下は白を切るつもりなのか、男の態度が更に亨の怒りを煽る。

そんな激昂する亨の傍らで、無言でカツカツと音をさせながら鉄階段を気だるげに降りていく橋下。亨は慌てて追いかけては、このまま逃げられてしまうんのではないかと危惧して、「何とか言えよ」と踊り場で肩を掴んだところで大きな溜息を吐かれた。

「あーもう、鬱陶しいなー。眼中に居るだけでも目障りなのになんで僕が大藪に態々そんな話してやらなきゃいけないわけ?僕になんのメリットもない。そもそもあんたらのことなんてどうでもいい。僕を疑うくらいならもっと身近を疑ったら?西田とかさ?」

橋下から西田の名前を聞いて我に返る。
話している様子から嘘をついているとは思えないし、今までの橋下の様子から葵に直接的な恨みはあるのかもしれないが、何処か冷めていて執着してどうにかしてやろうという素振りはなかった。

一方西田と別れた時、自分はどうだったのだろうか。俺が葵のことが好きな事は既に彼女にはバレていたし、決して穏便とは言えず亨が強引に振り切って自決させていた。

葵は保健室にもよく通って·····西田のことも慕っていたはずだ·····。
そう思った途端に全身に身の毛がよだつ·····。
まさか·····あの女が·····!?

亨は自ら引き止めた橋下には目もくれず、一目散に階段を駆け下りると一階の保健室へと向かっていた。
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